1970年代の大映テレビ、そこの制作によるドラマといえば、まず真っ先に思い付くのは山口百恵が主演級で出ていたTBS「赤いシリーズ」であろう。それ以前の1971年まで同じ金曜9時台にやっていたアクションドラマ『東京警備指令 ザ・ガードマン』(1965年4月~1971年12月)なんかも往年のテレビ好きには大映テレビの存在を示していた。また、同じTBSで坂上二郎主演による『夜明けの刑事』(1974年10月~1977年3月)から三作続く通称・「日の出署シリーズ」、そしてその後番組で1980年代まで続いた『噂の刑事トミーとマツ』(1979年10月~1982年12月)なんかの刑事ドラマものも外せない。

 

こうして見ていくと1970年代の大映テレビ=TBSのイメージがやはり強いのだが、他局でも制作しており、日本テレビでは刑事くずれによるハードボイルド・アクションドラマの『白い牙』(1974年4月~9月)、フジテレビでは『太陽にほえろ!』(日本テレビ-東宝、1972年7月~1986年11月)の新米刑事成長物語部分を模した『刑事物語・星空に撃て!』(1976年10月~1977年3月)などがある。そして、1975年3月末、テレビ史に残る出来事で、東京にあるキー局・TBSと後のテレビ朝日になるNET、大阪にある準キー局・毎日放送と朝日放送が親会社の新聞社どうしに合わせ直してネットチェンジ、いわゆる腸捻転解消をした直後、朝日放送の制作によってNET系で放送を開始した刑事ドラマ『TOKYO DETECTIVE 二人の事件簿』(1975年4月~11月)、その続編の『二人の事件簿 暁に駆ける』(1976年7月~1977年4月)なんかはツウ好みの大映テレビ作品であるかと思う。たとえば、同じ大映テレビによる制作の利点を活かして、ドラマでは大映テレビ‐TBSの専属ぽかった山口百恵や、彼女とゴールデンコンビであった三浦友和もゲスト出演させたりした。

 

さて、今回のタイトルに掲げた“篠田三郎、「二人の事件簿」を語る”である。

 

85歳!の現役タレント・毒蝮三太夫のYouTubeチャンネル「マムちゃんねる」は毎回ゲストを招いてのトークショウを展開している。それで最近の更新では、俳優の篠田三郎を招いた。前編後編の二回分あり、前編は毒蝮・篠田の共通項であるウルトラマンシリーズ参加について、後編は篠田三郎が主演した上述の『新・二人の事件簿 暁に駆ける』に毒蝮が同僚刑事役で共演していたことについて語っているのだ。

 

 

 

『TOKYO DETECTIVE 二人の事件簿』と『新・二人の事件簿 暁に駆ける』は、いまから二十年ほど前にチャンネルNECOで放送され、その頃に刊行されていた『刑事ドラママガジン』でも特集されたことがあり、高岡健二(当時、現・高岡健治)とともにW主演した篠田三郎がインタビューに応えている。篠田三郎はよく円谷プロと『ウルトラマンタロウ』のことは語ってはいるけれども、大映テレビと「二人の事件簿」シリーズについて語ったのはそれ以来じゃないかと。

 

当時の大映テレビは、東宝スタジオ、東宝ビルト、国際放映、三船プロダクションなどの撮影所が建ち並ぶ世田谷成城にほど近い調布市仙川と中河原の二箇所にスタジオがあり、『刑事マガジン』でのインタビューによれば、「二人の事件簿」シリーズは最初に仙川スタジオ、後になって(続編の『暁に駆ける』のほう?)中河原スタジオで撮っていたそうで、そこでの思い出なども語られている。

 

 

仙川・スタジオ (fc2.com)

マニアによるロケ地探訪ならぬ撮影所跡地探訪記

1980年代、大映テレビ作品に出演中の人気アイドル歌手が出演していた歌番組では

仙川スタジオや府中スタジオ(中河原スタジオ)からの生中継があって

その名称だけは馴染み深いのだが、実際はかなり…な場所であった。

 

 

最後に、またまた“私事ながら”のハナシで締めたい。シリーズ一作目の『TOKYO DETECTIVE ふたりの事件簿』は自分が二歳になる前後に放送されたものだからして、本放送の記憶はない。続編である『新・ふたりの事件簿・暁に駆ける』のときは物心付いていたものの、裏番組のTBSでやっていた東宝版トラック野郎『火曜日のあいつ』(1976年4月~9月)のほうを観ていたし。このシリーズを観ていたのは一、二年した後の再放送で、その頃ちょうどウルトラマンシリーズがリバイバルした第3次怪獣ブームがあって、『ウルトラマンタロウ』も再放送されていて、これも当時が初見となった。で、「二人の事件簿」シリーズと『ウルトラマンタロウ』はともにフィルム撮り作品だし、作品が制作された時期も近似しているから、「二人の事件簿」シリーズに出ている篠田三郎演じる刑事は、『ウルトラマンタロウ』に変身する東光太郎の仮の姿だと思い込んで観ていたのだ(笑)、当時5歳の自分は。だから、篠田三郎演じる刑事が犯人を必死で追ったり、または犯人にやり込められてピンチになった際、何時?バッジを取り出してタロウに変身してくれるのか!と期待しながら観ていた思い出がある。

 

ザ・サスペンス「九州殺人行」|ドラマ・時代劇|TBSチャンネル - TBS

篠田三郎は「二人の事件簿」シリーズ以後も大映テレビ作品へは

山口百恵主演『人はそれをスキャンダルという』などに出演していった。

1980年代、大映テレビも参加したTBSの単発2時間ドラマ枠「ザ・サスペンス」へも出演し

主演作『九州殺人行』では1シーンながら『ウルトラマンA』主演・高峰圭二との共演場面もある。