将棋を始めたのは2022年の11月からだ。民宿じゃないけど民宿みたいなのを始め最初にやってきたM君が将棋に興味を持ったのをきっかけに家族一同で始めた。皆夢中だった。公文の将棋は駒に動き方が書いてあるので覚えの悪い私でも遊べた。皆ハマった。なのに、今なおハマり続けて将棋ウオーズを旅行で宿を探すのに夜更かしをしていた時以外ほぼ毎日欠かさずやっているのは私だけである。

将棋、恐るべし、私を気狂いピエロにしたな。

将棋ウオーズは一日3回まで無料で一般の人と対戦できる。3回というのが少なくて、何度有料のボタンを押したいと思ったことか。。。でも、それはなんとか耐えた。今私は以前長男がやっていたipadの3回と私の携帯の3回、軽6回将棋ウオーズを毎日やっている。土日朝のみバイトしてるのだが、仕事終わった後の将棋ウオーズは至福の時間だ。子供達が自分らで遊んでくれてる時は、だが。でもたまに将棋ウオーズをやっている最中に子供らに声をかけられたときの私は冷たい。「今、戦ってる!後で!」とか「今真剣に頑張ってる!自分でなんとかして!」とか、あまり良い母とは言えない言動だ。いつも幼稚園では自分で座ってトイレしている次男が、なぜか家だと私に座らせておズボン脱がせて欲しい時があり、それと将棋ウオーズが重なった時は「幼稚園でやってるでしょ!ママ、戦ってるの!」と言うが、うえーん、と泣くもんだから、ものすごい急いでズボン脱がせてトイレに座らせる。

 

長男がipadで将棋ウオーズをしなくなったから私がするようになったんだけど、たまに将棋ウオーズをしようとして私がすでに3回使い果たしてるものだから「おい、やったな?」と言ってくる。長男がやりたいアピールをしてきて、一時しなかったけど、結局しないってことがあって、結局私がやっている。最初は我慢した。1回分だけ・・・。翌日は、2回分だけ・・・となり、3日目は堂々と3回分私がやっていた。やらないほうが悪い!

 

私は主に、というか1個しか攻めの方法を知らなくて、原始棒銀というやり方しかしない。自分がよくやる手法が対戦相手が決まると名前の下に出てくる。対戦相手のよく使う手法も出てくるが、見ても分からない。私が知ってるのは原始棒銀だけ。知ってるって言っても、飛を前に進めるだけの技で、銀を使った技をしようものなら何がダメなのか自分の銀を取られてしまう。

 

戦い、何回も続けて勝つと級が上がっていく。最近私は5級になった。6級まではスムーズだったが、5級にいくのは結構な時がかかった。だから5級に昇給したときは嬉しかった。5級が目前になった時、めちゃくちゃ自分が強くなった感じがしたときがあった。その時は、自分が攻め入る道みたいなのが見えた。相手の穴を見つけてそこに攻め入る、というか。その時はめちゃくちゃ勝ってたし、その時の満足感って言ったらたまんない。が一時のことだった。すぐに見えていた道は見えなくなり、自分が穴の中に落ちたように負けが続いた。あの時見えていたものは幻だったのか?という感じだ。

 

将棋をやっているとき、私は物凄いエクスタシーを感じる。勝った時なんかデーモン小暮なみに高笑いをし、「お前の負けだ!うへへへへへへ!」って感じで笑う。負けた時は物凄く悔しがる。泣き真似する程本当に悔しいのだ。そのまんま顔に出す。芸人の悔しいです!て人の顔。息子らの前では普通にその姿見せられるけど、その他の人の前では絶対見せられない顔。一人の時は遠慮なくやっている。他に趣味が2つあるんだけど、将棋に夢中になってついついそっちが疎かになってしまうことがあるくらい。

 

今まで対戦した相手で今でも非常に思い出として残っている人らがいる。1人目は、私を素っ裸にして虐めてきた男だ。私の王様一人だけ残して、後の者は全員奪っていった。王様一人になって、王を倒せる場面はいくつもあった。でもジメジメとイヤらしく追い詰めてくるのだ。この変態め!!屈辱的な負けだった。私が意地でも投了ボタンを押さない人間だからだろう、本当に厭らしい男だった。

次に忘れられないのは華麗なる女王だった。たった3分で私は彼女に敗退した。彼女の勝敗は素晴らしい。千何回と勝利し、十数回敗退だった。潔い美しい手捌きで負けて悔いなしの見事なものだった。むしろ本物の女王と戦えて光栄だ。

 

さて、投了ボタンとは、負けていないけれど、負けを自分で途中で認めて負けましたって言うやつだ。私は一度も押したことがない。これは私の自慢だ。負けだろうと分かっても、絶対押さない。敗北を全身で受け止めたい、それが負けを受け入れることだと思っている、とでも言うのかな?

そんで、長年将棋ウオーズをやってきて気づいたことがある。投了を押す人間は弱い。負けの数が勝ち以上にかなり多い。ということ。

 

負けだ、投了!って押す人間より、負けそう、どうしたらいいんだろう?って考える人間のほうが、強くなるんではないかなと思ってる。

 

あと私が将棋ウォーズやりたての新人ホヤホヤだった頃、よく打ちミスをした。打つ場所間違えることは少なかったが、相手の駒を見てなくて打ったら大事な飛や角を取られること。そしたらベテランさんらで多かったのは、わざと飛や角を私が取りやすい場所に置いて取らせてくれた。

え?間違えたのかな?と最初思ってたけど違う。あれは正々堂々というかなんていうか、優しさとも違う、なんというか、言葉が分からないけど、神様みたいな感じだ。

私はその駒を有り難く頂戴して正気を取り戻して戦い出す。しかし、そういう相手には100パー負けた。でも、気分が良かった。

 

今私は永遠の二十歳だけれど、もしも小学生の時に将棋に出会っていたら、どうなっていただろう?恐らく将棋にドはまりしていただろう。そんな人生をもし自分が送っていたら、どんな人達と出会っていただろう。と考えるとキリがない。

将棋は奥深い。私をここまでのめり込ませるとは、お主なかなかやるのぅ。

夫には最初負けていた。でも、勝つようになっていった。夫は家族のために頑張って働いてくれてる。夫が働いている間も私は将棋の腕を上げる練習をしているのだから当然かもしれない。だがまぁ、いつか年取った時、二人で将棋をさせたらなぁと思っている。

でも夫は私に負け続けたら将棋をやめるかもしれない。と今ふと思った。