バイタルサイン(脈拍)
[心臓]
興奮-収縮連関(EC連関)とは・・・
心臓の興奮は1分間に約60回の頻度で周期的に生じている。この興奮は電気的なもので、まず右心房にある洞房結節から始まり、0.1秒間に心房全体に広がり、心室の機械的な収縮を引きおこします。
この洞房結節がペース・メーカーになって、心臓全体の収縮の頻度を決めています。そしてこの機能は、洞結節自身の活動の現われなのですが、同時に刺激的に作用する副交感神経の影響を受けて、そのペースが速くなったり遅くなったりします。
心房を興奮させ房室結節に到達した電気的興奮は、この部位で約0.1秒の遅れを生じ、次にヒス束、左右両脚を通じて心
室のプルキンエ線維を0.1秒以内で興奮させ、同様のEC関連によって心室筋を収縮させます。房室結節の伝導も交感神経や副交感神経によって影響されます。
心室筋の収縮によって左心室内圧は高まりますが、それにつれて僧帽弁が閉じると、左心室内は閉鎖された1つの部屋となります。そのままの状態で収縮がつづくので、心室内圧はさらに高くなっていきますが、この時、左心室の容積は変わらないので、等容積性の収縮と呼びます。左心室内圧が大動脈内圧を越えて高まると、初めて大動脈弁が開いて血液が全身に送り出されるのです。
[脈拍]
動脈内の圧の変化は、このような心臓の周期的な収縮によって血液の駆出で生じ、これが心臓側から動脈の末梢側へと伝達され、体の表面近くを走る動脈で拍動として脈拍として触れる。
ピーキング現象
心臓に近い部位から、末梢にいくにしたがって、最大収縮気圧は高まり、終末拡張気圧は低くなり、両者の脈差が大きくなる。
ダンピング現象
脈波をみて、末梢へいくほど丸みを帯びる。
脈波
脈波は脈の拍動としてとらえられる。
動脈内の血圧の変動として表される時には圧脈波。
血管外から血管の径、あるいは容積の変化としてとらえられる時には経脈波・容積脈波。
指先で触れる感覚は主に経脈波・容積脈波。
脈の所見
脈拍は心臓、血管、血液、神経系、内分泌、代謝などの状態を表す重要な徴候。
脈数とリズム
脈の一般的な所見では、数と調律に注目します。
脈の数は心臓の活動状態を端的に表すもので、交感神経緊張が亢進しているときは速く、副交感神経の緊張が強いときには遅くなります。
脈の性状
脈の性状で、脈波のパターン、脈波の立ち上がりの速さ・大きさ、消退の速さ、血管壁の硬さ、蛇行の有無、動脈壁の硬化状態がわかる。
頸動脈・・・
脈拍の性状が心臓の機能をよく表現し、重要な情報をあたえる。拍動パターンは急峻に立ち上がり、速やかに消退していきますが、この形状は年齢や種々の病態によって変化します。
脈波・・・
脈波の立ち上がりの速さは、左心室の収縮性、収縮の強さと速さを表すので、左心室の機能が亢進しているときには速く、きびきびした脈になる。反対に、収縮性が低下するか、左心室の出口に当たる大動脈弁口に狭窄などがあって血液が出にくい状態にあると、立ち上がりは緩やかになり遅脈となる。
脈の大きさ・・・
脈の容積とよばれ、左心室から駆出される血液量・1回拍出量を表す。1回に拍出される血液量が多ければ大きく、少なければ小さく触れることになる。
速脈・跳躍脈・・・
脈波は立ち上がりから、大きさを増して頂点(ピーク)に達した後、漸次減少していきますが、大動脈の閉鎖不全があって駆出された血液が左心室内に逆流するときには、この脈波の消退が急速に起こり、脈波は全体的に大きく速く立ち上がり、素早く減少していくこと。
分裂脈・・・
脈波の頂上にくぼみが出来て分裂したもの。これは、大動脈弁に軽度の狭窄を伴った逆流や大動脈弁下狭窄などでみられます。
[不整脈]
調律の異常は、脈拍数とリズムの異常パターンとしてとらえられる。脈拍数は分時60以下、60-100、100-150、150以上の4つの範疇に区別され、リズムのパターンは、規則的な整脈と不規則な不整脈に区別されます。また不整脈は、周期的に現れる規則性不整脈と全く規則性のない不規則性不整脈に区別されます。
