寂しい夜と淋しい僕で 気がつけば世界は二人きり -59ページ目

寂しい夜と淋しい僕で 気がつけば世界は二人きり

想いは誰にも見えないから、このようにブログにしてみたのです。
ダメな僕を朝日とやらが映し出す時まで

木曜日、嫁さんが急に言い出した。

「星空を見に行きたい。」

何か旅行をするときには計画をビッチリ立てないと気が済まない僕だが、
こういう突発的な旅行は好きだ。
もとより、嫁さんが自ら「○○したい」と言い出してくれたことが、嬉しかった(1割はやりたい事を言い出してくれたのでラッキーと思っただけかも)

そこで今回は児童育成プログラムとか小学校のお泊まり遠足みたいなのでお馴染みの宿泊施設に一泊二日で行くことにした。

まずはレンタカーを借りた。
ドライブは久しぶりだ。
この日のために、嫁さんと一緒に聴きたい曲のプレイリストを作っていたが、大成功だった。

こうして、ぼくらは無計画な旅へと出発した。




※ここからは思い出話に加えて僕のクソみたいな人生を変えたいという願いとかそういう散文を書いていきたいと思う。うまく行くかは分からない。



旅の始まりは、スーパーマーケットだった。
宿泊施設ではバーベキューが出来たからだ。
とりあえず、肉とお茶を買いすぎないように買った。

しかし、買い物を終えたところで肝心なことに気づいた。
クーラーボックスや保冷バッグが、ない。
土曜日は日中の最高気温が33℃くらいまで上がった。
炎天下の中、クーラーボックスも無しに肉を持ちながら車を走らせる事は流石に頭が悪い。

そう思って、僕らは一度妻の家に戻ることにした。
そして、保冷剤と調味料を持ち出し、コンビニに寄りながら再び宿泊施設を目指した。


家→レンタカー屋さん→スーパーマーケット→家→コンビニって、
どんだけ寄り道しているんだか。
まるで僕の毎日の仕事のやり方と変わらない。
優先順位を付けることが苦手。だからいつも遠回りばかりしてしまう。

ともあれ、昨日の今日計画した旅行なのだし、ざっくりとした予定しか考えていないのだから
ある意味正しい動きをしているのだと思う。



宿泊施設の近くには、ジェラート屋さんがあった。
元々、嫁の誕生日が近く、サーティーワンのバースデーケーキアイスを食べる計画をしていたけれど計画倒れしていたこともあり、ジェラート屋さんの存在はとても魅力的なものに感じた。
実際、バースデーケーキうんぬんに関係なく、ジェラートは美味しかった。
ジェラート屋さんのおばさんは、お店を出すのが夢で始めたらしい。カフェかジェラート屋かで迷ったみたいだが、僕は悩める選択肢の類いの中では一番ステキなものだと思った。
今までの暮らしを変えて何か新しい事を始めることは簡単じゃない。それは俺が一番よくわかっている。

やりたい事をやって生きていくって、どんな気持ちなんだろう。
その人が見ている景色はどんなものなのだろう。
この後、その答えを知ることになる。



15:30過ぎて、僕らは宿泊施設に着いた。
このご時世だから、宿泊客は僕らを含めて2組4人しか居なかった。
僕らの部屋はロッジだった。
そこには、バーベキューキットが備え付きであり、ワクワクが止まらなかった。

少し休憩をした後、いよいよバーベキューを開始した。
ところが早速、火起こしで大苦戦した。
ネットには「燃える割り箸や新聞紙の周りに木炭を煙突状におく」と書いてあったが、これがちっともうまくいかない。
僕も嫁も、あからさまな諦めモードになった。嫁はそもそも始める前に「面倒臭い」と言っていた。(しかしそれは買い物をしている時から薄ら感じていた。感じていたけど黙っていた事を、嫁は口に出すのだから、すごい)

最終的に、火のついた木炭に向かって思いっきり団扇を漕ぎ続けたら火がついた。

苦労した甲斐があって、焼肉はとても美味しかった。
思うに、バーベキューが人気な理由って、頑張った分だけ、体を動かした分だけ、火がついて肉がおいしく焼けて、食べられる
つまり、努力したぶんすぐに成果が目に見えて返ってくる事なのだと思う。
嫁も火起こし、野菜切り、調味料などの準備を頑張ってくれた。



アルプス山脈の夕焼けの景色を二人で独占しながら食べた焼肉は、塩味が強くて、コゲていて、でも美味しかった。



思えばいつもは離ればなれに暮らしている二人が、その日その時は世界中で二人きりになれた。
嫁さんと二人でいられる時間は、僕にとっては何にも変えがたいものだ。
どんなにお金が掛かろうとも、レンタカーや新幹線を駆使して、僕は今日この場所に来たかったんだ。
いつか二人でいられる日を夢見ている。
でもこのままだと、徒らに時だけが流れていってしまう。
二人でいられる時間は、そんなに長くないかもしれないのに。


本当に、このままでいいのだろうか…?



