BS松竹東急で『熱中時代』が始まる。

 

熱中時代・先生編 第1回 | BS松竹東急 (shochiku-tokyu.co.jp)

 

水谷豊主演「熱中時代・先生編」を全国無料放送、一人の小学校教師が全力で子供たちと向き合う姿に「記憶に残る名作ドラマ」の声(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース

 

VHSの時代からソフト化がなされていて、いまではDVDやBDソフトでも観られ、スカパー!でも頻繁に掛かっているから、さして珍しいものではないのだけど、やはり放送で掛かるたび、話題を呼ぶ作品だ。

 

この作品の魅力とは、なんだろう?

 

水谷豊演じる新米教師の直向きさかな、やはり。

 

いや、それだけじゃない。もっと他にあるんだ。

 

水谷豊演じる主人公・北野広大は、一流大学を出てなくて、しかも補欠採用の新米教師という、なんとも頼りない設定。それまでの学園ドラマに出てくる先生というのも、この設定と似たり寄ったりだけど、どこかヒーロー然としていたし、一芸に秀でた部分を持っていた。ところが、北野広大にはなんにもない。

 

このドラマ独自の、北野広大を“熱中先生”に覚醒させる設定こそが、『熱中時代』を空前の大ヒットに導いたのだ。

 

それが、校長の自宅に下宿するというもの。

 

船越英二演じる天城校長というのは、もちろん年の功で先生稼業を一から百まで判ってて達観しているし、慕ってくる人へは誰に対しても優しいし、一方で悪意ある抵抗勢力に対しては毅然としていて、もうほとんど“聖人”なわけ。

 

また、下宿させているのは北野広大だけではなく、同僚の教師たちも複数いる。だから、もういつでもどこでも職員会議をやっているようなかんじ。なので、北野広大は先生でありながらも、“聖人”・天城門下の新入生徒でもあるわけ。この二層構造が、それまでの学園ドラマとは違った部分だし、視聴者にウケた要素ともなった。

 

脚本を担当した布施博一は、主人公が下宿するという設定に味を占めて以後結構使いまわす。

 

1981年春改編期にフジテレビでやった学園ドラマ『気になる天使たち』、すぐさま1981年秋改編期の直前にフライングスタートした堺正章版『熱中時代・刑事編』ともいえる『キッド』、そして1983年から1984年にかけてやった同じ水谷豊主演の『事件記者チャボ!』と。

 

まぁ、このなかで上手く行ったのは『キッド』かな。下宿先が上司の家であり、その上司役が船越英二だったから。ここでも船越が演じるキャラは、まんま天城校長なわけで。

 

いまでは忘れられたことに、『熱中時代』が本放送だけではなく再放送でもひんぱんにやっていた当時、北海道出身という設定でその北海道訛りだった、水谷豊演じる北野広大の口調とともに、船越英二が演じるこの天城校長の独特な口調のモノマネもすごく流行った。一説によると、息子の船越英一郎はそれが得意らしい(笑)。