広島市で大規模土砂災害!死者74人の身元判明!集団移転の必要性も | 天風晴雄のよもやま話

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天風晴雄です。この所の連日の猛暑でバテ気味です。

東日本では晴天で、各地で猛暑日が続出していました。

しかしこれとは裏腹に西日本では各地で局所的な豪雨に

見舞われています!台風が上陸した訳でもないのに…

もしかしてこれも地球温暖化の影響なのでしょうか?!

九州北西岸・東北日本海側 大雨注意!東日本は
 猛暑日続出 気象予報士Kasayanのお天気放談


そんな中、恐れていた事態が!広島市で3時間雨量が

何と217.5ミリに達する豪雨があり大規模土石流が発生!

広島市安佐北区の雨量データを修正 気象庁

8/19~20に広島市に強い雨雲が帯状に伸びています!

防災科研によると長さ約23キロ、幅約5キロに及ぶとか。

2014/8/19~8/20の広島での豪雨 雨雲の動き

被災地区では雨だけでなく、雷も凄まじかったそうです。

積乱雲の高さ15キロに 防災科研、豪雨の立体画像公開

安佐南区北区で崩落が多発し死者何と70人以上という

昨年10月に伊豆大島で発生以来の大規模土砂災害に!

※9月19日現在、死者は全部で74人に!(。>0<。)
やっと74人全員の身元が分かりました。

遺体は大屋さん 広島土砂災害、74人全員の身元が判明

最も被害が大きかったのは安佐南区の八木緑井です。

※安佐南区の八木地区 大規模土石流による惨状


※土石流が起きる前の八木三丁目付近


安佐南区および北区の現場の惨状は惨憺たるものです。

【動画】広島で土砂災害相次ぐ 記録的局地豪雨
 死亡・不明者多数 ヘリによる航空撮影


昨年の伊豆大島の土砂災害について記事を書きましたが
伊豆大島土砂災害 死者23人不明26人

今回はそれを上回る規模の大災害となりました!(ノДT)

現場は到る所に泥や岩石が満ちていて救援が困難です。

まるで阪神大震災当時の惨状を彷彿とする悲惨さです!

広島土砂災害 がれきの山に「圧倒された」…
 阪神大震災ほうふつ、被災地の惨状


道がぬかって重機が入れないため手作業で瓦礫や木を

取り除いているため救出作業が思うように捗りません。



現在、警察・消防・自衛隊の3300人体制で行っています。

現場は困難を極め、二次災害の危険もあります。(/_;)/~~

広島市は天候不順でいつ大雨が降るか分かりません!

県では二次災害を防ぐため特に危険性が高い14か所

土石流を感知するセンサーを設置する事にしています。

避難勧告が土砂崩れの後に出され批判されていますが

広島土砂崩れ 土砂崩れ発生後に避難勧告…
 15年前の教訓生かされず


何と!市は土砂災害発生の1時間前に気象予報会社から

1時間に70ミリの雨が降る可能性がある」 ヽ(*'0'*)ツ

との広島地方気象台の予報をファックスで受け取りながら

見逃していた事が1日、市への取材で分かったそうです!

広島市、1時間70ミリの雨予報見逃す 土砂災害発生日

この大失態により避難勧告が遅れた可能性があります。

ではこの時点で避難勧告が出ていたら避難出来たのか?

伊豆大島でもそうでしたが、夜中の暗いしかも豪雨時に

避難勧告を出すのは二次災害の危険もあり、難しい所。

避難勧告を出さなかった伊豆大島川島理史町長は当初

夜中の3時前後は真っ暗で、避難勧告を出すのは
被害の拡大につながるという認識だった。


と弁明しています。後に謝罪しましたが。今回の場合でも

住民の話では夜中に一気に水嵩が増してやむなく二階に

避難するのがやっとだったとか。外に出たら流された!?

なので1時間早く避難勧告が出ても意味がありません!

