お話は下の記述の続き。
昨夜のことである。
さて、アンジーのライヴも終わり、久しぶりの友人との会話の余韻と、熱燗二合のほろ酔い気分で、フラフラと泊まる予定のカプセルホテルへ向かう。
ホントは一晩だけネットカフェ難民化しようかとも思ったが、やはり、風呂に入りたい。というか、アトピー持ちの私は、風呂に入らないと、おそらく顔はもちろん全身がかゆくなってタイヘンなことになってしまう可能性大(最近はシャワー・ルームのあるネット・カフェもあるようだが、そこまでリサーチしていなかった)。
絶対的に風呂は必要。
で、テコテコと歩いていても、目的のカプセルホテルが見つからない。
「地図があれば、どこにでも行ける」という自信があった。
実際、「地図を読む」技術は、大学時代にかなり鍛えられた。国土地理院の25000分の1地形図の上、等高線を読んで(前にもどこかに書いたが、地図は「見る」ものではなく「読む」ものである)、自分の現在位置を判断しつつ、林道を進んで地質調査をした。
が、大きな陥穽。
「地図を読める」のは、方角がわかっているから。
全然知らない街(電車で通過したことは何度もあった)で、当然のことながらコンパス(方位磁石)もない状態。
もっとも、地図とはいっても、携帯で検索した地図に過ぎないのだが。
見事に反対方向へ行っていた。東へ行くべきところ、西へ向かっていた。
「あちゃ~! 道を間違えた~!」
と気づいて、すぐに駅に戻った。
そう、ホラ、ちゃんとすぐさままっすぐに駅に戻れるのだから、「迷った」とは言わないのだ(強弁)。
ハナッからやっておけばよかったのだが、そのカプセルホテルへ電話して、道順を教えてもらう。
電話の向こうは、どうやらチャキチャキの江戸っ子といったカンジの声。
で、カプセルホテルに着いたのだが……。
先程、電話で道順を押してくれたオッチャンがフロントにいた。
江戸弁(標準語とは違う下町のコトバ)で、しかもプラス「おネェ」コトバである。
ま、べつに構わないけど。
まず、靴を靴箱に入れて鍵をかけたら、すぐさまその鍵をフロントのおっちゃんが取り上げてしまう。
ん
ここで最初のクェスチョン・マークです。
「あ、名前と電話番号だけでいいわよ。今日はね、無礼講だからいいのいいの。あのね、忘れ物したときしか電話しないからね」
と、言われる。こちらは、宿泊者名簿というかカードにとりあえず名前と携帯の番号を書く。
うーむ、無礼講?
ちょっとした疑惑が脳裏をよぎる。が、前金で宿泊料を支払う。
すると、
「じゃ、こっちで服脱いでね、ハダカになって、お風呂入ってね
」
と、どんどん私をロッカー・ルームへ。そこで渡されたのが、紙製のパンツと薄手の上着。
真っ先に想像したのが、ホラ、アレですよ。
大腸内視鏡検査のときに履かされるアレ……って、あ、わからないですか。わかるわけないですよね。
大腸内視鏡検査なんて、やったことある人のほうが少ないわな。
で、上着もまた、ホラ、アレですよ。内視鏡検査のときに着せられる病院の検査着にそっくりなんですよ。
……って、これもまた、わからないですわな。
で、フロントのおっちゃんに言われるがままに、ロッカー・ルームへ。
服を脱いで、私物はすべてロッカーへ。そして、服を脱ぎ、全裸になり、衣服も全部、ロッカーへ入れる。鍵は腕にブレスレットか腕時計のように巻く。その代わりに、しかたないので大腸内視鏡検査時のようなシロモノを着て、おそるおそる浴室へ。
う~む、なんだか、不穏な気分がふつふつと湧き出てくるのを禁じ得ない。
こういうとき、どんどん私はヘンなコトを考えてしまう。
次々に、いろんなストーリーを思い浮かべてしまう。
困った性癖である——それを、一般的には「妄想癖」と呼ぶ。
もしかして……このフロントのオネェ言葉のおっちゃん(おそらく60代か)が、夜這いをかけてくるのではないか?