期外収縮
脈拍数と心室拍数は正常では一致しますが、病的状態では一致しないことがある。期外収縮*の場合にはそれが、上室性であれ、心室性であれ、周期以外の早期に興奮が起こるときには、心室の血液充満が十分に行われないため、駆出される血液量が少なくなり、従って末梢まで脈として伝えられないので、触診上は脈が1つ欠落したように感知される。この欠落の後には通常の周期により、長い休止期が続くので、心室充満は通常よりも多くなり、左心室は強く、速く収縮して脈は大きく強く触れてきます。
*期外収縮―期測的な脈の間に割り込むように別の脈が入り込み、リズムを乱すこと。
頻脈
心室拍数が分時100以上の場合を頻脈と呼び、これには興奮生成やその伝達の機序に異常を生じて心室拍数が増す場合と、心拍出量を高める代償機序として心室拍数が増す場合が区別されます。心臓に病的な機能障害が発生して、1回拍出量が低下する場合には、これを補うために心拍数が増して、心拍出量を保とうとする。
心室拍数の増加・・・
これは、代償機序として必要だが、それが分時120を越えるときには不利益を生じる。まず、拡張期の短縮は心室の血液充満時間を短くして、1回拍出量をさらに減少させ、心拍出量はむしろ下降傾向となって冠血流量を減らし、冠循環は主として拡張期に生じる。このため、拡張期の短縮はそれ自体冠循環を減少させる。心拍数の増加は心筋の酸素消費量を高める。
徐脈
心室拍数が分時60以下を徐脈とする。スポーツマンなどでは、安静時心拍数が40以下ということがあるため、徐脈がすべて異常とはいえない。徐脈になると、拡張期がより延長して心室の血液充満度が増す。
また、徐脈は心筋の酸素需要を減らすので、それによって循環動態の破綻がこなければ、徐脈はある程度心筋にとって有利といえる。
[運動と脈拍]
最大心拍数とは・・・
運動によって心拍数が増し、血圧は上昇するが、その反応の大きさは運動の方法や強さ、年齢によって異なります。年齢が増すとともに、運動による心拍数の増加は少なくなり、最大に酸素を消費して行われる最大運動レベルでの心拍数、最大心拍数は年齢に比例して低下する。
最大心拍数=220-年齢
最大心拍数の意義・・・
これは、性差はなく、年齢と逆比例する。狭心症や心筋梗塞などの冠動脈性心疾患では、運動負荷試験によって症状や症候がでてきますから、その時点でテストを中止するため、最大心拍数は低くなる。

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[心臓]
興奮-収縮連関(EC連関)とは・・・
心臓の興奮は1分間に約60回の頻度で周期的に生じている。この興奮は電気的なもので、まず右心房にある洞房結節から始まり、0.1秒間に心房全体に広がり、心室の機械的な収縮を引きおこします。
この洞房結節がペース・メーカーになって、心臓全体の収縮の頻度を決めています。そしてこの機能は、洞結節自身の活動の現われなのですが、同時に刺激的に作用する副交感神経の影響を受けて、そのペースが速くなったり遅くなったりします。
心房を興奮させ房室結節に到達した電気的興奮は、この部位で約0.1秒の遅れを生じ、次にヒス束、左右両脚を通じて心
室のプルキンエ線維を0.1秒以内で興奮させ、同様のEC関連によって心室筋を収縮させます。房室結節の伝導も交感神経や副交感神経によって影響されます。
心室筋の収縮によって左心室内圧は高まりますが、それにつれて僧帽弁が閉じると、左心室内は閉鎖された1つの部屋となります。そのままの状態で収縮がつづくので、心室内圧はさらに高くなっていきますが、この時、左心室の容積は変わらないので、等容積性の収縮と呼びます。左心室内圧が大動脈内圧を越えて高まると、初めて大動脈弁が開いて血液が全身に送り出されるのです。
[脈拍]
動脈内の圧の変化は、このような心臓の周期的な収縮によって血液の駆出で生じ、これが心臓側から動脈の末梢側へと伝達され、体の表面近くを走る動脈で拍動として脈拍として触れる。