当時、外は豪雨と雷の音でサイレンの音が聞こえにくく

そもそも八木地区には防災行政無線の屋外スピーカーが

設置されておらず避難勧告・指示が出ると同時に鳴らす

防災用サイレンは設置されていたものの、何と作動して

いなかった事が判明!(ノ゚ο゚)ノ さらに安佐北区の勧告・

指示地域でもサイレンは鳴っていなかったとか。ヽ(`Д´)ノ

広島土砂災害 防災スピーカー未設置 サイレンも作動せず

こんなおそまつな状態では避難勧告など話になりません。

また防災無線の提供や夜中で寝込んでいる時の対応など

今後の避難勧告の伝達方法のあり方が問われています。

勧告伝達、消えない不安
 対策示せず、住民任せ-広島土砂災害


今回は広島県などが調査した結果、土石流や崖崩れが、

何と166か所で同時多発的に発生していた事が判明!

広島土砂災害166件に
 土石流107件がけ崩れ59件

またこれらの多くの土石流が発生した阿武山(585.4m)

を専門家らが調べた所、発生地点が八木で、広島市の

想定より何と200mも高い斜面だった事が分かりました!

崩落起点、想定より200m高い場所 広島の土砂災害

その分、流れる土砂量も多く、被害が甚大になりました!

阿武山は地元のハイキングコースとして知られています。

山頂には水の神様が祭られている貴船神社があります。

権現山~阿武山~太田川ハイキングコース 広島市HP

政府は、関係省庁の対策会議を災害対策基本法に基づく

非常災害対策本部」に格上げしました。また、政府は、

今回の災害を「激甚災害」に指定する方針です。(><;)

市災害対策本部は、安佐南区と安佐北区の計22地区

避難指示・勧告を出した結果16カ所の避難所に2200人

住民が押し寄せたそうです!東日本大震災以来ですね。

支援物資などが並び、被災者が出入りする市立八木小学校の体育館
広島市安佐南区八木で2014年8月25日午前9時、小川昌宏撮影



避難所になった三入小学校に自衛隊が仮設風呂を設け

被災した人たちが避難生活の疲れを癒やしたそうです♪

こういう非常時には風呂の有難さが身に染みますよね。

これから一体いつまで避難生活を続ける事になるのか…

広島土砂災害 住民、仕事復帰進まず
 週明け被災地「がれき処理が先だ」


その後27日午後3時現在で596世帯1295人が避難所に!

また広島市とその周辺は過去1999年6月にも土砂災害で

何と30人以上が犠牲となっています。なぜ再び悲劇が?

「広島大規模土砂災害」なぜ再び起きたのか

広島県は危険箇所最多地域で指定の候補となる場所が

都道府県別土砂災害危険箇所数 - 国土交通省

全国一の何と31,987カ所に及び土壌が花崗岩が風化して

出来た「まさ土」と呼ばれる地質が広がっているそうです。

これが水分を多く含みやすいため今回のような局所的な

集中豪雨により「表層崩壊」が起きやすいのだそうです。

「まさ土」表層崩壊も…バックビルディング現象か

さらに広島大大学院の海堀正博教授の現地調査によると

比較的硬い「堆積岩」の地質でも起きていた事が判明!

想定を超える量の豪雨により堆積岩も流されたのです!

硬い「堆積岩」も流した…地質強度上回った未曽有の豪雨

それにしても土石流の破壊力というものは凄まじいもので

日本家屋などあっという間に押し流され、砕け散ります!

なので、いくら耐震性を高めたとしても全く無力なのです。

さらにスピードも瞬間で時速144kmにも達したそうです!

広島土石流災害ー時速144キロ!
 住民たちはその時何を感じたか?


これでは土砂崩れが発生したら逃げる間はありません。

広島市では人口増対策で山の裾野も切り崩して住宅地を

増やした結果、土石流による被害が多くなっていました。

しかし川に砂防ダムを設置するなどいくら防災対策を

しても、あまりに危険箇所が多過ぎて間に合いません。

安佐南区八木地区で国土交通省が土石流の危険がある

として何と9基の砂防ダム建設を計画していたのですが

結局1基も完成しないまま建設予定地が被災しました!