いやいや、それだけではない。
もしかしたら、そもそもこのカプセルホテル自体が、私が全然知らないだけで、実は知る人ぞ知る、その……ええと、何と言いますか、
男性同士の出会いのキッカケや交流というか交わりというか、
そんな所謂「ハッテン場」的なところだったら……
どないしょ~???
などと思うのである。
浴場でシャワーを浴びつつ、同時にシャンプーをしているおじさんを横目で見つつ、
あの……私、ノンケなんですけど……もしも、ここが「そういう場所」だったら、ホント、間違って入っちゃったんで、そういうコトは、あの……すみません、ダメなんですよ、マジで。
と、必死に念を送る。
「そういう場所」の場合、「符丁」のようなものがある……らしい。
例えば、名古屋市内の某ポルノ映画館で、椅子に座らずにいちばん後ろに立っていると、それは「オッケーよ!」という意味、だとか(ちなみに、それを身をもって実践した某自主映画関係者がいるのだが、あえて当人の名誉のために名前は出さないでおきます)。
う~む、もしかして、ここにもそんな「符丁」があるの? 例えば、シャワーだけじゃなくて、「浴槽に入ったらオッケー」とか……。
緊張しつつ、先に浴場にいた人が出てから、私は浴槽にちゃっちゃっと入って、すぐに出る。
さて、風呂から出ると、うわ、眼の前にフロントのおっちゃんが……。
「あれ、もう出るの? じゃ、部屋に案内するわね
」
で、私はおそるおそる、
「あの……荷物は……?」
いきなり文字通り「裸一貫」にされて、私物はすべてロッカーに入れたままである。
が、おっちゃんは、
「大丈夫大丈夫。心配しないでいいのよ。ここに酔っぱらいなんかいないから。あたしが前にいたトコロなんてひどかったんだから。ウチは大丈夫だからね
」
いえ、あの、その……べつな意味でめっちゃ「大丈夫じゃない」んですけど……。
というコトバを飲み込み、「はあ……」と答えて、とりあえず部屋というか「カプセル」へ。
内部はこんなカンジ↓。
意外と広い。というか、天井が高いので、閉所恐怖症の私も平気。
だが、やはり心配なことはある。
気分は、「ベイツ・モーテル」に泊まってしまったジャネット・リーである。
あ、違うか。ジャネット・リーは、安心しきってシャワーを浴びてたときに、ノーマン・ベイツの「母親」が現れて、バーナード・ハーマン作曲のあのストリングスがキィッキィッキィッ……おっと、ネタバレしそうだな(わかる人だけわかってね)。
荷物を自分の部屋(カプセル)へ持って行こうと思い、ロッカー・ルームへ戻る。
とりあえず、財布と免許証、携帯電話を持って、カプセルへ戻る。
そこで、一緒にアンジーのライヴに行った友人がたぶん心配しているだろうと思い、「泊まる場所が確保できた」との報告をしようとしたら……携帯が圏外……。
ん???
「カプセル」から出て、あちこち移動して、窓際まで行ったけど、やっぱり圏外。
んぐぐぐ……。もしかして、ココって、実はかなりヤバイ場所だったりするんですか?
いや増す緊張感。
マジでココって、「ベイツ・モーテル」じゃないですよね。
で、一階へ行き、フロントのオネェおっちゃんに
「あの……すみません、携帯が圏外なんで……」
が、こっちは、まさに「内視鏡検査前のクローン病患者」という姿。外に出られない。靴も相手に取られている。
が、おっちゃんは、
「外は寒いわよ。じゃ、ここ開けてあげる。早めに終わってね
」
と、非常口のドアを開けてくれた。
あ、もしかして、意外といい人かも……?
で、ようやくアンテナ3本獲得! 初段昇格!(ケータイ大喜利かいっ!)
