かつての対戦相手と
以前にも書きましたが、「ロッキー3」のアポロ・クリード(カール・ウェザース)は、とにかく、カッコ良いです。
かつて、自分からベルトを奪った男に手を差し伸べ、(自分の)全てを伝え、勝たせたのだから、並大抵の度量ではない。
アポロとロッキーの関係とは少し違いますが、自分の仲間であるプロボクサー、キックボクサー、総合格闘家の中には、かつての対戦相手のところへ出向き、スパーリングなどの練習を一緒に行っている選手が多いです。
自分は、彼らのことを、心から尊敬しています。
「尊敬」という言葉を安易に使うべきではないし、ありきたりだとも思うけれど、本当にそうなのだから、やはり、使うしかない。
なぜ、尊敬できるかというと、みんなは、自分に勝った選手、つまり、自分を負かした選手との練習を志願し、出稽古に行っているからです。
自分に勝った選手なのだから、他の誰よりも自分自身の弱点を知っている。
なので、共に練習(スパーリング)をし、アドバイスを受けるのは、自身の競技力のレベルアップに関して、非常に効果的で貴重な経験であることには間違いない。
しかし、自分に勝った選手との練習なのだ。これは、本当に凄いことだと思う。
思えば、現役時代の私は、かつて対戦した選手、自分に勝った選手とのスパーリングを望むどころか、意識的に避けていたものだ。
プライドとも言えない、小さな小さな感情が邪魔をしていた。
自分を成長させるための経験を放棄していた。
だから、今の自分は、かつての対戦相手のところに出向いて練習をしている仲間達の姿を見ると、「ああ、やっぱり、現役時代の俺は意識が低く、努力が足りなかったんだな」と思えて、なんだか、清々しい気持ちになります。
不思議なことに、「悔しい」という感情は、0.5%くらいしかありません。
それより、「俺は、俺の仲間のように、努力していなかったのだ」ということを確認できて、心が整うのです。
これは、自分の引退後に得ることができた、貴重な感覚です。
