長い夏休みがやっと終わった。

夏休みの終わり、継子はパニックになっていた。

読書感想文が書けない事で。

リビングのテーブルで書いていたけど、途中からイライラし始めて、リビングをうろうろ歩き回る。眉間に皺を寄せて猫背のおじいさんのような姿勢で歩き回る。

夫が継子に読書感想文を書けと言ったようだ。

やってもらやなくてもどちらでもいい宿題なのに。

夫はきちんとお便りを読んでいない。

読書感想文か夏の思い出の作文のどちらかを書けば良いのだ。

なのに、読書感想文を書かせている。

本も借りてないから、図書館にまで行って本を借りさせていた。

その本は金融の本だった。謎すぎて笑えた。

もちろん読むわけはない。


ずっとリビングでウロウロして頭をボリボリ掻きむしってるので、「もう作文にしなよ。継子に読書感想文は難しすぎるよ。(なんせ金融の本だし)夏休みに花火した事とか海で水遊びした事とか書けばいいでしょ」と教えてやった。イライラしている継子は読めないほど汚い字で何か作文を書いていた。


新学期の前日の夜、夫はお便りを見ながら、「桃子ちゃん、雑巾2枚ある?」などと確認して、継子の新学期の準備を手伝ってやっていた。

そして新学期を迎えた。

新学期の次の日からは給食があった。

やっといつもの日常が戻った。

その日の朝、継子を起こした後、洗濯物を干したりペットの世話などを必死にしてると、継子が学校へ行く時間が来た。

ふと、リビングにいる継子を見ると朝食も食べずにパジャマでYouTubeを見ていた。

この子は目先の事しか考えられない。親がバタついてるから、今が見るチャンスだと思ったのだろう。


この子は一生こうやって生きてくしかないのだろうか。


「何やってるの?学校間に合わないよ?」と言うと、ごそごそ制服に着替え出て行こうとした。

「何も食べないの?」と聞くと無視して行ってしまった。


新学期から3日経った日、夫が継子に宿題をさせていた。そして夫はガリガリと鉛筆削りの取手を回して継子の鉛筆を一本一本削ってやっていた。

それが終わると、夫は大きな透明のゴミ袋にたくさんの荷物を詰めている。

袋の中にはお道具箱とか鍵盤ハーモニカとかたくさん入っている。

どうしたの?と尋ねると、「先生から電話があったんだ。継子が学校に何も持ってきてないから確認してやってくれって言われた。だから荷物を一つにまとめてる」と夫は言う。

新学期の前日に用意したんじゃなかったのか?

きっと荷物が重いから持って行かなかったのだろう。まさか夫がこのゴミ袋を学校に届ける気じゃないよね?

継子は宿題のプリントに文字を殴り書きをしている。

夏休みの宿題もできていなかったようだ。

「あんたさ、もっと丁寧に書きなよ」と私が言うと、指でゴシゴシ文字を擦り始めた。プリントが破れそうな勢いだ。

指は真っ黒。

紙の文字は確かに消えた。真っ黒になって。笑えるわ。

その真っ黒な上にまた殴り書きをしている。

もう、口があんぐり開いてしまう。


私は立ち仕事なのだけど、足に静脈瘤があり、着圧ソックスを履かないと仕事にならないほど足が痛くなる。

着圧ソックスは4足持ってるんだけど、朝履こうと思ったら一足もなかった。

また継子の仕業だ。

朝から夫と2人で箪笥をひっくり返して大捜索したけど見つからなかった。

仕事に間に合わないので、私は仕事に行った。

職場の駐車場に着くと夫から電話があり、着圧ソックスが継子の箪笥の引き出しから出てきたから持ってきてくれると言う。

何とか仕事に入る前に着圧ソックスを履けた。

家に戻って、継子に「何で私の着圧ソックスがあんたの箪笥に入ってるの?」と聞くと、「ママのものを仕舞うのが面倒だったから」と言った。

「そんな事をしたら、ママが困るよね?」と言ったけど、無視された。


この子、大人になってもこんな生き方しかできないんだろうか。

この子が変わる日って来るのだろうか。

まぁ、私にはどうでも良い。


「親らしい事をしてくれなかったから、俺の人生はクソだ!俺の人生がこんななのはお前のせいだ!」と仮に言われる未来があったとしても、私は確信を持って思うわ。


「おめーの人生がクソなのは、おめーの性格がクソだからなんだって」