“ 人間の想像力というのは、自分以上の器に膨らむことはない。なのに、人間の想像力というのは、自分以上の器に膨らむことはない。なのに、空想の魔術師ともいえる幼い子供たちの内部には、童話や絵本やテレビや映画や、親や周りの人々から与えられる情報以外の何かが、奔放に溢れだしている。それは一体どこから溢れだしているのか。おそらく、その人間の「命」を成しているようなものの律動のしからしむるところであろう。若い星が青く輝いているように、幼い人間の命も青くて、殻に閉じこもっていないだけに、空想力もまた抑えがたい奔放さを持っている。”


「ひとたびはポプラに臥す③」宮本輝より