今回はテクニクス、コンサイスGの続編です。
コンサイスGは正確にはピュアオーディオではありません。正確にはピュアオーディオを小型化した商品となります。
なぜ小型化が必要だったのか?
一つの背景としては大型コンポが90年に入り邪魔なものとして扱われたからです。
一般家庭にもリビングでのデザインという事が真剣に考えられてきた時代でした。
高級なダサいものが売れない状況になっていました。
安かろう、良かろうまではいきませんが、高くてデザインも良い物と消費者のレベルが上がりだした時代だったのです。
90年にDENONが作ったPMA-390が33000円で非常に高音質だったこともあり、既に5万円前後の普通のアンプは売れなくなってきていました。
そんな状況の中、
彗星の如く登場したシステムがかの有名なKENWOODのK's CORE SYSTEMでした。
その頃はKENWOODもさまざまな商品で積極的な展開をしている時期でした。
中高生をターゲットにしたミニコンポ、ロキシーやアローラが飛ぶ様に売れていて、今のソフトバンクのように勢いがありました。
そこへやってきたK'sはあまりにも魅力的でした。
最低でも3年間モデルチェンジしないコンセプトを引っさげた、オーディオ3点セットのコアシステムの内容は、
アンプはマニア唾延の丹念に手作りをして組み込まれたトロイダルトランス。
CDにはフィリップス社高級DAコンバーターのDAC7を豪華に採用。
スピーカーにはバッフルにギターにも採用される塗装高級MDFに用いて、塊のような大きなウーハーを、最強のアルミダイキャストフレームにがっちりと固定。
と、なんとも豪華でお値段16万なり。
高校生だった私は毎晩、興奮しながらそのカタログを読んだものです。
愛読書だった週間レコパルというオーディオ誌にもk'sルームという特集が組まれ、毎週色んなCDを視聴してはK'sの事を褒めちぎりました。
「それにしてもこの価格でこの音質って信じれないですね。倍くらいはしても良いかと思います」
とかサラッと言っちゃてくれてましたので私はすっかりk’s信者でした。
YES、K's。
その外観は今でも十分通用出来るほどの優れたデザインでした。
近未来的なデザインが非常にそそられる逸品で背面は全て金メッキ端子、フロントはアルミ削りだしパネルで厚みが2,5mmあり、振動をシャットアウト、ボリュームはムク材を使っていました。
こうしてK’sは大ヒットを飛ばし、高価格ながらも大繁盛。
ソニー、サンスイ、デンオン、オンキョー等の各社メーカーも、これに続けとばかりに真似たコンセプトで出していましたが今ひとつデザインのみでどうもこだわりが足りなかった様でした。
そして、これが最後のオーディオブームとなりました。
MP3というフォーマットが生まれて、使いかってだけが優先されて、音質は2の次となっていき、伝統は終わりを告げるのです。
そんな末期状況の中の最後の勝者はオーディオシステムとしてk'sだったのですが、実は、各メーカーがアンプにはそれなりの情熱を注いでいたのです。
一人はDENONの「PRESTA」
アンプの心臓部の電源には伝説のPMA-390譲りの黒甲冑トロイダルトランスを埋め込んでいました。
そして一人はアンプの神様、SANSUIの「アルフ」
決して負ける事の無い難攻不落の要塞、定評あるEIコアトランスを心臓部に左右独立のディスクリート構成。
トドメとばかりに出力段にはマニア涙物のダイヤモンド・サーキット基盤で魅惑の3次元サウンドを奏でます。
そして最後は我らがテクノロジー軍団、テクニクスの「コンサイス・G」
親父には懐かしさ溢れる小林あせいのピアノ、もしくは薬師丸ひろ子の涙がポロリで超懐かしいCM!!
ってかコンサイスってまだあったの?昔は有名だったけど・・・
と、どこも頑張っている中、テクニクスだけはずっこけています。
と、いうのも不思議な事に発売当時、私は毎週オーディオ誌を読んでいても、このコンサイスだけは出てきた記憶がありません。
日本橋をよく見にっていましたが、商品もカタログも目立っていた記憶はありませんでした。
他にもONKYO「インテック」やSONYの物等も、よく見かけたのですが(この二つはダメです)、なぜかテクニクスだけは存在すら知らなかったのです。
そう。このコンサイス・Gは生みの親であるメーカーのバックアップが無く、ステレオ雑誌にもアピールされなかった言わばコンサイス最後の悲しい子だったのです。
しかし、このコンサイス・Gにはある血統が流れていたのです。
それはテクニクスの高級シリーズのみに与えられるGの称号。
テクニクスは90年に一度全ての商品をテクニクスからパナソニックへ名称変更しています。その時に多くの批判を受け、方針変更をしました。
その内容は。
「ピュアオーディオにはテクニクスを名付け、その中でも高級な物にはGの称号を与え、そのボディは金色のものとする」
金色の衣をまといし、ラストエンペラー「コンサイス・G」は1993年に誕生しました。
くしくも、それはオーディオの風雲児、KENWOODがプライドをかけて情熱を注ぎ込んだ傑作「k's」とまったく同じ時期だったのです。
CD、スピーカー、デザイン等にこだわらなかった結果は、決定的に運命を分ける結果となりコンサイス・Gはこの世に名を馳せる事も無く、寂しく時代から消え去ってしまう運命となりました。



