今週10月15日、大阪フェスティバルホールに、T-SQUAREデビュー35周年記念イベントのライブ「T-SQUARE SUPER BAND SPECIAL」を観に行ってきた。


二日前の13日に東京の日比谷野外音楽堂でも同タイトルのライブが行われていたのだけど、出演ゲストに違いがあり、大阪の方では、是方博邦、野呂一生、マリーンというラインナップ。安藤正容が率いるT-SQUAREのライブに、是方と野呂が出るということは、すなわちオットットリオとしての出演になるので、新幹線代と宿泊費なんて惜しむことなく、こちらを選んだ次第。


というわけで、オットットリオの模様中心にレポートをお届けしたいのだが、まずはその前に今回のライブ会場の模様を。


会場は今年再開館したフェスティバルホール。初めて行く場所で、さらに当日は台風が襲来して大雨の日・・・。だから、どうなるものかと心配したが、大阪遠征の際に定宿にしていて今回も泊まったホテル、グランヴィア大阪が入っている巨大ターミナルの大阪駅(梅田駅)の一画、地下鉄の四つ橋線 西梅田駅からわずか一駅の肥後橋駅下車、そこの出口からフェスティバルホールがあるビルに地下通路が直結していたので、場所を迷うこともなく、行きも帰りも雨に濡れずに済んだのは幸いした。


伝統あるフェスティバルホールの印象は圧巻の一言。自分が尊敬するアーティストのひとり、山下達郎が事あるごとに触れるように、音響をはじめ、立地、清潔さ、雰囲気など、讃える言葉が尽きることはない。そして、東京でもやった同内容の公演を2700席あると云われるここでも出来たT-SQUAREの弛まない歴史と人気に改めて感服した。


さて、ライブのほうは、最新アルバム『SMILES』の1曲目「OPEN THE 35TH GATE」からスタート。歌い手のゲスト、マリーン以外全員参加であったから「おぉっ!」と思わせてくれた。が、是方と野呂のふたりはあくまでもゲストなので、「アレレ・・・」とすぐにこの一曲で舞台そでに下がっていってしまうのだった。その後、1988年のアルバム『YES,NO』から懐かしい「DANS SA CHAMBRE」を繰り出してきたメドレー、デビュー時のメンバーを交えていることから1978年のデビューアルバム『LUCKY SUMMER LADY』より「THE NUMBER」や「FUTURE FLY」らでスクエアの歴史を堪能させてくれた後、お待ちかねのオットットリオのコーナーで是方と野呂のふたりは再び登場。


オットットリオは1987年に結成されたギタートリオで、じつはその結成には今回の演奏場所、フェスティバルホールが因縁としてある。前年の1986年に是方がライブツアーで関西方面を廻っていた際、「フェスティバルホールが一日空いているから何かやって」と依頼されたのがキッカケだった。そこで是方が当時(もいまも)人気の二大フュージョングループであったスクエアとカシオペアのギタリストとセッションをしたいと、それまで面識はあっても共演経験のなかった安藤と野呂に電話を掛けたところ、ふたりとも快諾。結局、このフェスティバルホールの話は流れてしまったが、話だけはそのまま盛り上がっていき、1987年1月に六本木ピットインで2DAYSの初ライブが開催された。


翌1988年には東名阪の三都市でホールツアーを開催し、そのなかの東京公演の模様がライブアルバム化されたり、1989年には名古屋のセンチュリーホールで、スクエア、カシオペア、そしてオットットリオが初共演というフュージョン界世紀の一大イベントとなったSUPER FUSIONが開催されるまでに至る。しかし、1990年のカシオペア、そしてスクエアも活動の根幹を揺るがすメンバーチェンジが続いてしまって、ある意味で余興であったオットットリオの活動は凋んでしまう。ただ、そのある意味で余興であっただけに解散なんてすることがなかったのがオットットリオ最大の長所(笑)。


そういう事情で1990年代からは何年もライブをやらなかった期間もあるなどして活動は不定期となりながらも、近年は結成当初のように年に一、二度の割合でコンスタントにやってくれている。今回の「T-SQUARE SUPER BAND SPECIAL」での出演は、三人ずつ居たベースとドラムのメンバー編成のなかから、その近隣のライブであった今年6月の東京・目黒にあるライブハウス、ブルースアレイジャパンの単独公演でもバックを務めた須藤満と坂東慧がリズム隊として支えた。さらに近年のライブにおけるキーボードレスの編成ではなく、河野啓三が加わったばかりか、オットットリオ初のパーカッションに仙波清彦という面子で色付けている。


演奏したのは、オットットリオのオリジナル曲で結成当初からの定番となっている「BOYS BE AMBITIOUS」と「GUITAR CUBIC」。さーて、次はどんな曲かと期待が高まったところで残念ながらこの二曲でオットットリオのコーナーは終了。うーん、正直ちょっと少なくない(笑)?、いつものように饒舌な是方とCASIOPEA 3rdでもこなすようになった野呂の絶妙なMCも期待したのだけど、それもなかったし・・・。まぁ、やはりそこはスクエアのライブだから致し方ないところだったか。しかし、ふたりはその後も本編終盤の「JAPANESE SOUL BROTHERS」とラストのおなじみ「TRUTH」、それからアンコールの「TEXAS KID」と「LITTLE MERMAID」にも加わるなどして、トータルすれば結構な参加具合であって、安藤・是方・野呂の三氏のギターを一番の目当てにはるばる大阪に来た自分としてもたいへん満足感があった。


なお、今回のスクエアのライブは記念ライブということもあって、来年春の販売に向けた映像ソフトの撮影も入っていたことから、結成26年のオットットリオとしては初の出来事となる。これも嬉しいところ。