現場が住宅密集地だったため整備が遅れた」そうです。

現場に9基の砂防ダム計画、
 未完成のまま被災 国土交通省


また警戒区域に指定されていたのは安佐北区可部東の

8カ所のみだそうで、今回、被害が集中した安佐南区の

緑井、八木、山本などは未指定だったのが裏目でしたね。

警戒区域指定は8カ所のみ=土石流31カ所、
 調査追い付かず―全国一の危険性・広島


理由の一つは警戒区域に指定されると地価が下がるため

指定には住民の同意が得られにくい事情があるようです。

指定に住民の同意は必要はないのですが県が配慮して

納得してもらってから指定したい」と説明に時間をかけて

いる事がなかなか警戒区域の指定が進まない要因とか。

進まぬ警戒区域指定、15年前の教訓生かされず…

県砂防課によると指定に2年以上かかる事もあるとか!

広島土砂災害 「警戒区域」指定に全国“格差”

政府は警戒区域を指定しやすいように法改正の検討に。

土砂災害防止へ法改正検討 警戒区域の条件緩和

日本は山国であり降雨量も多い事から土砂災害が多くて

年間平均1000件も起きているとか!こうなるとニュース

にもなりませんね。2013年は941件も発生したそうです。

砂防:土砂災害発生事例 - 国土交通省

そういえば先日もスイス鉄道で土砂崩れによる脱線事故

があり日本人観光客5人が怪我をしたのが記憶に新しい。

スイスで脱線事故 「氷河特急」ではなく普通列車
 日本人乗客2人が入院


今回の土砂災害では多くの子供さんも亡くなっており、

遺族の悲しみは誠に筆舌に尽くし難いものがあります。

たまたまこの地区が地元だという佐久川清史さんから

メールが来ていました。原文をママご紹介しましょう。

こんばんは佐久川です

昨日の未明に起こった広島の大雨による土砂災害に関して

私の元へも色々な方から「大丈夫ですか?

といったご連絡を頂きました。

我が家からすぐ近くでの出来事ですが私は無事でした。

ご心配いただいた皆様有難うございました。

私が住んでいるのは「広島市安佐南区」です。

この安佐南区という区は結構広いのですが

今回一番被害の大きかった八木(やぎ)という地域は

私の家から直線距離で4キロ程のところです。

私の住んでいるところでも同じような大雨と雷でしたが

私の地域では大きな被害もなく家族全員無事でした。

被害があった地域には私の知り合いも多数住んでいますし

亡くなった方の中には直接的な知り合いはいませんでしたが

友達の友達とか友達と同じ会社の人とかがいました。そして、

私のいとこもこの一番ひどかった八木というところに住んでいまして

一昨年中古で購入したばかりの一軒家に住んでいましたが

午前3時頃に1階に土砂が流れ込んできて2階に逃げて

1階部分は殆ど土砂で埋まってしまい2回の窓から逃げたそうです。

ほんとすぐ近くで亡くなった人もいましたので

家族全員怪我もなくて幸いでしたが家はほとんど壊滅状態で

もうこの家には住めないだろう」と嘆いていました・・・。

広島は普段あまり災害がないところで

台風もあまり通らないし、大きな地震もほとんどないし

とすっかり油断していた部分があります。

テレビなどでも報道されていますが

十数年前に梅雨の集中豪雨で今回と同じような被害がありましたが

その後大きな災害もなかったのでみんなすっかり忘れていました。

今週の日曜日、その被害にあった地域も含めた地区の

ソフトボール大会の予定でしたが

そんなことしよる場合じゃないんじゃないか

ということでソフトボール大会は中止にして

復旧作業のボランティアに行こうという話になっています。

今回は本当にすごく近くで起きた災害で人事とは思えません。

私が同じような被害に遭っていてもおかしくなかったです。

これからの復旧が大変ですが出来る限り協力していこうと思います。

もしかしたら皆様にも今後何かお願いする事があるかもしれませんので

その時にはどうぞよろしくお願いいたします。

ともかく、このような悲劇をもう2度と起こさないためにも

徹底した防災対策の他、東日本大震災の被災地のように

山の裾野の住民達を別の安全な場所に集団移転などの

大胆な対策を立てる必要があるかもしれません。(゙ `-´)/

被災地の仙台市が集団移転対象者へ説明会を!

