それはまだ私が中学校になったばかりの頃です。

小学校の頃はステレオなんて全く興味がありませんでした。


当時は父が揃えたカセットデッキとレコードプレーヤーが主なソースで、

サンスイのアンプとスピーカーがリビングにありました。


ミスターGの他事総論


ミスターGの他事総論

テープはアジマスがずれていてのか、あまり高音が出ずいつもこもったような音だったと思います。

レコードはノイズが多く、ナローレンジな記憶で、あまり見た目の割には特別な音がしないと思っていました。


ステレオとは音を再生する機械であり、その事自体がすごい事なのだと考えておりました。

そんな私の考えをくつがえされるきっかけになったのは、1台のCDラジカセの登場でした。


もうメーカーもわかりませんが、当時はCDの裏面のホログラフの美しさに見惚れながら

ラジカセの音質で高音はこの大きなステレオよりはいいのかも、と思いながら聞いておりました。


ある日ラジカセの背面に音声出力、という端子を見つけてしまいました。


家のビデオデッキがサンスイのアンプとつながっているのを知っていた私は、

音が良いと言われるCDの音をこのサンスイのアンプとスピーカーをつなげた時に

どんな音が出るんだろう? というひらめきが物凄く興味深く感じました。


つなげかたも、使い方も全くわからなかった私ですが、

この素晴らしい思い付きを抑えることが出来ず、

衝動的にビデオデッキの音声出力を引き抜いてしまい、

ラジカセの背面の出力へと接続をしておりました。


そして息を飲みながら、

ラジカセにセットされていたボンジョビの『リビング・オン・プレイヤー』を再生したのでした。



次の瞬間、 サンスイのアンプとスピーカーは、

今までカセットデッキからの眠たい音を悲しく奏でていたのですが、

初めてその秘めた素晴らしいポテンシャルを発揮したのです。


私の目の前は海外の大きなライブ会場に変わり、

まるでその場に瞬間移動したような錯覚を覚えました。

CDがライブ音源だったので、 周りの観客の声援や悲鳴等、会場の熱気があまりにもリアルで、


私は、 頭の中が真っ白になって


だた一言 「スゴイ」と。


今まで聞いた事の無い本当に素晴らしい音でした。


嬉しくて涙が止まりませんでした。



原音再生の感動を始めた味わった感動は、

当時の私にはかつてない素晴らしい経験であり、

二度と忘れられないものとなりました。


背筋に稲妻が走る様な快感。



私の人生はこの感覚の追求こそが宿命なのだとすら思えてしまう程、

思春期の大きな価値観の転覆だったのです。