あけましておめでとうございます。


本年もどうぞよろしくお願いします。



まずは、お知らせです。


今月1月25日に、わたしが執筆に参加した『映画秘宝EX にっぽんの刑事スーパーファイル』というムック本が発売されます。


テレビの黎明期から全盛期、そして近年のものまで含めて“刑事ドラマ”にカテゴライズされるあらゆるものを網羅して収められているとのことです。わたしの担当部分は80年代半ばから90年代初頭にかけてのもので、ものすごい!文字数の分量を与えてくれました。当ブログ読者の皆様には、きっと喜んでくれる内容のものかと存じます。甥っ子姪っ子へのお年玉を削ってでも!、なにとぞご購読よろしくお願いします。


それでは、一月のスカパー!昔のドラマ特撰をご紹介。


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チャンネル銀河では「直木賞作家原作 サスペンスドラマ」と題して昨年12月28日から1月3日にかけて42作品を放送中。鉄板の松本清張モノ以外ではなかなかスカパー!に出てこなくなってしまった70年代や80年代のものも相当な量が含まれているだけに、見ものがいっぱい。


すでにDVDソフト化はなされているものの、1月2日放送の、『コメットさん』からだいぶ経っていたというのに女子高生役をやった大場久美子主演の多岐川恭原作『濡れた心 レズビアン殺人事件』(1981年4月18日放送)は必見。昔のドラマの良さ、そしていまのドラマにはない、制約のなさから来る奥深い表現を味わえるかと思う。


チャンネル銀河公式 「濡れた心 レズビアン殺人事件」

http://www.ch-ginga.jp/movie-detail/index.php?film_id=00184


日本映画専門チャンネルでは1975年にNHKが制作した『なぞの転校生』を「ひるおびドラマ」枠で放送。最近のスカパー!でやっている昔のドラマは妙に1975年付いていて、東映チャンネルでやっている『新宿警察』(1975年9月~1976年2月)と時代劇専門チャンネルでやっている『影同心』&『影同心Ⅱ』(1975年4月~1976年3月)はそればかりか当時裏番組どうしであったし、TBSチャンネル2で毎日二話ずつやっている『夜明けの刑事』(1974年~1977年)、そしてファミリー劇場の『太陽にほえろ!』リピート放送分(テキサス編末期で、もうすぐボンが加入する1975年後半~)など、ほんと集中している。


日本映画専門チャンネル公式 『謎の転校生』(1975年)紹介

http://www.nihon-eiga.com/program/detail/nh10006292.html


TBSチャンネルでは、1992年に放送した松田聖子主演の金曜ドラマ『大人の選択』を放送。いまから十年ほど前に、彼女のデビュー20周年を記念して同チャンネルで初放送されたものではあったけれど、それ以来久しぶりの登場。まあ、内容はあってなしのような“どっちつかずの恋に揺れる”という、よくありがちなもの。ただ、それを松田聖子が連ドラの主演でやっているのが貴重!、あと、この金曜ドラマ枠は80年代半ばからホンダがスポンサーに入っていた関係で、劇中のレギュラー出演者が乗っている車がすべてホンダ車というのも見どころ。この当時のホンダ車はどれもカッコいいしね。


TBSチャンネル公式 『大人の選択』紹介

http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/item/d0565/


ファミリー劇場の「日曜テレビ秘宝館」枠では、テレビ朝日系の2時間ドラマ枠「土曜ワイド劇場」にて放送された「京都妖怪地図」シリーズ全6作を今月から来月にかけて放送。時代劇の「必殺」シリーズを手掛けていた同じ朝日放送‐松竹のスタッフによる現代劇のオカルトもので、怖い!というよりは、キワモノ!というかんじで愉しく観られるかと思う。


