いま、スカパーで国内の2時間ドラマを放送しているところは、11チャンネルにも及ぶ。TBSチャンネル、フジテレビONETWONEXT、テレ朝チャンネル、チャンネルNECO、チャンネル銀河、AXNミステリー、ファミリー劇場、ホームドラマチャンネル、LaLa TV、日本映画専門チャンネル、時代劇専門チャンネル(ただし、時代劇のみ)。

 

で、ラインナップを見ると、だいたいが1990年代中盤以降に作られて放送された、素人探偵が観光地で事件に遭遇して料理とかの専門知識で犯人探し当てて、崖で告白させて解決しちゃうやつね。船越英一郎が大事にしようと提唱しているスタイルの。

 

スポーツ報知 船越英一郎&山村紅葉、2時間ドラマ減少で苦悩「消えていくのはさびしい」

http://www.hochi.co.jp/entertainment/20170524-OHT1T50203.html

 

日刊スポーツ 崖っぷち2時間ドラマ、帝王船越英一郎の直訴が熱い

https://www.nikkansports.com/entertainment/column/umeda-b/news/1823862.html

 

2時間ドラマは大まかに三つのジャンルに分けられる。まず一つ目は、殺人などの刑事事件は起こらず(または主体にはならず)、女の一代記なんかを綴ったもの。二つ目は、ミステリー。犯人探しとかアリバイ崩しの謎解きもの。今日の2時間ドラマはこれが多い。三つ目が、サスペンス。たとえば、事件の犯人は最初から判っていて、それを追跡したり、または被害者や目撃者が襲われる恐怖から逃げていくもの。いまでは、ほぼ失われたジャンルとなってる。

 

1980年代半ばまでは、この三つのジャンルがバランスよく取れていた。それが1980年代後半になると、ミステリーもの、それも素人探偵ものが突出して増えていき、展開がワンパターンな長期シリーズものも形成されていく。1990年代から2000年代の最盛期はそういったものが謳歌していたわけである。

 

話を戻して、いまスカパーで2時間ドラマをやっている11チャンネルの中でラインナップが最低なところは、日本映画専門チャンネルの「昼の2時間サスペンス」枠だ。本放送時の年代はほとんどが1990年代後半から2000年代、よくて1990年代前半のもので、しかもすでに他のチャンネルで幾度も放送していたもので占められている。

 

日本映画専門チャンネル 「昼の2時間サスペンス」 紹介

https://www.nihon-eiga.com/program/#31

 

最近の日本映画専門チャンネルは〝看板に偽りあり〟の体をなしている。リアルタイム視聴が乏しい平日昼間にこの「昼の2時間サスペンス」を置いて、なんとか時間を埋めてる有様。手抜きも甚だしい。今年の7月から始まったのだが、それ以前から「ひるおびドラマ」枠と称して、1時間枠の連ドラで埋めていて、やはり他のチャンネルでやったものばかりだったので、まったく持ってやる気が感じられない編成が続いているのである。

 

当ブログ 日本映画専門チャンネル「ひるおびドラマ」は諸刃の剣か?

https://ameblo.jp/goro-chayamachi/entry-12038754148.html

 

「日本映画専門なのに、テレビドラマを放送するな!」とは言わないが、とにかく改善を求めたい。

 

さて、ようやくここからが本題。

 

11チャンネルのなかで、2時間ドラマのラインナップが突出して素晴らしいのが最近のホームドラマチャンネル。先月は山城新伍主演の「変装探偵」シリーズを蔵出し(未ソフト化&CS初放送)放送。これは「土曜ワイド劇場」枠で1981年と1982年に放送されたもので、山城新伍演じる私立探偵が美女がらみの連続殺人事件に、普段の冴えない姿とは別人のモテ男に変装して事件に関わる廻りの美女としばし楽しんだ後に、その巧みな話術で彼女らから証言を引き出して解決していくというミステリーコメディもの。もちろん「土曜ワイド劇場」特有のお色気あり、残酷描写ありで、二本とも井上梅次監督だったりするから、差し詰め東映版「江戸川乱歩の美女シリーズ」(松竹製作・天知茂主演)といった趣だろうか。

 

ホームドラマチャンネル 『変装探偵』 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14019&category_id=4

 

ホームドラマチャンネル 『変装探偵II』 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14020&category_id=4

 

来月はもっとスゴくて、ウィークエンドサスペンス ミステリーセレクション枠でやるものは「こういう昔の2時間ドラマが観てみたかった!」というラインナップそのものだ。

 

ホームドラマチャンネル 『幻の結婚式』(1985年1月26日放送) 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14698&category_id=4

 

ホームドラマチャンネル 『無人霊柩車殺人事件』(1980年9月6日放送) 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14699&category_id=4

 

ホームドラマチャンネル 『父にかかる電話』(1985年9月17日放送) 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14700&category_id=4

 

ホームドラマチャンネル 『冷たい血』(1982年8月21日放送) 紹介

http://www.homedrama-ch.com/series?action=index&id=14701&category_id=4

 

この四作のなかでオススメとしては、当時すでに故人となっていた沖雅也が出演していた『幻の結婚式』。翌月にも生前に撮っていた主演作品『浴室の死美人』が放送されるなどして当時ちょっとした話題になったものだ。

 

それから『冷たい血』なんかも。これは松竹京都が製作している。つまり必殺シリーズのスタッフが手掛けていて、当時毎年あの「京都妖怪地図」シリーズを作って放送していた夏場恒例の怪奇シリーズ枠で、その姉妹作と呼べるもの。

 

是非とも期待して待ちたい。