タイトルは「見てろ女ども!ダサい男の復讐」。いくら打ち切りだからって、もうホントにどうしようもない。放送していたTBSも、ちょっとは一緒になってタイトル考えてあげろよ!というかんじ。しかし、12話目にして、ようやくタイトルと内容が完全合致した。

待てよ!?

ということは、完全合致のこのタイトルが『スーパーポリス』のレベルなのか・・・。納得。

当時の言葉で喩えれば、ネクラな男の磯村健治は、婦女暴行で自分をムショ送りにした若い女性を恨んで、機動隊の官舎から奪ったライフルで次々に射殺。女にモテない役柄ながら、どこで覚えたか正確な射撃の腕前、そしてスーパーポリスらと対決してさらに勝てるカンフー等、女にモテる要素以外のものは無駄に備えている。

そして、いまはワープロ喫茶の従業員で“後から前から”の畑中葉子に入れ込んでいるものの、指名手配された後、彼女が匿ってくれるとでも思ったのか、ワープロ喫茶に隠れるように入ったところ、彼女が影で糞味噌に罵っているところに出合わせてしまう。当然のごとく三度復讐に燃えて射殺しようとする。しかし、狩りのセオリーに忠実だったのがいけなかったのか、初弾で動きを止める腕撃ち抜いただけで、致命傷の第二弾撃とうとしたところにスーパーポリスが駆けつけて失敗。最後は三浦友和に追い詰められて逮捕されてしまうというのが今回のあらすじ。

三浦友和は最初の女性射殺の際、たまたま現場に居合わせて、とっさに彼女の防衛をしたために負傷。そのまま手術入院となって戦線離脱。そこで、これを機会にいままでことごとく役立たずだったスーパーポリス若手3人組とウガンダになんとか成長してもらいたいと思った三浦は部下に優しいタンバに進言。磯村が要求した脅迫金の受け渡しに乗じた逮捕は若手3人プラスウガンダの4人に任せられることになる。

しかし、『スーパーポリス』らしさがここで出ていて、この4人はものの見事に脅迫金を奪われた挙げ句、二度に渡って磯村に逃げられる失態をしでかす。

警察から奪われた銃で無差別殺人が行われてるという国家を揺るがす事態なのに、その犯人からの脅迫金5000万円の受け渡しは半人前の4人だけという、他になんのバックアップ体制無く行われたのも問題だが、結局彼らは汚名返上のチャンス活かすことが出来ず、負傷している三浦が業を煮やして現場に復帰。磯村をいとも簡単に逮捕してそのままエンディング。

さて、この回はいかにも1985年らしさに満ちあふれている。渡辺和博『金魂巻』が提唱した金持ちと貧乏を表す“マル金、マルビ”や、セックスすることを表す隠語の“ニャンニャン”などの当時の流行語がはしばしに出てくる。

また、いまのインターネット喫茶の原型になるのか、ワープロ喫茶が今回のキーポイントになっており、脅迫文は刑事ドラマ特有の新聞の写植文字の切り貼りや犯人の心情そのまま表したような殴り書きなどではなく、ワープロ喫茶で作成されたワープロ文書がいかにも1985年らしさを醸し出している。前年からのグリコ森永事件で脅迫文書に日本語タイプライターが使われたから、さらにその上を行ってみたのだろうか。それから、磯村が入れ込む3人目の被害者、“後から前から”の畑中葉子はワープロ喫茶の従業員で、この店では女性従業員がTシャツ&ミニスカの薄着姿で客に手取り足取りレクチャーする模様も挿入されるなど半分風俗っぽい店にも描かれている。

そういえば、同じ土曜9時の放送ながら、『Gメン'75』にあって『スーパーポリス』にないものがある。それは女の裸だ。1982年3月の番組末期まで平気でトップレス・バーなどの風俗店の模様や外人が無駄に裸身をさらけ出して殺されている描写があったが、『スーパーポリス』にはそれがない。『Gメン'82』では、夜8時という時間帯が『太陽にほえろ』、『西部警察』らと同様に業界不文律の規制によって、女の裸が消えていったが、まだ当時の夜9時台はオーケーだったはず。

“後から前から”の畑中葉子という思わせぶりなキャスティングだけでお茶を濁したのはなぜだろうか。TBSやスポンサーの意向?、子供の視聴者層を狙った弊害?、脱がし要員を確保出来ないほどの製作予算逼迫?