5月21日ディファ有明。
私の友人、現在4冠王のキックボクサー酒井秀信氏の自主興行がありました。今回、縁あって女子プロレスの試合を1試合サプライズで協力させてもらうこととなり、キックボクシングの興行に1試合プロレスが入るという異例の運びとなりました。それはもうドキドキ、プロレスをほとんど見ないであろうキックボクシングの観客の中でやる試合です、反応が気になって試合数日前からは選手に負けないくらい緊張していたと思います。(笑)
試合前、赤いお揃いのTシャツを着た子供たちが会場に入ってきました。
「今日、プロレスもやるから楽しみにしてね!強いお姉さんたちが闘うよ!」
そんな私たちの呼びかけに対し、ポスター見ながら、
『プロレス?』
『え~変なの~知らない』
『興味無い』
子供たちは正直。
いや、これが、今のプロレスと子供の距離の正しい答えだと思う。
私が幼少の頃には、週末は金、土と、ゴールデンタイムにプロレス中継があり、TVのコマーシャルでも、ブッチャー、馬場、鶴田、猪木が顔を出し、月曜日の朝、学校では『プロレス見た?』の掛け声から1週間が始まったものである。
時代は変わってしまっている。
まして、ここはキックボクシング会場という完全アウェイ。
そんな中、第15試合、
堀田祐美子 vs ライディーン鋼
女子プロレスの試合が始まった。
リングはロープが4本、硬いマット
騒然とする中、選手が入場。
先にライディーン鋼選手、あとから堀田選手。
チェーンをぶら下げ、堂々貫禄の登場。
入場のテロップの誤字、入場コールの際マイクの接触が悪く選手の名前が聞き取れないなど、ハプニングはあったものの、なんとか無事試合開始。
開始直後、二人はもつれて場外へ、ここから先こそ、ボクシングファンには未知の世界、他の格闘技にはありえないプロレスの醍醐味の一つ
場外乱闘。
鋼選手の首にチェーンを首に巻き付け会場全体を暴れまわる堀田選手。
椅子を立ち、真顔で逃げ回る子供たち。
ボクシングファンの子供たちにとっては、ここまで檻越しに見ていた動物園の猛獣が、この試合では、檻から出て来てしまったかのような大騒ぎ。(笑)
10分足らずの試合時間ではあったが、会場、観客が、一体になり試合を楽しむ、そのために会場全体使って試合を作る。堀田選手、さすがに百戦錬磨、プロレスの伝え方を熟知している大ベテランです。そして、それにこたえた鋼選手もお見事です。
試合後の休憩時間。 一組の親子が堀田さんのいる売店に訪れました。
女の子は4~5歳くらいでしょうか、泣いたのでしょうか、目の回りが真っ赤です。お母さんが、堀田さんの前にその娘を連れてきて
「大丈夫、怖くないでしよ?。。。。。。。
この娘、さっきの場外乱闘、目の当たりにしてマジ泣きしたんです。娘と握手してもらえますか?」
恐る恐る、お母さんに押され手を出す女の子に、いつもの笑顔で手を握り返す堀田選手。
女の子の顔から不安が消え、笑顔に。
そして、そこに、来場の際、プロレスなんて、興味ない、変なの、って言っていた赤シャツの空手キッズた
ちが押し寄せ
「面白かった」
「スゲー」
「握手して!」
売店は子供でいっぱい。
いいなー。
子供たちは、テーブルの上の堀田選手のグッズに興味津々。
だけどみんな、小学 生低学年。。
堀田選手は自分のトレーディングカードをカバンから取りだし、
「あー、一枚しかないかー。。」
と言いつつ、カードにサイン。
「はい、じゃんけんで勝った人にプレゼント!みんなとわたしでやるよ、ずるなしねー。」
勝った男の子は 「やったー!!」
回りの子は、いいないいなの、大合唱。
「サインはみんなにもしてあげるよ!!」
「ほんとー?!」
「やったー」
チラシの裏、自分のノート、サイン会の始まりです。
一人一人名前を聞いて、年を聞いて、話をして、。。。
その頃には、別のグループの子供たちも売店に押し寄せ大変なことに。
それでも、ひとりひとり全員に、もれなくサインをプレゼント。
JWPの鋼選手に、そして、セコンドで来ていた藤ケ崎矢子選手にも子供た ちが押し寄せる。
グッズは売れません、堀田選手もJWP選手も、この子供たちからお金は全然、は得ていません。
でも、今の時代、今のプロレス界が一番欲しい、
”お金では買えない貴重なもの”
を、堀田選手はじめ、プロレス界は、この時間で得たかもしれません。
子供たちの目は輝いていました。リング上にいた凄いレスラーが目の前にいる。。憧れの眼差しでそれを見る。
私も子供のころ、試合後花道を引き上げるスーパースター、ミルマスカラスに一瞬、目の前に来たときに触って、その手についたマスカラスの汗が、オーデコロンのいい匂い。家まで大切にそれを持って帰ったことを思い出しました。
私のように、
この子たちの誰かの人生に、今日のことが少なからず影響を及ぼすのでしょうか。。
そんな楽しい思いと共に、時間に惜しみなく、小さいファン大切にする選手たちに、私は感動し、そして感謝したいと思います。
私も、微力ながら、今後も女子プロレス、応援していきます!
今日はいい経験でした。
byまっちゃん