ピーキング現象
心臓に近い部位から、末梢にいくにしたがって、最大収縮気圧は高まり、終末拡張気圧は低くなり、両者の脈差が大きくなる。
ダンピング現象
脈波をみて、末梢へいくほど丸みを帯びる。
脈波
脈波は脈の拍動としてとらえられる。
動脈内の血圧の変動として表される時には圧脈波。
血管外から血管の径、あるいは容積の変化としてとらえられる時には経脈波・容積脈波。
指先で触れる感覚は主に経脈波・容積脈波。
脈の所見
脈拍は心臓、血管、血液、神経系、内分泌、代謝などの状態を表す重要な徴候。
脈数とリズム
脈の一般的な所見では、数と調律に注目します。
脈の数は心臓の活動状態を端的に表すもので、交感神経緊張が亢進しているときは速く、副交感神経の緊張が強いときには遅くなります。
脈の性状
脈の性状で、脈波のパターン、脈波の立ち上がりの速さ・大きさ、消退の速さ、血管壁の硬さ、蛇行の有無、動脈壁の硬化状態がわかる。
頸動脈・・・
脈拍の性状が心臓の機能をよく表現し、重要な情報をあたえる。拍動パターンは急峻に立ち上がり、速やかに消退していきますが、この形状は年齢や種々の病態によって変化します。
脈波・・・
脈波の立ち上がりの速さは、左心室の収縮性、収縮の強さと速さを表すので、左心室の機能が亢進しているときには速く、きびきびした脈になる。反対に、収縮性が低下するか、左心室の出口に当たる大動脈弁口に狭窄などがあって血液が出にくい状態にあると、立ち上がりは緩やかになり遅脈となる。
脈の大きさ・・・
脈の容積とよばれ、左心室から駆出される血液量・1回拍出量を表す。1回に拍出される血液量が多ければ大きく、少なければ小さく触れることになる。
速脈・跳躍脈・・・
脈波は立ち上がりから、大きさを増して頂点(ピーク)に達した後、漸次減少していきますが、大動脈の閉鎖不全があって駆出された血液が左心室内に逆流するときには、この脈波の消退が急速に起こり、脈波は全体的に大きく速く立ち上がり、素早く減少していくこと。
分裂脈・・・
脈波の頂上にくぼみが出来て分裂したもの。これは、大動脈弁に軽度の狭窄を伴った逆流や大動脈弁下狭窄などでみられます。
[不整脈]
調律の異常は、脈拍数とリズムの異常パターンとしてとらえられる。脈拍数は分時60以下、60-100、100-150、150以上の4つの範疇に区別され、リズムのパターンは、規則的な整脈と不規則な不整脈に区別されます。また不整脈は、周期的に現れる規則性不整脈と全く規則性のない不規則性不整脈に区別されます。
期外収縮
脈拍数と心室拍数は正常では一致しますが、病的状態では一致しないことがある。期外収縮*の場合にはそれが、上室性であれ、心室性であれ、周期以外の早期に興奮が起こるときには、心室の血液充満が十分に行われないため、駆出される血液量が少なくなり、従って末梢まで脈として伝えられないので、触診上は脈が1つ欠落したように感知される。この欠落の後には通常の周期により、長い休止期が続くので、心室充満は通常よりも多くなり、左心室は強く、速く収縮して脈は大きく強く触れてきます。
*期外収縮―期測的な脈の間に割り込むように別の脈が入り込み、リズムを乱すこと。
頻脈
心室拍数が分時100以上の場合を頻脈と呼び、これには興奮生成やその伝達の機序に異常を生じて心室拍数が増す場合と、心拍出量を高める代償機序として心室拍数が増す場合が区別されます。心臓に病的な機能障害が発生して、1回拍出量が低下する場合には、これを補うために心拍数が増して、心拍出量を保とうとする。
心室拍数の増加・・・
これは、代償機序として必要だが、それが分時120を越えるときには不利益を生じる。まず、拡張期の短縮は心室の血液充満時間を短くして、1回拍出量をさらに減少させ、心拍出量はむしろ下降傾向となって冠血流量を減らし、冠循環は主として拡張期に生じる。このため、拡張期の短縮はそれ自体冠循環を減少させる。心拍数の増加は心筋の酸素消費量を高める。
