5月から営業活動が始まり、1ヶ月経ったが相変わらず低空飛行だ。
公務員ですごいお世話になって可愛がってもらえてると思ってた先輩や、いつも仲良くやっていた同僚に声を掛けるが既読スルー、今忙しいから落ち着いたら連絡する、など話しさえ聞いてもらえない日々が続く。
自分という人間の前に、保険屋というフィルターがついただけで、人から一気に避けられるようになり、実はもともと慕われてなかったんじゃないかという錯覚に陥り、自信が失われていく。
そんなとき、ふと、自分自身、公務員をしていたときのことを思い出す。
昼休憩になるといつも廊下で待ちぶせしている保険レディーさんたち、目を合わさないように前を通り過ぎる。
それでも勇気を振り絞って話しかけてくる保険レディーさんがいれば、少しだけ話を聞いてあげるようにしていた。
しかし、もともと入る気もない保険の話を聞いたり、今加入している保険の証券を持ってこさせられたり、はっきり言って手間でしかない。
時間が奪われる。
この奪われるという感覚がどこかにある時点で、誰も保険屋さんの話なんて聞きたくないだろうと思った。
これが、公務員が、保険屋さんに抱く強いイメージな気がした。
奪うものから与えるものになれないと、誰も話を聞きたいとは思わない。
自分が、お客様に与えられるのものは何なのか。
保険屋始めてたかだか2、3か月の自分では、保険の契約をお預かりできるぐらいのインパクトのある、何かを与えられるわけがない。
いくら探しても何かはすぐには見つかるはずもなく。
そんな自分探しをしてる暇もないぐらい、上からはケツを叩かれる。
今自分がやっていることは何なのか。
まだ相手から奪うことしかしていない。
良いことになるはずもないが、何とか動くしかない。
さて、いつまで持つんだろうか、自分の精神は。