今回の話の展開は、日本でも話題となった前年1984年のアメリカのヒット映画「ストリートオブファイヤー」が下敷き。


深夜ラジオ番組の生放送中、DJをしていた人気タレントの小宮久美子は、安岡力也率いる暴走族まがいのロックグループ、バスターズに連れ去られてしまう。彼女のマネージャーの田島真吾は、三浦友和になぜか“上から目線”で助けを求める。三浦は小宮のかつての恋人だったからだ。いまは彼女とは没交渉であり、そのマネージャーの気に入らない態度に一度は拒否するものの、スーパーポリスに特命が下される。三浦は、彼女を救い出すべく、かつて自分と彼女が住んでいた街へと車を走らせた。


そんな三浦を慕うかとうかずこが同行。かとうは三浦から自身と小宮、そしてバスターズとの因縁聴き出し、過去の一片を知ることになる。三浦とかとうの目指すは、バスターズの本拠地であり、小宮と自分もたむろしていた街外れの工場の廃屋だった。その工場の廃屋では、昔から小宮に惚れていた安岡力也が力に任せて自分のスケになるように脅すが、当然のように小宮は拒否。


工場の廃屋に到着した三浦は隙見て小宮を助け出すも、バスターズの反撃も激しく、まさに命からがらに逃げ出す。一時避難したホテルの廃屋に、マネージャーの田島真吾が駆けつけた。自分では手を汚さず、助けて貰った恩義なんて少しもみせずに、あげくは罵る自分勝手な田島に、かとうは怒りのビンタを見舞う。


三浦と小宮、時が過ぎたなかでは、かつての愛は戻らなかったが、二人の間にあった過去のわだかまりは解けた。しかし、逃げた三浦と小宮を追ってきた安岡力也が現れた。男のプライドと小宮を掛けて三浦に1対1の勝負を挑んできた。


安岡力也が極悪非道の暴走族まがいのロックンローラーを演じている。歌手出身だから、さすがに前回のスパイダーマンがふんしたヘヴィメタロックンローラーよりはサマにはなっているが、なにせいまもってのイメージでも「ホタテのロックンロール」のホタテマンだけに、その印象がことさら強い1985年当時はどうだったのであろうか?、劇中の歌唱シーンも自身のヴォーカルでこなしているけれど、すべて「ホタテのロックンロール」にしか聞こえてこない喜劇、いや悲劇だ。それでも小宮をベッドに緊縛してレイプまがいに強引に自分のモノにしようとするシーンは暴虐なイメージ通りでなかなか良い。が、小宮には「仕事選べよ!」と言いたくなってくる。

小宮はホタテマンの求愛を嫌がるものの、対照的にかつて恋人同士だった三浦との回想の中ではベッドシーンが出て来てしまう(どうも三浦のベッドシーンというと、「さよらなジュピター」の無重力セックスを想起させてしまうな)。小宮の回想シーンはこの後も出てくるが、やはりこのベッドシーン。セックスしか頭にない淫乱女なのであろうか。まあ、それはいい。


さて、刑事ドラマとはなにか?


常に「スーパーポリス」はこの疑問に寄り添う作品だ。普通の刑事ドラマの枠を超越しているから、タイトルからして“スーパー”が付いた「スーパーポリス」なのであろうが、どうも土台としてのその刑事ドラマの部分がないように感じる。特にこの第3話は。


まず、タンバだ。深夜ラジオ番組の生放送中に起こった事件に、いつもは部下に優しいタンバでも、眠っているところを叩き起こされたからには、さすがに怒り心頭で言葉遣いがいつにも増して荒い。タンバの片腕のデンカはやさしく諭すが、タンバは自分で編成したのにスーパーポリスのことを“あの連中”呼ばわりしてしまう。可哀想な“あの連中”は、警視庁の本庁舎には出入りできずに別段隠す必要がないのに空き店舗のアスレチックジムに隔離され、いまだ警察手帳も持たされていない。


それから、小宮のイヤミなマネージャーの田島真吾。小宮のかつての恋人だった三浦に“上から目線”で助け求めて、前金50万円(プラス後金でさらに50万円)払って仕事としてバスターズから小宮を救い出すよう依頼する。そして、田島は三浦のことを「金のために動いただけ」と罵ったが、三浦は一応は警察官であり、金に困っている様子がないので、このプロットが全くといっていいほど活きてない。三浦が民間の探偵稼業であり、当座の金を必要としている描写の一つでもあれば、それが活きたのであろうが・・・。


今回の話は、三浦が降ってきた難関に金のためでも愛のためでもなく、かつての自分の苦い思い出にケリをつけるべく行動し、いま三浦に興味持ち始めたかとうかずこがそれでも惹かれていく図式与えたかったのだろうが、どうも上手くいっていない。


クライマックスは、三浦とホタテマンがお互いに鉄パイプを握っての1対1の決闘。激しい殴り合いの末、さらに泥水まみれになりながらも三浦が辛勝する。三浦と小宮が避難した場所にホタテマンが部下の集団を引き連れて来ておいて「1対1で決闘だ!」と言ったときにはどうしたものか?と思ったが、決闘に敗れたホタテマンは復讐にイキりだった部下たちを制して潔く立ち去る。が、スーパーポリスたちもスーパーポリスたちで、拉致誘拐した上、犯行場所のラジオ局のスタジオまで破壊し、工場の廃屋ではいくら足手まといの役立たずとはいえ、卯木浩二の脚を銃で撃ち抜いた凶悪事件の犯人たちをそのまま見送ってしまう。

「刑事ドラマ」とはなにか?