福島で集団移転への相談会が始まった!

むろん移転費用は個人の資金ではとても無理ですから

市や国が十分に費用負担する事が要となります。(;^_^A

広島市では今回、生活再建のめどが立たず、自宅が損壊

した人を対象に公営住宅の入居受け付けを始めました。

市は無償の公営住宅など300戸を確保したそうです。(^O^)

さらに、5900戸の民間住宅を被災者向けに確保と発表!

民間住宅5900戸確保 広島災害、全壊以外も対象に

広島土砂災害 「先祖代々の土地離れない」…
 生活再建と移住に揺れる被災者


でも抽選で外れたり、無償で借りられるのは僅か半年

なので生活再建が出来るのは一体何世帯でしょうか?

これについて青山繁晴氏が厳しく提言しています。(゙ `-´)/

ザ・ボイス 青山繁晴 ニュース解説
「広島の土砂災害 被災者の入居手続きがスタート」他


31日、ようやく安佐北区全域が避難勧告解除されました!

国交省の調査で二次災害の恐れが低下したそうです。

安佐北区の避難指示・勧告解除 広島市の土砂災害

これでやっと被災者も自宅でゆっくりくつろげそうです♪

避難勧告解除、住民「ほっとした」「まだ帰れない…」

さらに2日、安佐南区も避難指示が全面解除となりました。

13日ぶりに避難指示全面解除、勧告は継続

6日、復旧作業などに約1700人のボランティアが参加し

家から土砂を撤去する作業などを手伝いました。(o^-')b

本当に有難いですよね。彼らは天使に見えた事でしょう。

広島土砂災害 3度目の週末、ボランティア活動広がる

9日も北九州市の1グループ26人が被災地に入りました。

「少しでも復興に力に」県外ボランティア始動

復興には膨大な瓦礫の処理など難題が山積しています!

東日本大震災でも大問題となり未だ解決されていません。

【広島豪雨】今度はがれきの処理が難題…。
 大量のがれきはどこに持っていくの?


6日には仮置き場が満杯に近づき山積みとなっています!

このため市は分別の中間処理場を総事業費約108億円

南区内に新設するするそうですが年明けになりそうです。

広島土砂災害、がれきなどの仮置き場満杯近づく

さらに気になる今後の被災地区の危険度についてですが

国土交通省が安佐南区と安佐北区の渓流などについて

土砂災害の危険度を調査した所、上流に土砂が堆積する

などして、雨が降った場合に避難の検討が必要な箇所が

何と全体の約4割に当たる70か所もあることが分かった

そうです!これでは当該地域に住む人達は雨が降る度に

避難するかどうか悩み、おちおち寝る事もできませんね。

周辺70渓流「緊急対応が必要」 広島土砂災害で調査

9/26日高市早苗総務相が広島市の災害復旧費として、

特別交付税」の配分を検討すると明らかにしました!

毎年度12月と3月に配分されて復興が促進されますね。

なお土砂災害の詳細や最新情報は以下を参照ください。

広島土砂災害 まとめ 産経デジタル

広島市への寄付金・義援金は以下で受け付けています。

広島市8・20豪雨災害義援金の受け付け
※受付は、平成27年9月30日をもって終了。

この悲惨な土砂災害を見ているうちに1982年7月に起きた

長崎大水害」を想い出しました。この土砂災害の規模は

他にない巨大さで長崎市内の死者・不明者299人のうち

何と262人が土石流や崖崩れによるものだったのです!

若い世代の方はご存知ないと思うので参考にして下さい。

長崎大水害の全体像 長崎県土木部 (PDF資料)

※なお翌2015年8月16日に広島市安佐南区八木3丁目に
犠牲者25人の慰霊碑が建立され除幕式がありました。

広島土砂災害1年、慰霊碑を建立
 「精いっぱい生きる」