徐脈
心室拍数が分時60以下を徐脈とする。スポーツマンなどでは、安静時心拍数が40以下ということがあるため、徐脈がすべて異常とはいえない。徐脈になると、拡張期がより延長して心室の血液充満度が増す。
また、徐脈は心筋の酸素需要を減らすので、それによって循環動態の破綻がこなければ、徐脈はある程度心筋にとって有利といえる。
[運動と脈拍]
最大心拍数とは・・・
運動によって心拍数が増し、血圧は上昇するが、その反応の大きさは運動の方法や強さ、年齢によって異なります。年齢が増すとともに、運動による心拍数の増加は少なくなり、最大に酸素を消費して行われる最大運動レベルでの心拍数、最大心拍数は年齢に比例して低下する。
最大心拍数=220-年齢
最大心拍数の意義・・・
これは、性差はなく、年齢と逆比例する。狭心症や心筋梗塞などの冠動脈性心疾患では、運動負荷試験によって症状や症候がでてきますから、その時点でテストを中止するため、最大心拍数は低くなる。
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骨粗鬆症(osteoporosis)
[はじめに]
骨粗鬆症は「骨量が減少し、骨の微細構造が劣化したために、骨が脆くなり骨折しやすくなった病態」と定義され
ている。代謝疾患である。原因となる基礎疾患の有無により、原発性および続発性骨粗鬆症の2つに分類される。
[原因]
原発性骨粗鬆症
◍退行期骨粗鬆症→閉経後の女性と高齢者によくみられる。
続発性骨粗鬆症
◍内分泌性→甲状腺機能亢進症
性腺機能不全
◍栄養性→壊血症
たんぱく質欠乏
ビタミンAまたはD過剰
◍薬剤
◍不動性→臥床安静
対麻痺
骨折後
◍先天性→骨形成不全症
◍その他→関節リウマチ
糖尿病
肝疾患など
低骨量のリスク因子
高年齢・女性・家族歴・やせ・低栄養・運動不足・喫煙・過度のアルコール、カルシウム摂取不足・ビタミンD
不足・ビタミンK不足・副腎皮質ステロイドの服用、甲状腺機能亢進症・糖尿病・腎不全・肝不全など
骨粗鬆症に伴う骨折のリスク因子
低骨量・骨折歴・高齢・やせ・高身長・痴呆や脳神経疾患の合併、運動機能障害や視力障害の合併・睡眠薬
骨吸収マーカーの高値、血圧降下薬の低値。
[病理]
人の骨量は成長期で増加し、骨格成熟に達する20歳頃に最大となり、それ以降40歳頃まで一定に維持され、そ
の後の加齢について徐々に減少する。骨量は栄養や運動など環境因子の影響を受けるが、骨量がビタミンD受容体
あるいはエストロゲン受容体遺伝子多型との関与もある。
成長によって形成された骨は破骨細胞による骨吸収と、それに続く骨芽細胞による骨形成によって、たえずりモ
デリング(再造形)される。骨粗鬆症における異常な骨吸収は、リモデリングでの吸収率と形成率のバランスが崩れるために起こり、破骨細胞による骨吸収が増加した場合を高回転骨粗鬆症、骨芽細胞による骨形成が減少した場合を低回転骨粗鬆症という。
[症状]
◍腰背部の重感・疼痛
◍易疲労性
◍わずかな外力でも容易に椎体の圧迫骨折を生じ、その数が多くなれば脊柱の後弯が生じて身長は短縮する。ま
た、転倒など軽微な外力で大腿骨頚部骨折や橈骨遠位端骨折を生じやすい。
◍閉経後女性では身長の低下、亀背、腰背部痛を生じるが、これらはエストロゲン低下に基づく脊椎椎体骨折の結
果生じる病態。
[X線所見]
脊椎では骨陰影の減少、骨梁の数および幅の減少、椎体の圧迫骨折
[治療]
▧腰背部痛が強いときは安静を保ち、鎮痛剤などを投与するが、装具を装着して早期に離床、歩行訓練を行い、
不動性骨萎縮の防止にも考慮する。
▧食事療法
カルシウム摂取
カルシウム摂取不足に加えて、蛋白質、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、マグネシウムなどの摂取不足
や塩分(ナトリウム)、加工食品などによるリン、カフェインやアルコールなどの過剰摂取なども骨粗鬆症の誘
発となるので問題である。