一緒にライヴに行った友人にメールしようと思ったら、次々にメール着信アリ。
友人からのメールと留守電メッセージであった。
「粗忽者」である私を心配して、
「ホントに泊まるところを見つけられたのか?」
というメールであった。
あ、そうだ。「粗忽」って、いいコトバだよね。今はあんまり使わないけど。落語でしか聞かない言葉だなぁ。「粗忽の釘」とか「粗忽長屋」とか……。あ、それは今はどうでもよい。
いやはや、友人にはたいへんな心配かけてしまった。すみません。m(__)m
とりあえず、なんとか寝床を確保したことを報告。
しかし……

ノンケの僕には~
誰にも話せない~
悩みの種があるのです~
と歌ったら怒られるかも知れないが、実を言うと私は、まだ「悩みの種」を抱えていたのであった。
ううむ、もしもここが「ハッテン場」だったら……。
たいへんに申し訳ないけれど、私はノンケなんです。間違って入ってしまったんです。
私はガリガリに痩せていて、デブでもないしマッチョでもないから、そういう方々の好みには合わないとは思うけど……
「蓼食う虫も好き好き」
というコトバもある。もしかしたら、「ガリ専」なんてえ人がいらっしゃるかもしれない。
でも、すみません、ホント、マジで、ノンケなんです。ヘテロなんです。
そりゃ、クローン病患者なので、肛門様を内視鏡でアナル責めされた経験は、普通の人より豊富だけど、全然そういうの、ダメなんです。マジで、許して下さい。
謝って済むものならいいけど、力ずくで来られたら……などということも考える。
腕っ節はからっきしダメだから、ヤラれてしまうだろうなぁ……。
なんてえことを考えると、すでに部屋(カプセル)に入っている他の人に警戒心を覚えてしまう。
が、私という人間は、「寝ないとダメ」という、たいへんにシンプルな出来である。
とりあえずは、寝ることにする。
心配しててもしょうがないわな。そのときは、そのときだ。なんとかするっきゃない。
さて、「枕が変わると眠れない」なんてえことをいうが、「枕が同じでも眠剤がないとフツーに眠れない」人間であるから、しばらくのあいだ、輾転反側。
そのあいだにも、次々に客が入ってくる。明らかに、戸惑いつつ入ってくるようなサラリーマン(あくまでも声だけでの判断だが)が多い。繁盛しているカプセルホテルのようだ。彼らもまた、「ベイツ・モーテル」の犠牲となるのか?
……てなことを思っているうちに、いつしか眠りに就いたのが、たぶん3時過ぎ。
しかし
ゼッタイに忘れねえぞバーロ、てやんでいっ
5時45分に、どこかの部屋(カプセル)で目覚ましのアラームが鳴った……。しかし、起きないんだよ、そこの奴が!
他の部屋(カプセル)の人も何人か目覚めたようで、ゴソゴソと物音がする。
自動で10分後にはアラームは止まったが……なんで起きんのじゃボケ!
こっちは少なくとも4時間は寝ようと思ったが、結局、実質2時間程度しか眠れなかったではないか
で、私は7時にアラームをセットしていたのだが、結局、寝ることは断念してその前に起き、朝風呂。
ああ、無事に朝を迎えられた。私の貞操は守られた。よかったよかった。
というわけで、予定よりもずっと早く、8時前にはチェック・アウトして、カプセルホテルを出たのであった。
で、東京駅まで出て、ホントは東京駅ホームで「立ち食いそば」を喰いたかったのだが、新大阪行きの「のぞみ」がすでにホームに来ていたので、ソッコー乗る。
ちなみに、今回の東京往復は、行きも帰りも「700系」だった。
ううむ、次の機会には「N700系」を選んで乗ってやろう。
↑これは、東京行きの新幹線。700系の2shot。何度も言うけど、私は「鉄」な人間ではありません。
11時前には帰宅。
午後から仕事なので、とりあえずは一度寝て、そのあとG県K市の仕事先へ、片道2時間近くをかけて出かける。
そして、仕事の直前に栄養ドリンクを一本飲んでキメて、なんとかやるべきことをこなす。
ホントは、夜にstone entertainmentの小森やすのり監督の次回作の「企画会議」というか、所謂「籠り」(シャレではありません)が、劇団pH-7アトリエで行われたのだが、さすがに私はヘロヘロで参加できず。
っていうか、stone entertainment 2010作品に、私がどれだけ貢献できるのか、っつーか、2010年に自分が生きている自信が全然ないんですけど。
しかしとにかく、今、私の周りでは、私が心から愛し、心から尊敬する人たちが、あまりにも多く存在していて、その人たちが「次の表現」「次の行動」「次の生き方」を目指し、常に前へ前へと進み続けている。
still fightin' it!