その時、突然の雨が降ったかと思えば、すぐに止んだ。
遠くの山に雷雲はかかっていたが、新月の日から2,3日しか経っていない今日。
夕焼けを追いかけていく月は、細くて暗かった。



それから肉を食べ終えた嫁は、おもむろにロッジの前の舗道に仰向けになり横たわった。

僕もそれに続いて横になり、空を見上げた。




































星だ。
夜空に星が少しずつ浮かび上がってきた。
星が、ひとつ。
また、ひとつ。
いや、もっと。もっとたくさん!
数え切れないくらい多くの星が浮かび上がってきた。
人工衛星が飛んでいるのも見かけた。
19時を過ぎた頃には夕日は沈み切っていて、夜空の星が綺麗に輝いて見えた。



僕たちは横たわりながら、
星を見て、抱きしめ合った。

ケータイからは
Mr.Childrenの『ポケットカスタネット』と、
RADWIMPSの『愛にできることはまだあるかい』
が流れていた。



ああ、どうか。神さま。
どうか、このまま二人が一生いっしょに幸せにいられますように。
どうか、今夜見上げた星の景色を忘れませんように。





その後、施設で天体観測をした。
雨が降って大型の天体望遠鏡は使えなかったが、代わりに中型の望遠鏡を使って、木星、土星、二重星、星雲を見せてもらった。

4人だけのための天体観測はとても有意義なものだった。

僕は初めて肉眼で、天の川を見た。
ハクチョウ座、こと座、デネブ、アルタイル、ベガ。
カシオペア座と北極星。
名前を忘れた星座も見た。
流れ星も何個か見かけた。
嫁さんと同じ流れ星を見ることができた。
しあわせな時間を、僕はたくさんもらえた。

ありがとう。



僕はこの旅行で、写真はほとんど残さなかった。
面倒臭いという気持ちがあったのではなく、残しても無駄だと分かっていたからだ。

写真を撮ることに注力していたら、
星空や嫁の姿を自分の目でしっかりと見ることができなかっただろうから。



大切なことはきっと、写真には映らない。
自分の目で見て、心で感じるしかないんだ。
そして、思ったことは行動に起こさないとダメなんだ。



僕は今、何を思っているのだろう…?
僕がなりたい未来って、どんなものなのだろう?
本当に、このままでいいのだろうか?

妻とともに暮らしたい。
妻とまた、綺麗な星を見ながら歩きたい。
大好きな人と。大切な人と。

星空は、近くに該当やネオン灯があると見ることができない。
六等星の星など、すぐに隠れてしまう。
その六等星の中にこそ、もっとも大切なことが存在するのかもしれないのに。
毎日何かに忙殺されていては、大事な事を見失ってしまう。
夢があるなら、多少の犠牲がついても、冒険しよう。
僕の夢を星に照らし合わせて、
星を見つけて、僕を見つけて。





星を見終えた僕たちは、そのままロッジに帰って眠りについた。





次の朝。
アルプス山脈を見ながら、
朝ごはんにくるみパンと梨を食べた。
ちょっと肌寒く感じたけど、気持ちのいい朝だった。


その日はたくさんの冒険をした。
アスレチックのすべり台を滑った。
サッカー場や展望台を散歩した。
山登りの山道にも向かった。(サンダルでは登れない山道だったので、虫も多いし諦めた。)

代わりばんこに運転しながら、
途中で車の中でお昼寝したり、
かき氷を食べたり、

僕たちは、子どものように二人だけの時間を二人のためだけに過ごした。





帰りの時間が近づいて。
レンタカーも返して、夕飯のラーメンを食べて。
最後に僕たちは本屋に行って、星座の本を買った。
星座や神話が学びたくなったからだ。



帰りの新幹線で、買った図鑑を読んでみた。
が、長旅に疲れて眠くなってしまい、
残念ながらほとんど頭に入ってこなかった。



最寄駅から自宅までの道。
僕は空を見上げた。
家に着いてからも、空を見上げた。


やはり街頭の明かりに邪魔されて、
星は見えなかった。