体の震えが止まらない。
頭の中は真っ白。とどめも泣く涙があふれるしくしく
「夢であってくれ」心の中で叫び続けた。
船はしばらく停船していたが、やがて何事もなかったかのように函館に向かった。


船は函館港に着いたが僕の心は晴れない。
波間に浮き沈みする女性の姿が脳裏から離れないのだ。

「僕がもっと話し相手をしていたら引き止めることができたかも知れない」
札幌に向かう列車の中でそんなことばかり考えていた。

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僕はその女性としばらく会話をしたが、話の内容は覚えていない。

しゃべるのは僕のほうで、彼女はあまり話しかけてこなかったように思う。


しばらく話をして、僕は船室に戻ってテレビを見ていた。

突然、船内にアナウンスが響いた。
「緊急事態により停船します」
左舷が騒がしい。僕は船室を飛び出した。


そこには なんとつい先ほどまで僕と話をしていた女性が流されているではないか。
ブルーのワンピースが浮き沈みしながら意外なスピードで流されていった。
すぐに甲板から赤い大きな浮き輪の形をしたブイが投げこまれたが、

女性は波間に消えてしまった。


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現在は本州と北海道は海底トンネルで結ばれているが、当時はフェリーが就航していた。


昨夜の夜行列車でほとんど寝ていない僕らは客室に入り横になった。

数分も経たずにN君はいびきをかいている。


僕は寝られないので船尾に出た。

2つに分かれた白く波打つ航跡を飽きもせず見つめていた。
数羽のかもめが船を追いかけている。

ふと隣を見るとブルーのワンピースに白い水玉模様の女性が立っていた。
歳は20歳台だろう。

袖からでた真っ白な腕が印象的だった。


まさかこの後、事故が起こるとは・・・叫び


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僕には忘れることのできない旅の思い出がある。

あれはまだ青函連絡船が航行している頃だからずいぶん前のことだ。

今の若い人は「青函連絡船・・・?知らん」というだろうが( ´(ェ)`)


僕は後輩のN君と北海道旅行に出発した。

お盆の時期で記録的な暑さが続いていたのを覚えている。

「旅行」と言えば聞こえがいいが、入社して2,3年のこと、遊びに夢中で貯金などあるはずもない。

背中にリュックを背負ってのケチケチ旅だ。


東京を出た夜行列車はすし詰めだった。

通路もデッキも人、人、人。

僕らは通路に新聞紙を敷いて横になったが、とても寝られたもんじゃない。


夜が白々と明ける頃、列車は青森駅に着いた。

不眠で頭がボーとしている。

フラフラした足取りで連絡線に乗り込んだ。


船は静かに岸壁を離れた。

紺碧の津軽海峡は穏やかだった。

船はすべるようにして、一路函館を目指して進んでいた。


そのときだった。事件が起きたのは・・・・・