ネットでみかけて気になったのでDVDを借りてみました。
内容は不思議の国のアリス風にみえるダークファンタジーです。
ものすごくネタバレで書いていきます。
内容は、
スペイン内戦後の時代、主人公のオフェリアは身重の母親と一緒に
新しい父親である大尉の元へと訪れます。
自分どころか母親にすらあまり愛情を示さず、
お腹の自分の子供のことしか気にかけない大尉を好きになれないオフェリア。
到着した夜に、道中で出会った妖精らしきものに導かれ
庭にある迷路の奥の廃墟へと向かいます。
そこには守護神パンを名乗る不思議な生き物がいました。
パンは、オフェリアが地底の王国の姫君の生まれ変わりだと言います。
しかし、すっかり人間になっているかもしれないので
姫君である証をたてるため、3つの試練を果たさないといけないとも言います。
半信半疑で部屋へと戻るオフェリア。
その頃山ではレジスタンスが密かに活動をしていました。
大尉はこのレジスタンスを掃討するためにここに赴任していたのです。
童話のようなストーリーと人間同士の争いが、だんだんと交差していきます。
この映画をうっかり検索すると、とても怖いものが見えるので注意です。
とくに画像検索。ナルニアとかそういう系だと思ってたのに(;´Д`)
さていよいよ本格的にネタバレ
童話な世界もかなり怖いですが、人間同士の争いは目を背けたくなるような感じになってます。
とりあえず童話のほうメインで。
第一の試練は、
長く生きてきた木の生長を妨げているカエルがいます。
その口の中から鍵を取り出してきてください。
というものです。
文章だけ見ると、ん?口?とはなりますが結構ファンタジーです。
実際はカエルに魔法の石を食べさせて、内臓を全部吐き出させてから
鍵ゲットというだいぶ・・・な内容でした。
一応内臓はまん丸の袋みたいなものでしたが、普通のファンタジーじゃない感じが伝わります。
第二の試練。
これが一番怖くてこの映画一番の見所です。
壁にチョークで扉を描いた先に部屋があり、
カエルから手に入れた鍵で開く棚があります。
そこに入っているものを手に入れてこなければなりません。
その場所に人間に似た人間ではないものがいます。
けして関わってはいけません。
そしてその場にある食べ物は何があっても食べてはいけません。
命に関わります。
砂時計の砂が落ちる前に戻ってこなければなりません。
もう条件を聞いてるだけでストレスを感じるほど危険に満ちてます。
人間ではないものは、画像検索でうっかり見てしまったとき
きっと
眼鏡眼鏡・・・みたいな感じで
あれ、目はどこだっけ・・・あ、ここだった☆
みたいな感じの、見た目に反してお笑い系の気のいい奴なんじゃないかと
むりやりプラスに考えました。
まぁそんなわけもなく、見たまんまだったんですけどね(;´・ω・)
ここではナイフを手に入れますが、
食べ物を食べてしまったので試練が失敗になってしまいます。
この後、オフェリアはどんどん絶望的な状況に追い込まれます。
母親が弟を出産して死んでしまい、大尉の家での居場所がなくなります。
仲の良いメイドがレジスタンスの一員だったことを知っていたのがばれ
次にレジスタンスが襲ってきたとき、真っ先に殺すと大尉に宣言されます。
藁にもすがりたいという心境のとき、再びパンが現れます。
最後にもう一度だけチャンスをくれると言うのです。
最後の試練は、
生まれたばかりの弟を連れてパンの迷宮へ訪れること。
なぜ、とは聞いてはいけません。
時間がないので今すぐ行わなければなりません。
チョークで扉をつくり、大尉の部屋へ侵入することに成功したオフェリア。
もうちょっとでうまくいく、というところでレジスタンスの攻撃が始まり
大尉に見つかってしまいます。
オフェリアは迷宮へと逃げ、なんとか廃墟へと着くことができました。
そこで再び現れたパンは、王国への道を開くためには「無垢なる者」の血が必要だといいます。
そのために弟の血が必要だと。
ほんの少しでいいと言いますが、オフェリアは断ります。
自分の弟を渡すことはできない。
そこへ大尉が追いつきますが大尉にはパンは見えず、
オフェリアが一人で空中に話しているのが見えるだけです。
パンは、オフェリアの意思が変らないのがわかると静かに消えてしまいます。
残されたオフェリアが振り返ると大尉が真後ろに。
そのまま弟を奪われ、銃で撃たれ倒れるオフェリア。
しばらくしてレジスタンスと合流したメイドが駆けつけますが、
手遅れの状態になったオフェリアを見て泣き崩れます。
オフェリアが気がつくと金色の部屋にいました。
父親の王、死んだはずの母親と思われる女王、
そしてパンと地底の住人達に迎えられ笑顔を浮かべるオフェリア。
そこは地底の王国で、オフェリアは正しい選択をし見事試練をやりとげたのです。
場面が変り、現実の世界では
瀕死だったオフェリアが笑顔を浮かべて事切れるところでで映画は終わります。
見る人によってラストがハッピーエンドにもバッドエンドにもなる映画です。
大尉にはパンが見えなかったなど、
童話のようなシーンはオフェリアの妄想なのではないかと思えるような箇所があります。
そうするとなんとも皮肉で悲しいストーリーになります。
反対に、魔法のようなものがなければ説明のつかない箇所もいくつかあります。
私はパンも地底の王国もちゃんとあったと思っています。
そして、試練の内容の裏側を考えてみました。
第一の試練では、老木を助けたことで木に白い花が咲き
オフェリアがここで生きていたという証を残します。
これは現実世界への別れの挨拶です。
第二の試練はおそらく必ず失敗する試練です。
食べ物を食べてしまったことで失敗に終りましたが、
ちゃんと言われた通りにこなしていたとしても
案内役の妖精が指し示した引き出しは、持っている鍵では開けることができませんでした。
結局鍵の合う隣の引き出しからナイフを持って帰りますが
問題なく戻っても持ってきた物が違うと言われたのではないでしょうか。
この 失敗する ということが第三の試練の布石になるんだと思います。
第三の試練では、第二の試練に失敗したことで
ラストチャンス、後がないという必死にならざるをえない状況で行われます。
ここでは王女としての資質を問われ、
その後は王国へ行くための儀式へと移行していくのではないかと思います。
パンと初めて出会ったとき、
廃墟のレリーフに描かれたパンと地底の国の王女の姿の説明を聞きます。
王女の手には赤ん坊が抱かれていますが
誰かというオフェリアの問いにパンは答えませんでした。
これは第三の試練の伏線になっていたのではないかと思います。
王国への行き方は明確に説明がありませんでしたが、
なんとなく人間の体を捨てなければいけない気がしていたので
死ぬことは必要だったのではないかと思っています。
最後、王国にいるオフェリアと遺跡で倒れたまま微笑むオフェリアがいたのは
意識が現実世界から王国へ行く途中だったからじゃないでしょうか。
一応、オフェリアが王国やパンに一切関わらなかったときのことも考えてみます。
そうすると、母親とお腹の弟はきっと助からないでしょう。
大尉がレジスタンスに負けるかどうかはわかりませんが、
仲の良いメイドがオフェリアを引き取ってくれ、普通に生活できたかもしれません。
でも、メイドがレジスタンスの一員だったことを黙っていたことで
大尉に殺意を抱かれるのは変らず、もしかしたら殺されてしまっていたかもしれません。
いろいろな可能性を考えたらきりがないですが、
オフェリアはあの状況から自分にできる精一杯のことをして
幸せになる結末を選べたんじゃないかと思っています。