変形性膝関節症

[はじめに]

 ◍変形性膝関節症は非炎症性で、進行性に可動関節、特に荷重関節を侵す疾患で、病理的に関節軟骨の変性・摩
耗による荒廃と関節縁の骨新生、つまり摩耗相と増殖相とが混在している。軟骨下骨硬化、骨棘形成、骨嚢腫を生じる。

◍45歳ごろより徐々に増加し、60歳以上の約50%以上が罹患しており、男女比は1:4で女性に多い。

 ◍中高年に生じる変形性膝関節症の大部分は内反変形を生じ、O脚となる。

 ◍変形性膝関節症は膝の疼痛を主訴とし、膝の機能低下により日常生活動作、特に歩行動作や階段昇降動作の遂行
に支障をきたしやすい。

  変形性膝関節症のgrade

 Grade0:正常
 Grade1:骨硬化像または骨棘
 Grade2:関節裂隙の狭小化(3mm以下)
 Grade3:関節裂隙の閉鎖または亜脱臼
 Grade4:荷重面の摩耗または欠損(5mm以下)
 Grade5:荷重面の摩耗または欠損(5mm以上)


[原因]

◍一次性は原因が明らかではないが、加齢・肥満・大腿四頭筋の筋力低下などが関与している。両側の膝関節が侵
されることが多い。

◍二次性は、骨折(関節内・外)・感染症(化膿性関節炎など)・膝内障(半月板損傷・骨壊死)に続発するもの
である。
*大腿四頭筋力の低下は、片脚起立時に膝屈曲を生じる動揺(前方動揺)を招く。この動揺により、荷重は膝後方に集中しやすくなり、膝後方の軟骨が摩損しやすくなる。

[症状]

◍疼痛

 ▧関節腔内組織由来
a.関節辺縁の骨軟骨増殖による刺激
b.関節内線維軟骨や靭帯の退行性変化と断裂・嵌頓
c.関節包の伸張
d.滑膜組織の介入・ねじれ
e.二次性滑膜炎お化学的メディエーターの放散
  
▧関節周囲組織由来
a.腱・腱膜の刺激
b.筋のスパズム
c.神経の圧迫
d.露出した骨の圧迫
e.軟骨下の微細骨折

◍関節可動域制限(特に膝関節屈曲拘縮:膝蓋大腿関節部に生じた骨棘は徐々に大きくなり、可動域制限を障害して膝の屈曲変形へと移行する。)

◍歩行時の脛骨側方動揺性

◍筋力低下・筋萎縮(大腿四頭筋、特に内側広筋)


◍関節の腫脹・水腫
腫脹:滑膜の増殖→関節包に圧痛があれば滑膜の炎症。
    関節水腫→関節液の貯留による場合は波動を触れる。

◍変形

◍脊椎の後弯変形

[治療]

1)保存療法:

◍温熱・寒冷療法
       
◍筋力強化:特に大腿四頭筋・ハムストリングス・股関節周囲筋。

アライメントを整え、膝関節の歩行時安定性を得ることにより、関節軟骨を保護し滑膜炎を予防・軽減する。
      

◍下肢の免荷:肥満改善
      
◍装具・足底挿板:アライメントの矯正と関節不安定性の改善。
      
◍消炎鎮痛剤の投与

2)観血的療法:

◍高位脛骨骨切術(hightibial osteotomy)内反・外反変形を伴うときに変形を矯正し、荷重面を均等化する。

◍人工膝関節(total knee arthro plasty:TKA

[理学療法]

◍筋力増強
   
膝関節周囲では、膝関節伸展筋力が低下しやすく、その筋力低下が関節への負荷を増し痛みを生じるため、さらに筋力低下が進行する。その悪循環を断ち切るためにも筋力増強訓練は重要である。膝関節周囲の筋力増強以外に、股関節周囲の筋力増強も重要である。股関節周囲の筋は外転筋で大腿筋膜張筋が、内転では鷲足を通じて、屈筋では大腿直筋、伸展ではハムストリングや鷲足を通じて膝関節の補強を行っている。

   一側下肢で立位をとるとき、膝関節には内反ストレスが生じる。股関節外転筋である大腿筋膜張筋は骨盤の安定と同時に、膝関節内反ストレスに対抗する。

◍関節可動域訓練

 日常生活では、膝の伸展制限が問題となることが多い。特に、膝伸展制限が強度となると、大腿四頭筋に過度の伸張が加わり十分緊張が保てなくなり、エクステンション・ラグの原因ともなるため、筋力増強訓練とともに、可能な限り伸展制限の改善に努める。

◍装具
 
外側楔:O脚変形に用いられる。踵骨に回内を強制することにより、下腿が直立化する。これにより、FTAは変化しないものの重心線の移動を生じ膝内側の負荷が軽減する。