▧運動療法
運動は健常な骨格の正常な発達と保持にとって必須であり、骨強度の増加が得られる可能性がある。高齢女性
にとって適切な運動は、筋力。関節の柔軟性・運動の協調性を向上させることによって転倒の危険性を軽減し、
骨粗鬆症に伴う骨折の発生を、間接的ではあるが軽減する。
▧薬物療法
カルシウム製剤
ビタミンD₃、k₂
カルシトニン
イプリフラボン
ビスフォスフォネート
副甲状腺ホルモン
骨吸収抑制剤(破骨細胞による骨吸収を抑制する。)
骨形成促進剤(骨芽細胞活性を盛んにし、骨形成を促進させるもの。)

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[はじめに]
骨粗鬆症は「骨量が減少し、骨の微細構造が劣化したために、骨が脆くなり骨折しやすくなった病態」と定義され
ている。代謝疾患である。原因となる基礎疾患の有無により、原発性および続発性骨粗鬆症の2つに分類される。
[原因]
原発性骨粗鬆症
◍退行期骨粗鬆症→閉経後の女性と高齢者によくみられる。
続発性骨粗鬆症
◍内分泌性→甲状腺機能亢進症
性腺機能不全
◍栄養性→壊血症
たんぱく質欠乏
ビタミンAまたはD過剰
◍薬剤
◍不動性→臥床安静
対麻痺
骨折後
◍先天性→骨形成不全症
◍その他→関節リウマチ
糖尿病
肝疾患など
低骨量のリスク因子
高年齢・女性・家族歴・やせ・低栄養・運動不足・喫煙・過度のアルコール、カルシウム摂取不足・ビタミンD
不足・ビタミンK不足・副腎皮質ステロイドの服用、甲状腺機能亢進症・糖尿病・腎不全・肝不全など
骨粗鬆症に伴う骨折のリスク因子
低骨量・骨折歴・高齢・やせ・高身長・痴呆や脳神経疾患の合併、運動機能障害や視力障害の合併・睡眠薬
骨吸収マーカーの高値、血圧降下薬の低値。
[病理]
人の骨量は成長期で増加し、骨格成熟に達する20歳頃に最大となり、それ以降40歳頃まで一定に維持され、そ
の後の加齢について徐々に減少する。骨量は栄養や運動など環境因子の影響を受けるが、骨量がビタミンD受容体
あるいはエストロゲン受容体遺伝子多型との関与もある。
成長によって形成された骨は破骨細胞による骨吸収と、それに続く骨芽細胞による骨形成によって、たえずりモ
デリング(再造形)される。骨粗鬆症における異常な骨吸収は、リモデリングでの吸収率と形成率のバランスが崩れるために起こり、破骨細胞による骨吸収が増加した場合を高回転骨粗鬆症、骨芽細胞による骨形成が減少した場合を低回転骨粗鬆症という。
[症状]
◍腰背部の重感・疼痛
◍易疲労性
◍わずかな外力でも容易に椎体の圧迫骨折を生じ、その数が多くなれば脊柱の後弯が生じて身長は短縮する。ま
た、転倒など軽微な外力で大腿骨頚部骨折や橈骨遠位端骨折を生じやすい。
◍閉経後女性では身長の低下、亀背、腰背部痛を生じるが、これらはエストロゲン低下に基づく脊椎椎体骨折の結
果生じる病態。
[X線所見]
脊椎では骨陰影の減少、骨梁の数および幅の減少、椎体の圧迫骨折
[治療]
▧腰背部痛が強いときは安静を保ち、鎮痛剤などを投与するが、装具を装着して早期に離床、歩行訓練を行い、
不動性骨萎縮の防止にも考慮する。
▧食事療法
カルシウム摂取
カルシウム摂取不足に加えて、蛋白質、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、マグネシウムなどの摂取不足
や塩分(ナトリウム)、加工食品などによるリン、カフェインやアルコールなどの過剰摂取なども骨粗鬆症の誘
発となるので問題である。
▧運動療法
運動は健常な骨格の正常な発達と保持にとって必須であり、骨強度の増加が得られる可能性がある。高齢女性
にとって適切な運動は、筋力。関節の柔軟性・運動の協調性を向上させることによって転倒の危険性を軽減し、
骨粗鬆症に伴う骨折の発生を、間接的ではあるが軽減する。
▧薬物療法
カルシウム製剤
ビタミンD₃、k₂
カルシトニン
イプリフラボン
