ゲストは、小野みゆきにスパイダーマンこと藤堂新二、それから「Gメン'75」&「Gメン'82」ファンにはおなじみの西田健に中田譲治と申し分ないキャスティング。


米軍の列車強盗のアクションシーンから始まる。見窄らしい姿のスパイダーマンと中田譲治は、手引きした米軍MPを当然のように裏切って刺殺。積み荷の大金と金塊を奪う。その5年後、NY在住のロック歌手、SHOJIとなったスパイダーマンと彼のマネージャーとなった中田譲治は列車強盗でせしめた3000万円の金を元手に成功していた。しかし、手引きした米軍MPの娘、小野みゆきは日本から国際電話を掛けて脅してきた。帰国したスパイダーマンと中田譲治は、小野みゆきを捜して返り討ちにしようと計画企てるが、なぜか標的とされたのは、スーパーポリスにまとわりつくTVレポーターのかとうかずこだった。じつは、取引のための顔判別に小野みゆきから送られてきた彼女の写真は、かとうのだったのだ。小野みゆきと彼女の悪事に荷担するカメラマンの西田健は、かとうかずこを罠に掛けて標的の替え玉にしたのだった。かとうは狙われてると判っていてもレポーター魂で引き下がらなかった。危険承知でさらなる罠に飛び込んで特ダネをモノにしようとした。そしてスーパーポリスたちは、かとうを援護すべく動くが、神出鬼没のスパイダーマンと中田譲治、狡猾な小野みゆきと西田健の双方の陣営に翻弄されてしまう・・・。


第1話は比較的単純な話だっただけに、この第2話では展開としては二重三重になっていて面白い。


しかし、だ。そこは稀代の「スーパーポリス」


1985年当時はヘヴィメタが大ブームだったからか、ロック歌手にふんしたスパイダーマンは、ピンクにカラーリングしたウェービーなロン毛なびかせ、胸元をフルオープンにしたシャツというデイヴィッド・リー・ロスな出で立ち。また、マネージャーの中田譲治もヒョウ柄のジャケットに金ピカアクセサリーで着飾る成金業界人ファッションで、よくいままで「映画秘宝」で取り上げられなかったのか不思議なくらいのキワモノなコスプレで登場。さらに、スパイダーマンは父親が猟師だったから自分もライフルの腕に長けているという、「大追跡」第9話『現金輸送車強奪』で福本清三が元・大学射撃部所属だった警備員という取って付けた設定くらいのご都合主義。しかも、こっちのほうの設定が大事だったようで、帰国して成田空港で芸能記者に囲まれた以降は、ロック歌手としての設定を活かした場面はまったく出てこない。奇抜なヘヴィメタ・コスプレ親父がライフルを振り回しているだけだった。


一方、米軍MPの娘ということでハーフ設定らしく小野みゆきのキャスティングはグッド!、さすがは何人ものハーフ女優を「Gメン'75」に起用した近藤照男プロデューサーだ。見る目が違う。


しかし、だ。そこは稀代の「スーパーポリス」


その小野と主演・三浦友和による格闘シーンがあるのだが、二人の組み合わせはそう・・・、「さよならジュピター」での敵対関係そのまんま。ふたりは22世紀の木星でも戦っている。まるで「ハイランダー」みたいだ。ちなみに、翌々月の6月6日に「さよならジュピター」はフジテレビの「木曜ファミリーワイド」枠にてオンエアして、打ち切りに向かう「スーパーポリス」による三浦の胸の傷を無慈悲にもひろげた。


そして、今回の物語のキーマンは、かとうかずこに近づいて罠を掛ける西田健。カメラマンではあるが、その正体は暴力団の息が掛かった結婚詐欺師というクズ男。怪しいんだけど色男、色男なんだけど怪しい奴を演じられるのは西田健ならでは。


しかし、だ。そこは稀代の「スーパーポリス」


設定としては、西田健の結婚詐欺師、そして女心まで裸に出来るカメラマンの妖しいテクニックを使った誘惑にかとうかずこは罠と知りつつものる、という大人の駆け引きを作りたかったのだろうが、西田健のやっていることは、嫌がるかとうにまとわりついてカメラ連写したり、かとうを部屋に招けば壁一面にかとうの写真だらけで気味悪がらせ、さらにはかとうの顔と他の女性のヌード写真をアイコラさせて等身大パネルにして見せつけるというストーカー行為しか出てこない。制作スタッフ側は、怪しいと妖しいを混同していたに違いない。本来、こういう助こまし役はブレイク前だった石田純一とか奥田瑛二あたりがやるべきだったのに、テレホンセックス魔の西田健にそのまんまの演技でやらせてしまったから活きてこない。


稀代の「スーパーポリス」のミスキャスティングに、明後日の方向を向いた設定。当然、それはレギュラーにも言える。


おっと、ウガンダのことは前回のブログで書いたな。じゃあ、スーパーポリスの若手トリオだ。山下規介、卯木浩二、森永奈緒美は、警察学校をクビになった落ちこぼれなのだが、運動神経と熱い心は人一倍ある設定で、部下に優しいタンバに拾われる。しかし、第1話に続き、無駄なスタントシーン以外は活躍は皆無。第2話の終盤、箱根でのスパイダーマン&中田譲治、小野みゆき&西田健、スーパーポリスの三つ巴による緊迫の対決の中で、彼らは睡眠薬を盛られて眠らされてしまって参加しない。はやくもお荷物となっている。


ジェームス三木の息子の山下規介はコネ、JACの卯木と森永はアクションシーン導入のバーターに入っているに過ぎないのだ。だけど、森永は注目株だったはず。前月まで一年にわたって放送していた特撮ドラマ「宇宙刑事 シャイダー」でブレイクしたのに、「スーパーポリス」でそのキャリアを見事にポシャらせてしまった。起用方法もあるだろうが、森永もまたやる気を感じさせないのが悪い。かとうかずこがテレホンセックス魔の西田健の口車にのせられて(のせられたフリをして)、「すわヌード撮影に入るか!?」というシーンで服脱いでノースリーブ&太ももまるだしの下着姿さらけ出した体当たり演技しているのに、格下の森永は第1・2話ともに「シャイダー」で注目の的となったミニスカ&ブーツのスタイルではなく、御足をすっぽりと隠した露出度ゼロのロングパンツスタイル。これでは、視聴者はなびかない。


残り13話、短くも長い「スーパーポリス」の旅路はまだ始まったばかりなのに、どうなることやら・・・