今月は暇なので、本を結構読んでいる。それを紹介。

 

○ 飯島敏宏 『バルタン星人を知っていますか? テレビの青春、駆けだし日記』

1957年にTBSの前身KRT(株式会社ラジオ東京)に入社したドラマ演出家・プロデューサーの飯島敏宏が書いた自叙伝。飯島敏宏といえば、会社が出来て間もない円谷プロダクションに出向して、彼らと一緒に『ウルトラQ』、『ウルトラマン』と初期ウルトラシリーズを手掛けたことが一番知られている。そしてなんと言っても、あのバルタン星人の生みの親としても。そのあたりのことが大半を使って書かれてあるのだけど、テレビ黎明期だったKRT入社時における会社の様相、TBS社員として外部製作プロである円谷プロダクション、そしてその次に出向した木下惠介プロダクション(現在のドリマックス・テレビジョン)との関わりなど、TBSの本流と傍流が絡む歴史を探れる。

 

 

 

○ 久米宏 『久米宏です。ニュースステーションはザ・ベストテンだった』

こちらも自叙伝。1985年10月に放送開始されたテレビ朝日の報道番組『ニュースステーション』、その立ち上げから自身の降板による番組終了(2014年3月)までの回想録が中心。もうひとつの経歴を代表する出演番組、TBS『ザ・ベストテン』については、すでに知られている話をなぞっているだけであったが、その出演期間中に、どうして独立したのかが詳細に書かれてあって、それが後々の『ニュースステーション』に結びつく。

 

また、『ニュースステーション』の前身ともなった『TVスクランブル』(日本テレビ-オフィス・トゥーワン、1982年10月~1985年3月まで放送)については結構な分量で振り返っていて、他の誰かが振り返った特集記事や書籍もないだけに、これこそが貴重ともいえる。『ニュースステーション』での記述は、社会問題や政治問題でやった大チョンボに結びつくのかオブラートに包んだところがあるが、『TVスクランブル』の項では本音が垣間見れた。

 

 

 

○ 永野健二 『バブル 日本迷走の原点』

著者は元・日本経済新聞 証券部の記者で、その当事に日本に舞い起こったバブル景気について詳細に振り返っている。バブルってどうやって始まってなんで終わったかぐらいはある程度知っていたが、その前の兆候や崩壊後の様相なんかも含めて体系的に書かれてあって読みやすかった。

 

 

 

○ 友井健人ほか 『タケダアワーの時代』(映画秘宝セレクション)

『隠密剣士』、『月光仮面』、『ウルトラマン』、『柔道一直線』、TBS日曜7時の武田製薬一社提供枠はタケダアワーと言われていて親しまれていた。その撮影スタッフや出演者など製作現場の証言から振り返るのではなく、番組スポンサー、広告代理店、放送局からも編成や営業などのあまり世に知られていないところから検証していて面白い。

 

 

タケダアワーは1974年に終わる。1973年生まれの自分は本放送は見たことなく、だから番組開始冒頭に流れる「タケダ、タケダ、タケダー」も知らなかった。小学5年生の頃(1984年)、授業の一環としてクラブ活動があり、どういうわけか、演劇クラブに入る。そこで「タケダ、タケダ、タケダー」を知ることに。週1時間しかない演劇クラブの授業は遊びみたいなもので、最初は何か台本があってそれを集団で読みあって練習するのではなく、一人ひとりで自分で思いついたパフォーマンスすることを毎週していた。で、だいたいが、流行っているテレビ番組やCMのモノマネで、顧問の先生が「自分が子どものときは…」ということで、タケダアワーが始まるアレを披露したのだ。そんな思い出が記憶の底から蘇った。