そんな友人たちに恵まれていることを、私は至上の幸福だと思う。
でも、2009年の私は、おとなしく静かに平穏に過ごしたいと思っております……。
昨夜のことである。
さて、アンジーのライヴも終わり、久しぶりの友人との会話の余韻と、熱燗二合のほろ酔い気分で、フラフラと泊まる予定のカプセルホテルへ向かう。
ホントは一晩だけネットカフェ難民化しようかとも思ったが、やはり、風呂に入りたい。というか、アトピー持ちの私は、風呂に入らないと、おそらく顔はもちろん全身がかゆくなってタイヘンなことになってしまう可能性大(最近はシャワー・ルームのあるネット・カフェもあるようだが、そこまでリサーチしていなかった)。
絶対的に風呂は必要。
で、テコテコと歩いていても、目的のカプセルホテルが見つからない。
「地図があれば、どこにでも行ける」という自信があった。
実際、「地図を読む」技術は、大学時代にかなり鍛えられた。国土地理院の25000分の1地形図の上、等高線を読んで(前にもどこかに書いたが、地図は「見る」ものではなく「読む」ものである)、自分の現在位置を判断しつつ、林道を進んで地質調査をした。
が、大きな陥穽。
「地図を読める」のは、方角がわかっているから。
全然知らない街(電車で通過したことは何度もあった)で、当然のことながらコンパス(方位磁石)もない状態。
もっとも、地図とはいっても、携帯で検索した地図に過ぎないのだが。
見事に反対方向へ行っていた。東へ行くべきところ、西へ向かっていた。
「あちゃ~! 道を間違えた~!」
と気づいて、すぐに駅に戻った。
そう、ホラ、ちゃんとすぐさままっすぐに駅に戻れるのだから、「迷った」とは言わないのだ(強弁)。
ハナッからやっておけばよかったのだが、そのカプセルホテルへ電話して、道順を教えてもらう。
電話の向こうは、どうやらチャキチャキの江戸っ子といったカンジの声。
で、カプセルホテルに着いたのだが……。
先程、電話で道順を押してくれたオッチャンがフロントにいた。
江戸弁(標準語とは違う下町のコトバ)で、しかもプラス「おネェ」コトバである。
ま、べつに構わないけど。
まず、靴を靴箱に入れて鍵をかけたら、すぐさまその鍵をフロントのおっちゃんが取り上げてしまう。
ん

ここで最初のクェスチョン・マークです。
「あ、名前と電話番号だけでいいわよ。今日はね、無礼講だからいいのいいの。あのね、忘れ物したときしか電話しないからね」
と、言われる。こちらは、宿泊者名簿というかカードにとりあえず名前と携帯の番号を書く。
うーむ、無礼講?
ちょっとした疑惑が脳裏をよぎる。が、前金で宿泊料を支払う。
すると、
「じゃ、こっちで服脱いでね、ハダカになって、お風呂入ってね
」と、どんどん私をロッカー・ルームへ。そこで渡されたのが、紙製のパンツと薄手の上着。
真っ先に想像したのが、ホラ、アレですよ。
大腸内視鏡検査のときに履かされるアレ……って、あ、わからないですか。わかるわけないですよね。
大腸内視鏡検査なんて、やったことある人のほうが少ないわな。
で、上着もまた、ホラ、アレですよ。内視鏡検査のときに着せられる病院の検査着にそっくりなんですよ。
……って、これもまた、わからないですわな。
で、フロントのおっちゃんに言われるがままに、ロッカー・ルームへ。
服を脱いで、私物はすべてロッカーへ。そして、服を脱ぎ、全裸になり、衣服も全部、ロッカーへ入れる。鍵は腕にブレスレットか腕時計のように巻く。その代わりに、しかたないので大腸内視鏡検査時のようなシロモノを着て、おそるおそる浴室へ。
う~む、なんだか、不穏な気分がふつふつと湧き出てくるのを禁じ得ない。
こういうとき、どんどん私はヘンなコトを考えてしまう。
次々に、いろんなストーリーを思い浮かべてしまう。
困った性癖である——それを、一般的には「妄想癖」と呼ぶ。
もしかして……このフロントのオネェ言葉のおっちゃん(おそらく60代か)が、夜這いをかけてくるのではないか?
いやいや、それだけではない。
もしかしたら、そもそもこのカプセルホテル自体が、私が全然知らないだけで、実は知る人ぞ知る、その……ええと、何と言いますか、
男性同士の出会いのキッカケや交流というか交わりというか、
そんな所謂「ハッテン場」的なところだったら……
どないしょ~???
