素晴らしいカメラとして気に入っているDP2xだが、素晴らしいのはその画質であって、

そこに至るまでは尋常ではない苦労がある。


基本的な写りとしては現実的で、色合いや空気感も現実そのものを撮影する。

と、いう事はありきたりの日常を撮っても面白くはない。


画角的にも40mmなので、見たままの風景となり、広角的な風景の面白さを撮れるわけではない。


初めのうちこそは、その解像感が面白くて色々と何でもない物も撮影していたが、

自分なりに満足出来る被写体を撮影していると、面白くない物を撮っていても面白くない。

という、当たり前のマンネリに直面する様になってきた。



現実を切り取るには素晴らしい被写体があれば、それは素晴らしい写真となるのは当たり前で、

つまらない現実を切り取るのは当然つまらないわけだ。


そこに気づくと、GRの様な小型カメラで街角スナップで人物を撮る楽しみもあるだろうが、

今のご時世、盗撮のように思われそうでどうも気が進まない。


また、人の後ろ姿ばかり撮っていても果たして面白いのだろうかとと思ってしまう。


そこで、DP2xで撮れるのは何かと考えて行き着くのは、日常の通勤時においては、

夜の風景の描写力ではないかと行き着いてしまう。



スマート三脚も買ったので早速使いこなしたいと考えていた。



何度も言うように、DP2xで夜に撮影する事は非常に難しい。


まずISOを上げるとノイズが目立ちやすい。

ISO200までが使える感度だが、明かりも少ないとすぐに1/2程のシャッタースピードで、

手持ちで何度撮影しても奇跡は起こらない。


1/15くらいなら50枚に1枚は会心の出来があるかもしれないが、1/2ではまず無理だ。


そこで三脚があるのだが、スマート三脚はどこかに固定できれば良いのだが、

そんな都合の良いものは簡単にはない。


家の軒先ならどこでもあるが、人の家の軒先でゴソゴソしていたら間違いなく警察を呼ばれてしまうだろう。



そこで固定するとすれば、足元の地面しかない。



しかし、客観的に見て、

夜中に、目の前で通りすがりの男が、カメラを地面においていたり、

道路に顔をこすりつけて液晶を覗いて構図を確認していたりすればどう思うだろうか?



私なら絶対に怪しいと思う。



なので、やましいことは何も無いのだが、出来れば人に見つからないように速やかに撮影したと思ってしまう。




そして悲劇は起きた。



スマート三脚を地面において、夜の町並みを撮って速やかに立ち去ろうとした時だった。


クイックシューをロックしないで、簡単取り外しボタンを押してしまったのだ。



三脚に固定するときはロックをしておかないとと思うのだが、早く撮ってしまおうとする焦り、

そして、撮影後にはやく機材を片付けて立ち去ろうとする焦りが重なって、


平常時ならよもや、押すはずの無い取り外しボタンをロックすること無しに押してしまったのだ。



空中で、カメラは三脚から滑り落ち、


スローモーションのように落ちていく。





右手に持った三脚がフワッと軽くなり、アッと私は声を出した。




ゴツ!



うーん、力強い音がした。



DP2xが、アスファルト上で強烈に激突した。







ダメージはでかそうだ。



photo:01






横から見ると基盤を包み込むアルミの接合部が衝撃で歪み、隙間が空いていた。



壊れない事を祈りつつ、

恐る恐る電源を入れてみた。




今までは聞いたことの無い、大きめのモーター音で、唸りながらながらレンズが出てきた。



液晶も問題は無い。



何て頑丈なんだろうと呆れながらも、ピントあわせを行ってみたがおかしな挙動はなかった。



タフな設計のDP2xに感謝と安心の気持ちはあった。


しかし、今回の事件は、それだけでは済まない気持ちが心中に育まれてしまった。


帰り道にふと気になった花や、情緒あるベンチや対象物等、

写真の感性のアンテナが心で反応したその瞬間にDP2xでは手ブレする故に撮れない。






その圧倒的な描写力はあれどどうしても撮れない。


撮りたくて仕方なくても、常識的に、又は物理的に、それは許されない。



40mm、単焦点、手ブレ補正無しのFOVEONセンサー。





始めて、どうしようもない敗北感を突きつけられた夜だった。