ビスフォスフォネート
副甲状腺ホルモン
骨吸収抑制剤(破骨細胞による骨吸収を抑制する。)
骨形成促進剤(骨芽細胞活性を盛んにし、骨形成を促進させるもの。)
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骨癒合
[骨折の修復]
①炎症期
骨折の起こった直後から骨軟骨形成(仮骨形成)が
生じるまでの期間。骨折部の血管は損傷され血腫が形
成され、骨折端では血流が遮断されるために、骨折部
の細胞が死ぬ。
また、骨形成細胞の増殖が骨髄内・骨膜周囲の軟部
組織からも毛細血管の増殖が起こる。
②修復期
骨折部位を取り囲んで、新しく形成された修復組織
に骨形成および軟骨形成が生じる。
骨形成は主として、骨折部からやや離れた骨膜下に
みられ、膜性骨化が起こる。
③再造形期
形成された仮骨が層板骨に置換される程度である。
海綿骨化した仮骨は再造形によって、皮質骨と骨髄
腔が形成され、仮骨量の減少とともに構造も正常化す
る。この再造形を完了するのに数年間を要する。
*骨癒合とサイトカイン
骨折の修復は、骨折部の細胞の増殖と、骨芽細胞または軟骨細胞への分化によって局所的に骨新生が生じて再生
修復される。この過程での細胞の機能を制御する生理活性因子が存在するとされる。炎症期の未分化細胞の増殖
にPDGF(血小板由来成長因子)が関与し、骨に含まれるIGF(インスリン様成長因子)は、骨芽細胞の前駆細
胞の増殖や軟骨細胞による軟骨基質の合成の促進に関与しているとされる。また、骨形成蛋白(BMP)は炎症期
に骨折部近傍の細胞で、その生産が一時的に亢進し、未分化細胞を骨芽細胞や軟骨細胞への分化を誘導すること
によって、仮骨形成を促進する方向に作用しているとされている。
*仮骨(callus)
骨折治癒過程で形成される仮骨は、形成される部位により係留仮骨・橋渡し仮骨・結合仮骨・髄腔仮骨がある。
係留仮骨は、骨折部から離れた部位で、骨膜から始まる膜性骨化で形成されるもので、骨折部をはさんだ係留仮骨が連結したものが橋渡し仮骨である。
結合仮骨は、骨折間隔の血腫に形成された軟骨からの内軟骨性骨化の部分である。
骨折治癒過程で形成される骨量は、骨折部の安定とも関連する。一般に、骨折部が不安定でわずかなひずみが生じている力学的環境では仮骨量は多く、力学的に安定している場合には、形成される仮骨量は少ない。特に外科的処置によって骨折部を正確に整復しプレートなどで骨折端同士を強固に圧迫して固定した場合には、仮骨形成は殆どみられず、ハバース管での生理的な再造形(骨改変)過程によって骨折部が治癒することがある。このように外仮骨の形成がなく治癒する場合は、骨癒合に要する期間は必ずしも短くなくプレートの抜去時に、再骨折を起こすことがあり、このような治癒は骨折治癒法としての利点は必ずしもないと考えるべきである。
[骨折の治癒過程]
1)一次性骨折治癒
仮骨を形成せずに骨折部が治癒する治癒形式で、両骨折端が正しく解剖学的に整復され転位がなく強固に固定
されたときにのみ生じる。
2)二次性骨折治癒
仮骨を形成して癒合する治癒形式。骨折部に生じた血腫内に肉芽が形成され、やがて仮骨によって再骨折端が連結されたあと、局所の力学的要請に応じた強度を有する骨として再造形されていく。骨折端に多少でも血腫が介在する隙間がある場合には、常にこの過程を経て骨折が癒合する。
[骨癒合の条件]
骨折部の接合、骨折部の固定、十分な血流適度な圧迫重樹が必要。癒合を左右する因子は、骨折の状況・型・部位・年齢などに影響される。また、骨内血行の乏しい部位の骨折では血腫と軟性骨化が、不十分で治癒が遅延する。骨折部位は不動でなければならないが、肋骨と鎖骨は多少動いてもよい。
また、骨癒合は引張応力がなく垂直方向に働く適切な圧縮力が必要であり、その反面骨折に働く剪断力・屈曲力・捻転力は骨癒合を障害する。骨癒合の判断は、動揺の有無・腫脹の有無・レントゲン像による仮骨形成の状態・限局性の圧痛(骨に分布する骨髄神経や骨膜神経が、骨折の臍に損傷されるか、骨折部位に存在している神経が損傷されたためと考えられる。)