などと思うのである。
浴場でシャワーを浴びつつ、同時にシャンプーをしているおじさんを横目で見つつ、
あの……私、ノンケなんですけど……もしも、ここが「そういう場所」だったら、ホント、間違って入っちゃったんで、そういうコトは、あの……すみません、ダメなんですよ、マジで。
と、必死に念を送る。
「そういう場所」の場合、「符丁」のようなものがある……らしい。
例えば、名古屋市内の某ポルノ映画館で、椅子に座らずにいちばん後ろに立っていると、それは「オッケーよ!」という意味、だとか(ちなみに、それを身をもって実践した某自主映画関係者がいるのだが、あえて当人の名誉のために名前は出さないでおきます)。
う~む、もしかして、ここにもそんな「符丁」があるの? 例えば、シャワーだけじゃなくて、「浴槽に入ったらオッケー」とか……。
緊張しつつ、先に浴場にいた人が出てから、私は浴槽にちゃっちゃっと入って、すぐに出る。
さて、風呂から出ると、うわ、眼の前にフロントのおっちゃんが……。
「あれ、もう出るの? じゃ、部屋に案内するわね
」で、私はおそるおそる、
「あの……荷物は……?」
いきなり文字通り「裸一貫」にされて、私物はすべてロッカーに入れたままである。
が、おっちゃんは、
「大丈夫大丈夫。心配しないでいいのよ。ここに酔っぱらいなんかいないから。あたしが前にいたトコロなんてひどかったんだから。ウチは大丈夫だからね
」いえ、あの、その……べつな意味でめっちゃ「大丈夫じゃない」んですけど……。
というコトバを飲み込み、「はあ……」と答えて、とりあえず部屋というか「カプセル」へ。
内部はこんなカンジ↓。
意外と広い。というか、天井が高いので、閉所恐怖症の私も平気。
だが、やはり心配なことはある。
気分は、「ベイツ・モーテル」に泊まってしまったジャネット・リーである。
あ、違うか。ジャネット・リーは、安心しきってシャワーを浴びてたときに、ノーマン・ベイツの「母親」が現れて、バーナード・ハーマン作曲のあのストリングスがキィッキィッキィッ……おっと、ネタバレしそうだな(わかる人だけわかってね)。
荷物を自分の部屋(カプセル)へ持って行こうと思い、ロッカー・ルームへ戻る。
とりあえず、財布と免許証、携帯電話を持って、カプセルへ戻る。
そこで、一緒にアンジーのライヴに行った友人がたぶん心配しているだろうと思い、「泊まる場所が確保できた」との報告をしようとしたら……携帯が圏外……。
ん???
「カプセル」から出て、あちこち移動して、窓際まで行ったけど、やっぱり圏外。
んぐぐぐ……。もしかして、ココって、実はかなりヤバイ場所だったりするんですか?
いや増す緊張感。
マジでココって、「ベイツ・モーテル」じゃないですよね。
で、一階へ行き、フロントのオネェおっちゃんに
「あの……すみません、携帯が圏外なんで……」
が、こっちは、まさに「内視鏡検査前のクローン病患者」という姿。外に出られない。靴も相手に取られている。
が、おっちゃんは、
「外は寒いわよ。じゃ、ここ開けてあげる。早めに終わってね
」と、非常口のドアを開けてくれた。
あ、もしかして、意外といい人かも……?
で、ようやくアンテナ3本獲得! 初段昇格!(ケータイ大喜利かいっ!)