ファミリー劇場公式 「日曜テレビ秘宝館」…『京都妖怪地図』紹介

http://www.fami-geki.com/hihoukan/


最後にそれを詳しく紹介。


当時の「土曜ワイド劇場」は夏場の時期に“怪奇シリーズ”と銘打って、そういったものがお得意な円谷プロダクションなどが手掛けたホラー作品を特集放送するのが恒例であった。そして、1980年の際に、テレビ朝日系列で大阪にある準キー局の朝日放送が制作局として担当したのが、「京都妖怪地図」シリーズ一作目の『嵯峨野に生きる900歳の新妻』(1980年8月23日放送)。


製作プロは松竹で、実制作は必殺シリーズやこの「土曜ワイド劇場」枠で『京都殺人案内』シリーズを手掛けていた、朝日放送懇意の京都映画撮影所(放送当時の名称で、現名称は松竹撮影所)が担当している。


この作品、必殺シリーズでもおなじみの田中徳三が監督をしているのだけど、俳優陣がさらに興味深い。まず、主演は美人女優として知られた宇津宮雅代。この手のお化け役を演じるのは初めてで、1時間半掛けた特殊メイクで変身した醜悪な姿が売りとなった。その宇津宮が演じる香織という女性は平安時代から現代までの京都に900年間生き続けている妖怪で、普段の姿は妙齢の美人なのだけど、若い男性の生き血と精液!を継続的に吸っていかなければ途端に900歳の醜悪な姿に戻ってしまうという設定。その妖艶な彼女に翻弄されて餌食となっていく男たちが、三田村邦彦と中条きよしのコンビ。そう、仕事人の飾り職人の秀と三味線屋の勇次なのである!


当時、「必殺」シリーズのほうはまさにその『必殺仕事人』が放送中ではあったが、中条きよし演ずる三味線屋の勇次が出てくるのは翌年放送の『新・必殺仕事人』から。それに先駆けての共演となっていた。時代劇の必殺シリーズを中心に手掛けていた京都映画撮影所が作る現代劇には、監督や脚本陣は言うに及ばず、カメラから照明に至るまでスタッフらはまんまそのまんまだし、出演している俳優の面々もかなり重複しているので、そこが“通”な見どころとなっている。


翌1981年に作って放送された二作目の『きらら坂に住む400歳の氷女』は、一作目の焼き直し感が強くてシリーズ中ではあまりおススメが出来ないが、三ツ矢歌子が主演となる1985年放送の三作目『烏辺山に棲む800歳の女子大生』と1986年放送の四作目『河原町に棲む400歳の不倫女医』は共に傑作。まず、タイトルが強烈すぎる(笑)。でも、三作目の“800歳の女子大生”は、当時49歳の三ツ矢歌子が強引にやっているわけではなく、若手女優だった斎藤林子のほうが演じている。三ツ矢は彼女に言い寄られる被害者みたいな役で、結局は断り切れずに寝てしまうといった内容で、お互い裸身になってのレズシーンが観られるのだ(新東宝かよ!)。四作目の“400歳の不倫女医”では、とうとう三ツ矢にも特殊メイクが施されることに。三ツ矢は夫である小野田嘉幹監督と息子(天知茂主演「江戸川乱歩の美女シリーズ」の小林少年役)からキワモノドラマに出演することに猛反対を食らったそうであるが、そこは女優魂で振り切ってノリノリで演じたとのことである。


90年代に入ってからの五作目『嵯峨野に生きた900歳の美人能面師・葵祭りにせつなく濡れて…』と六作目『時空を超えて時代祭に蘇る愛の伝説!1200歳の美女 VS. 霊感デカ』は、それまでの局側プロデューサーで、『赤かぶ検事奮戦記』やハングマンシリーズを手掛けていたエンターテイメント・ドラマの鬼才である奥田哲雄が外れたためか、イマイチな出来になってしまったのが残念(ちなみにこの御方はカルト作品『京都マル秘指令 ザ新選組』のプロデューサーでもある)。しかし、いまや俳優業がほったらかしになっている石原良純やら美木良介の生真面目な演技が観られるので、それはそれで貴重かも。