骨折に影響する因子
①全身的因子:◍年齢 ◍栄養状態
◍代謝性疾患 ◍骨代謝に影響する薬剤の使用 など
②局所的因子:◍皮下骨折か開放骨折か ◍感染の有無
◍骨折部位 ◍皮質骨か海綿骨か
◍骨破壊・欠損の有無 ◍転位の程度と整復位の良否
◍神経・血管損傷の有無 ◍骨折間隙における軟部組織の介在
◍固定性の良否 など
[癒合日数]
Gurltによる各骨の平均癒合日数
中手骨→2週
肋骨→3週
鎖骨→4週
前腕骨→5週
上腕骨骨幹部→6週
脛骨・上腕骨頸部→7週
両下腿骨→8週
大腿骨骨骨幹部→8週
大腿骨頸部→12週
[骨折癒合の異常経過]
1)変形癒合
解剖学的なアライメントと異なった異常な形態で癒合が完成した状態。整復位不良のまま固定が行われた場合や、整復位が保持できなかった場合などに角状変形(内反、外反、あるいは屈曲)、回旋、短縮変形などが起こることがある。
2)遷延治癒
骨折癒合に予測される期間を過ぎても骨癒合がみられないものをいう。しかし、治癒過程が緩慢ではあるが、少しはつづいているものである。したがって、骨癒合を妨げている因子があればこれを解決することによって再び骨癒合が進行する。不十分な固定が原因であることがもっとも多い。
3)偽関節
骨折部の治癒過程が止まって、過剰可動性を示す場合である。骨折端は丸みを帯びたり萎縮したり、骨髄腔は骨性
に閉鎖される。骨折間隙は繊維性の瘢痕組織で充満され、過剰可動性を認める。不十分な固定や感染、骨欠損などの
原因が多い。治療としては、硬化あるいは萎縮した骨折端を切除し、骨髄腔を開通させ、十分量の自家骨を移植するとと
もに、安定した固定を施す。強固な内固定を用いることもある。
*一般的に遷延治癒と偽関節は、受傷後の期間とX線写真によって判定されるが、両者を鑑別することは容易ではないことから、同一の分類として扱われることが多い。

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[骨折の修復]
①炎症期
骨折の起こった直後から骨軟骨形成(仮骨形成)が
生じるまでの期間。骨折部の血管は損傷され血腫が形
成され、骨折端では血流が遮断されるために、骨折部
の細胞が死ぬ。
また、骨形成細胞の増殖が骨髄内・骨膜周囲の軟部
組織からも毛細血管の増殖が起こる。
②修復期
骨折部位を取り囲んで、新しく形成された修復組織
に骨形成および軟骨形成が生じる。
骨形成は主として、骨折部からやや離れた骨膜下に
みられ、膜性骨化が起こる。
③再造形期
形成された仮骨が層板骨に置換される程度である。
海綿骨化した仮骨は再造形によって、皮質骨と骨髄
腔が形成され、仮骨量の減少とともに構造も正常化す
る。この再造形を完了するのに数年間を要する。
*骨癒合とサイトカイン
骨折の修復は、骨折部の細胞の増殖と、骨芽細胞または軟骨細胞への分化によって局所的に骨新生が生じて再生
修復される。この過程での細胞の機能を制御する生理活性因子が存在するとされる。炎症期の未分化細胞の増殖
にPDGF(血小板由来成長因子)が関与し、骨に含まれるIGF(インスリン様成長因子)は、骨芽細胞の前駆細
胞の増殖や軟骨細胞による軟骨基質の合成の促進に関与しているとされる。また、骨形成蛋白(BMP)は炎症期
に骨折部近傍の細胞で、その生産が一時的に亢進し、未分化細胞を骨芽細胞や軟骨細胞への分化を誘導すること
によって、仮骨形成を促進する方向に作用しているとされている。
*仮骨(callus)
骨折治癒過程で形成される仮骨は、形成される部位により係留仮骨・橋渡し仮骨・結合仮骨・髄腔仮骨がある。
係留仮骨は、骨折部から離れた部位で、骨膜から始まる膜性骨化で形成されるもので、骨折部をはさんだ係留仮骨が連結したものが橋渡し仮骨である。
結合仮骨は、骨折間隔の血腫に形成された軟骨からの内軟骨性骨化の部分である。
