昨夜のNHK「アナザーストーリーズ」を観ました。

めちゃくちゃ感動したので、ここへ書きます。

 

中村八大は、坂本九を見て、

 

「明るい坊やだけど、その奥に悲しみがある。」

 

ペーソスがある、あの坊やいいなあと思った。

 

確かにいつもいつも笑顔でおちゃらけながら、

周囲に笑いを振りまいて、その実、

心の奥に人知れず悲しみを抱えているような、

そんな感じがしますよ、九ちゃんは。

 

だから、八大は、

自分のリサイタルに坂本九を歌わせたいと思った。

リサイタルはもちろん、全曲新曲です。

出演歌手は、ジャズがしっかり歌える八大好みの

江利チエミ、ザ・ピーナッツ。。。と、錚々たるメンバー。

 

そもそも、九ちゃんの声は、ビブラートがかかり過ぎ、

歌はダメだと思われていたようです。

そういえば、たけしの歌声も超ビブラート、あんな感じ。

 

さあ、そして永六輔に作詞を依頼した。

その悲しみを歌にしてくれと。

 

九ちゃんにスコアが渡されたのは、コンサート当日。

出番前まで練習して、「大丈夫!」と舞台へ出た。

 

歌い終わったら、出演者関係者全員が、

「あの歌はすごくいい!」と絶賛だったそうです。

 

番組では、

九ちゃんの歌い方と、八大の直筆スコアを比較検証。

 

スコアでは、

「うーえをむーいてあーるこおーーー」

 

なのに、九ちゃんは、大好きなエルビスよろしく、

「(ん)うえをむういてああるこうぉううぉううぉう」

と、裏拍から歌っていた!(今回番組で発見!)

おまけに、日本語の「を」は「うぉう」

 

コンサートで、九ちゃんの歌を聞いた作詞の永六輔、

最後まで聞かずに席を立って帰ったそうです。

「ひどい!歌が台無し!」

ところが、大ヒットになったので、

「僕は、全然わかってないなあ!」と反省したらしい。

 

アメリカでの大ヒット。

偶然に坂本本人の歌唱によるシングルを入手した、

カリフォルニア州フレズノのDJが、

勝手にかけたのがそもそもの始まり。

当時、かける曲は、番組の担当者?が決めることで、

DJが勝手に決めてかけるってことは、大問題!

ところが、かけている最中から、リクエストの電話が、

ガンガン殺到、すごい人気ぶり。

 

この当時、フレズノには、戦争前に入植に来た日本人が、

たくさん住んでいたそうです。

開戦と同時に敵国扱いされ、果ては収容所送り4年間、

自分たちの誇りもアイデンティティも失い、

三世の子供らは夢も希望もなく、壮絶ないじめにも会い、、、、、

 

そこへ、ラジオから日本語の歌が流れてきた。

「ばあちゃんがしゃべっていた言葉だ!」

 

彼らにとって、これがどんなに希望だったか!

私には想像もつきません。

 

九ちゃん短い一生でした。

亡くなる前には歌手というより、1タレントのようで、

歌からは遠ざかっておりましたね。

 

でも、中村八大のライブに出かけた九ちゃん、

 

「また歌いたい!」って、言ったそうです。

 

その5日後に、、、、、

 

いやもう、泣いちゃってこれ以上は無理。

 

九ちゃん、悔しかったね!

 

NHK「アナザーストーリーズ」

「”上を向いて歩こう”全米№1の衝撃」