ハウスメーカー
「奥さん、恵まれてますよ。
みんな土地を買うにも
苦労してローンを返していかなきゃ
いけないんですよ。」
…わかってる。わかってるわ。
家を建てるのも土地を買うのも
何千万とお金がかかるのは。
ただね、
"敷地内同居=恵まれてる"なんて
手放しに喜べない。
土地代と引き換えに
"恵まれた私"とやらは
何かを失うのでしょ?
そんな事は、
調子の良いハウスメーカーの営業マンも
立派なパンフレットも
一言も触れてはくれない。
ハウスメーカー
「2階の子供部屋は
2つぐらいとお考えですかね?」
ウサ夫
「まあ、そうですね。」
…そうなんだ。
旦那は子供部屋は2つと考えてるんだね。
じゃあ、今日は排卵のタイミングですので
宜しくお願いしますよ。
私はその為に
敷地内同居に繋がりうる
ハウスメーカーまで見学に来てるのですから。
鉄筋?断熱材?
そんなの興味が湧きません。
私はただ、
ただ未来の赤ちゃんを抱く為に
旦那の機嫌を取りに
ハウスメーカーを見学しているだけだから。
その日の夜。
ウサ夫
「今日は疲れた。
3件しかハウスメーカーを見れなかったね。」
カメコ
「一件一件が長かったね。
サラッと見学させては
くれなかったもんね。」
ウサ夫
「このパンフレットの量も凄いね。」
カメコ
「今度の資源ゴミの日に出すわ。」
ウサ夫
「…うん…まあ
A社とC社のは一応取っとけば?」
カメコ
「……わかった。
それより、今日はタイミングの日だから
お酒飲みすぎないでよ?
眠くなるよ?」
ウサ夫
「大丈夫だってw」
大丈夫じゃないだろ、
既に何本飲んでるんだよ。
ウサ夫の言った「大丈夫だって」というその言葉。
1時間後に「嘘」となる。
ウサ夫
「グォー
」
………………。
カメコ
「……ねえ、起きて。
ねえってば!!」
ウサ夫
「……んぉ?………何?」
カメコ
「何?じゃないよ。
今日はタイミングの日でしょ?」
ウサ夫
「……あー。
今日は…疲れて眠いから、ちょっと無理。」
カメコ
「は?
ちょっと無理、じゃねーよ。
前から言ってあっただろーが!!」
ウサ夫
「そうだけど、眠い。
今日はハウスメーカーにも行って疲れたし…」
カメコ
「いやいや、私だって疲れてるよ。
でも月に一度しかタイミングがないんだよ?」
ウサ夫
「…明日にしよ。」
カメコ
「ふざけんなよ」
ウサ夫
「それに、こんな雰囲気じゃ無理。」
カメコ
「はぁああ?
雰囲気なんてどうでもいいわ!!
この嘘つきがぁぁぁ!!
もう寝れば?起きてても意味ないし!!」
なんでよ、なんでだよ!!
昼間はウサ夫の機嫌を取りに
ハウスメーカーに見学に行ったじゃない。
今度は私の望みを叶える番じゃないの?
私が花だったら
ミツバチが運んできてくれるのに…。