骨折治癒過程で形成される骨量は、骨折部の安定とも関連する。一般に、骨折部が不安定でわずかなひずみが生じている力学的環境では仮骨量は多く、力学的に安定している場合には、形成される仮骨量は少ない。特に外科的処置によって骨折部を正確に整復しプレートなどで骨折端同士を強固に圧迫して固定した場合には、仮骨形成は殆どみられず、ハバース管での生理的な再造形(骨改変)過程によって骨折部が治癒することがある。このように外仮骨の形成がなく治癒する場合は、骨癒合に要する期間は必ずしも短くなくプレートの抜去時に、再骨折を起こすことがあり、このような治癒は骨折治癒法としての利点は必ずしもないと考えるべきである。
[骨折の治癒過程]
1)一次性骨折治癒
仮骨を形成せずに骨折部が治癒する治癒形式で、両骨折端が正しく解剖学的に整復され転位がなく強固に固定
されたときにのみ生じる。
2)二次性骨折治癒
仮骨を形成して癒合する治癒形式。骨折部に生じた血腫内に肉芽が形成され、やがて仮骨によって再骨折端が連結されたあと、局所の力学的要請に応じた強度を有する骨として再造形されていく。骨折端に多少でも血腫が介在する隙間がある場合には、常にこの過程を経て骨折が癒合する。
[骨癒合の条件]
骨折部の接合、骨折部の固定、十分な血流適度な圧迫重樹が必要。癒合を左右する因子は、骨折の状況・型・部位・年齢などに影響される。また、骨内血行の乏しい部位の骨折では血腫と軟性骨化が、不十分で治癒が遅延する。骨折部位は不動でなければならないが、肋骨と鎖骨は多少動いてもよい。
また、骨癒合は引張応力がなく垂直方向に働く適切な圧縮力が必要であり、その反面骨折に働く剪断力・屈曲力・捻転力は骨癒合を障害する。骨癒合の判断は、動揺の有無・腫脹の有無・レントゲン像による仮骨形成の状態・限局性の圧痛(骨に分布する骨髄神経や骨膜神経が、骨折の臍に損傷されるか、骨折部位に存在している神経が損傷されたためと考えられる。)
骨折に影響する因子
①全身的因子:◍年齢 ◍栄養状態
◍代謝性疾患 ◍骨代謝に影響する薬剤の使用 など
②局所的因子:◍皮下骨折か開放骨折か ◍感染の有無
◍骨折部位 ◍皮質骨か海綿骨か
◍骨破壊・欠損の有無 ◍転位の程度と整復位の良否
◍神経・血管損傷の有無 ◍骨折間隙における軟部組織の介在
◍固定性の良否 など
[癒合日数]
Gurltによる各骨の平均癒合日数
中手骨→2週
肋骨→3週
鎖骨→4週
前腕骨→5週
上腕骨骨幹部→6週
脛骨・上腕骨頸部→7週
両下腿骨→8週
大腿骨骨骨幹部→8週
大腿骨頸部→12週
[骨折癒合の異常経過]
1)変形癒合
解剖学的なアライメントと異なった異常な形態で癒合が完成した状態。整復位不良のまま固定が行われた場合や、整復位が保持できなかった場合などに角状変形(内反、外反、あるいは屈曲)、回旋、短縮変形などが起こることがある。
2)遷延治癒
骨折癒合に予測される期間を過ぎても骨癒合がみられないものをいう。しかし、治癒過程が緩慢ではあるが、少しはつづいているものである。したがって、骨癒合を妨げている因子があればこれを解決することによって再び骨癒合が進行する。不十分な固定が原因であることがもっとも多い。
3)偽関節
骨折部の治癒過程が止まって、過剰可動性を示す場合である。骨折端は丸みを帯びたり萎縮したり、骨髄腔は骨性
に閉鎖される。骨折間隙は繊維性の瘢痕組織で充満され、過剰可動性を認める。不十分な固定や感染、骨欠損などの
原因が多い。治療としては、硬化あるいは萎縮した骨折端を切除し、骨髄腔を開通させ、十分量の自家骨を移植するとと
もに、安定した固定を施す。強固な内固定を用いることもある。
*一般的に遷延治癒と偽関節は、受傷後の期間とX線写真によって判定されるが、両者を鑑別することは容易ではないことから、同一の分類として扱われることが多い。
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