タネがない!

うっかりしていると、あたりまえに思っていたことがあたりまえでなくなっている。そんな、しかも愕然とするはなしがよくある。

野菜のタネがそうだ。

畑で大根ができる。その大根から取ったタネで、また大根をつくる。その繰り返しがあたりまえと誰しも思っている。いまやそんなことは99%ない。限りなく100%ない。

農家にとって手間のかかるタネ取り(自家採取)作業は、雑草取り同様、とうの昔に止めている。タネは毎年買うのがあたりまえになっている。昔からいろいろなタネを作って販売する種苗会社が全国にあり、地元の名称がついている在来種野菜もたくさんあるのだから、かつてタネを買うことと自家採取は好い具合いで両立していた。事実、昭和30年代(195060年代)頃までは生産・販売されていたほとんどが固定種(タネを取りながら地元で生産される地元特有の野菜)の野菜だった。たとえば大根なら練馬大根、三浦大根、桜島大根、聖護院大根、亀戸大根、守口大根などの名前はご存知だろう。地名が付いているような種類がそうである。

今のタネは、自家採取して翌年栽培しても奇形しか育たないように操作されているF(一代雑種)だから毎年買うしかない。しかもタネのほとんどが海外からの輸入。昨今の家庭菜園ブームで、ホームセンターに行くとラックに種類豊富に並んでいるが、袋の裏を見るとすぐわかる。生産地のほとんどがチリ、中国、イスラエル、アメリカなどとなっている。国産はほとんどない。三浦大根のタネといっても生産地はイスラエルであったりする。

この現実をどう受け止め、どう対応すればいいのだろうか?

私の結論は“プランターでいいから、みんなが家で野菜を育てることからまずはじめる”である。