30歳になりたての男子。

サンフランシスコに5年在住。

アメリカで大学を出て

今は、こっちで働いている。


180センチを超える背に

スタイルもよし。

なかなか男前の部類に入るのだけど…

これが…まあ すこぶる純情君だ。



そんな彼が、

「誰とでもキスできますか?」

と突然の質問。


(普通日本人の男の子って「キス」って恥ずかしがって

 こんなに堂々と言えないと思う…

 アメリカに住んでるとこうなるのかな)

仕事中だったし

あまりに唐突&予想外の質問に

何か答えなきゃと焦ったあげく


「そ、そ、それって口に?」なんてあほな

質問返しをしてしまった私…


ひとまず、夜の食事の時に話そう…ということで落ち着き。



今まさにその食事時。

(世界一大きな中華街で

 私が一番好きな店で

 ナパワインとエビの鉄板焼き…)




「好きな人がいて…デートして

 告白したんですけど…」



彼には好きな女の子がいた。

出会いは、こっちのキャバクラ。

友達に無理やり連れて行かれた時

そこにいた女の子に一目ぼれした。


アメリカのキャバクラは

日本のキャバクラと違って(日本人向けの店だけど)

プロのキャバクラ嬢達の集まりというわけではなく

日本人の留学生が、お小遣い稼ぎにアルバイトしてる感じなので



よくも悪くも、カジュアル。

指名NO1争いがあるわけでもない。



そんなふんわりした場所でとにかく彼は

「Lちゃん」という女の子に恋をした。


その日の出会いはいい感じに進み

二人は電話番号を交換し

彼は、デートの約束をとりつけた。



そして後日楽しくデートをし…

次の約束もした。


映画をみて

そして手をつなぎ…

彼はある程度の手ごたえを感じ。



「付きあいたい」と伝えた。

彼女の答えは…







「ずっと好きな人がいて…付き合えない」






彼は、それはそれは、ショックを受けたが。






ここまでなら、よくあるごく普通のお話。(かわいそうだけれど)








とても悲しかったけれど…

彼女を忘れる努力をはじめた。







何カ月かたって

ほかの女の子(Cちゃん・このこも日本人)に誘われた。



すごくすごく好きというわけでもなかったけれど

Cちゃんといると穏やかな気持ちになれたし



ゆっくりとお互いを知っていければ…と思っていた矢先の

彼の誕生日に…




☆☆





その日は…

サンフランシスコにすむ友人たちがパーティーを開いてくれた…ら。

そこに…彼女がやってきた。

彼をふった「Lちゃん」



日本人のコミュニティは狭い。

彼がフラれたことを知らない友人が

彼を喜ばせようと思ってLちゃんを呼んだ。

そして、どういうつもりか彼女はやってきた。





そして彼女はぎこちなく

「誕生日おめでとう」と伝え

彼もぎこちなく答え



パーティーははじまった。



ちなみに彼はお酒が全く飲めない。

だからいつまでもシラフのままだ。




今、いい感じになりつつある「Cちゃん」も

お祝いしてくれていたけど

彼の意識は「Lちゃん」から離れなかった。



全くその場を楽しめない彼とは正反対に

「Lちゃん」はひたすら飲み続け…

はしゃぐ笑い声は大きくなり


ますます彼はLちゃんばかりが気になってしまう。



そのうちに

大酔っ払いとなった「Lちゃん」は

彼の隣りにやってきた



「元気だった?」

「…うん」


彼の動悸は(情けないぐらいに)バクバク。


「ああ、僕はまだ彼女が好きなんだ」


切なく悲しく胸はずきずき。

そんな彼のひざに…


彼女が倒れこんだ。

…つまり…彼は彼女をひざまくら状態…




「ちょ!ちょっと!」

「…眠ーい」


純情な彼は…もう…大変。


「おきなよ」

「やーだーーー」


まあただの酔っ払いなんだけど。

ふられたけど まだ好きな女の子。

男の生理としても悲しいものがある…




ただし、問題はここからだ。



彼女はむっくりと起き上がり…


「Cちゃんとデートしないで」

「は?」

「私のこと好きなんでしょ?」

「…え?」

「えへへ…好きでしょ?まだ?」

「それは…」



心臓が痛いぐらいに跳ねる

ああ僕はまだ、彼女が好きなんだ

そうだ…と思った瞬間…



彼女は…彼に強烈なチューを。




「!?ちょっ!」

「Cちゃんともうあわないでよ…」

「…」



そのあとLちゃんは彼のそばを離れなかった。

みんなにみせつけるように…

みんなのひやかしの声の中

時折…チュッチュと繰り返され…


彼はCちゃんの視線を感じながら

彼女に悪いと思いながらも…

幸せな気持ちで満たされていた。


そして家までLちゃんを送り届け。

明日の朝

自分から電話して


もう一度「好きだ」といおう。

Lちゃんが来てくれたことは

最高のバースデープレゼントだと信じて。


続く…




☆☆