一緒にライヴに行った友人にメールしようと思ったら、次々にメール着信アリ。
友人からのメールと留守電メッセージであった。
「粗忽者」である私を心配して、
「ホントに泊まるところを見つけられたのか?」
というメールであった。
あ、そうだ。「粗忽」って、いいコトバだよね。今はあんまり使わないけど。落語でしか聞かない言葉だなぁ。「粗忽の釘」とか「粗忽長屋」とか……。あ、それは今はどうでもよい。
いやはや、友人にはたいへんな心配かけてしまった。すみません。m(__)m
とりあえず、なんとか寝床を確保したことを報告。
しかし……

ノンケの僕には~
誰にも話せない~
悩みの種があるのです~
と歌ったら怒られるかも知れないが、実を言うと私は、まだ「悩みの種」を抱えていたのであった。
ううむ、もしもここが「ハッテン場」だったら……。
たいへんに申し訳ないけれど、私はノンケなんです。間違って入ってしまったんです。
私はガリガリに痩せていて、デブでもないしマッチョでもないから、そういう方々の好みには合わないとは思うけど……
「蓼食う虫も好き好き」
というコトバもある。もしかしたら、「ガリ専」なんてえ人がいらっしゃるかもしれない。
でも、すみません、ホント、マジで、ノンケなんです。ヘテロなんです。
そりゃ、クローン病患者なので、肛門様を内視鏡でアナル責めされた経験は、普通の人より豊富だけど、全然そういうの、ダメなんです。マジで、許して下さい。
謝って済むものならいいけど、力ずくで来られたら……などということも考える。
腕っ節はからっきしダメだから、ヤラれてしまうだろうなぁ……。
なんてえことを考えると、すでに部屋(カプセル)に入っている他の人に警戒心を覚えてしまう。
が、私という人間は、「寝ないとダメ」という、たいへんにシンプルな出来である。
とりあえずは、寝ることにする。
心配しててもしょうがないわな。そのときは、そのときだ。なんとかするっきゃない。
さて、「枕が変わると眠れない」なんてえことをいうが、「枕が同じでも眠剤がないとフツーに眠れない」人間であるから、しばらくのあいだ、輾転反側。
そのあいだにも、次々に客が入ってくる。明らかに、戸惑いつつ入ってくるようなサラリーマン(あくまでも声だけでの判断だが)が多い。繁盛しているカプセルホテルのようだ。彼らもまた、「ベイツ・モーテル」の犠牲となるのか?
……てなことを思っているうちに、いつしか眠りに就いたのが、たぶん3時過ぎ。
しかし

ゼッタイに忘れねえぞバーロ、てやんでいっ

5時45分に、どこかの部屋(カプセル)で目覚ましのアラームが鳴った……。しかし、起きないんだよ、そこの奴が!
他の部屋(カプセル)の人も何人か目覚めたようで、ゴソゴソと物音がする。
自動で10分後にはアラームは止まったが……なんで起きんのじゃボケ!
こっちは少なくとも4時間は寝ようと思ったが、結局、実質2時間程度しか眠れなかったではないか

で、私は7時にアラームをセットしていたのだが、結局、寝ることは断念してその前に起き、朝風呂。
ああ、無事に朝を迎えられた。私の貞操は守られた。よかったよかった。
というわけで、予定よりもずっと早く、8時前にはチェック・アウトして、カプセルホテルを出たのであった。
で、東京駅まで出て、ホントは東京駅ホームで「立ち食いそば」を喰いたかったのだが、新大阪行きの「のぞみ」がすでにホームに来ていたので、ソッコー乗る。
ちなみに、今回の東京往復は、行きも帰りも「700系」だった。
ううむ、次の機会には「N700系」を選んで乗ってやろう。
↑これは、東京行きの新幹線。700系の2shot。何度も言うけど、私は「鉄」な人間ではありません。
11時前には帰宅。
午後から仕事なので、とりあえずは一度寝て、そのあとG県K市の仕事先へ、片道2時間近くをかけて出かける。
そして、仕事の直前に栄養ドリンクを一本飲んでキメて、なんとかやるべきことをこなす。
ホントは、夜にstone entertainmentの小森やすのり監督の次回作の「企画会議」というか、所謂「籠り」(シャレではありません)が、劇団pH-7アトリエで行われたのだが、さすがに私はヘロヘロで参加できず。
っていうか、stone entertainment 2010作品に、私がどれだけ貢献できるのか、っつーか、2010年に自分が生きている自信が全然ないんですけど。
しかしとにかく、今、私の周りでは、私が心から愛し、心から尊敬する人たちが、あまりにも多く存在していて、その人たちが「次の表現」「次の行動」「次の生き方」を目指し、常に前へ前へと進み続けている。
still fightin' it!
そんな友人たちに恵まれていることを、私は至上の幸福だと思う。
でも、2009年の私は、おとなしく静かに平穏に過ごしたいと思っております……。

