今日はお天気だったから引っ越す前まで近所だった台湾料理店まで久々に自転車をこいで行ってきた。
行きはよかった。あれ食おう、どの道で行こうと考える楽しみも多い。そして、とても一度には腹に収まりそうもない量を無理やり詰め込んでうんうんと呻りながらそこに幸福を見出す。…変か、私は。
そこまではよい。
そして重い腹を引きづりながら、えっちらおっちら片道2キロ近くを帰ってきたのも大した苦痛ではかった。
ただ、どうやら家の鍵をどこかに落とし忘れてきたようだった。
仕方がないから自転車でぐにゃりぐにゃりと寄り道してきたその跡を必死に思い起こしつつ探し回った。
このときの私の服装は、全身が黒のジャージ。ボサボサ頭が目を皿にしてキョロキョロしている光景は傍目に不審人物に映ること請け合いだろう。
そうこうしている内に件の台湾料理店まで着く。
店の人間に落し物がないか聞こうと思った。
だが相手は台湾人。ほとんど日本語が通じず、注文も片言にジェスチャーを交えて何とるのが常らしい。
その、台湾人に上記の旨を聞かなくてはならない。
さあ困った。
筆談を考えた。一応、筆記具は幸いにして持っていた。
とりあえず英語
相手がついさっきの客を記憶していることを期待して書く
I have lost my home key somewhere ,and I am looking foward to it.
Did you see one like that?
多分アジア人同士なら大丈夫だろう。
だが、もし英語でどうにもならなかったら?
ここは台湾人なら漢字か
我 失 家 鍵
我 欲 探 鍵 此 処
下手な鉄砲数打ちゃあたる
もう一丁
我 忘 鍵
君 知 乎?
漢文をまともにやっていなかった自分を恨んだ。
これ以上は私の頭からは無理と判断した。
意を決して店に突入しようとしたその時
漫画か、もしくは神の仕業か店員がちょうど出てきた。
今 だ !
すかさず話しかける。
その瞬間になって、そもそも日本に店を出していることを思い出した。
実に根本的な話だ。土地や食材の取引は日本語に違いない。そうだ、ここは日本だ!!
すいませーん!日本語で大丈夫ですか!?
変な顔をされた。やはり通じなかった。
だが神は私を見捨てなかった。日本語、の単語に反応したのかウェイトレスのおばさんは代わりに日本語のできる人をよんでくれた。ただし、小学生の。
これ幸いと日本語で聞く。
この時点ですでに泣きそうだったが耐えた。
私:~で、鍵ありませんでしたか?
英語よりも中国語よりもまず、その日本語をどうにかしろと言われそうな敬語で尋ねる
小学生:すいません、ないんです!!!(原文ママ)
少し店に入ってほんの数秒で出て来て答えられたのがこれだった
あたかもご飯にシチューをかけてごま塩を振ったやつを台湾風にして出せとでも私が注文したかのような口ぶりだった。
絶対に被害妄想であることは、今なら分かる。
どうしようもなくなって家まで例の如くきょろきょろきょろきょろきょろきょろきょろきょろしながら帰ってきて、姉に家の戸をあけてもらって家に入り、もう一度鞄の中を落ち着いて確認したら、私の知らない鞄のポケットに入っていることを、マザーに指摘された。
わりとどうでもよいが、漢字を教わりたての頃、なるべく漢字を使えといわれたのを忠実に守り「ドア」と書くところを「戸ア」と書いて盛大に笑われたのを思い出した。
ただその台湾料理店はとてもおいしく、異国情緒が漂う素敵な店であることは付け加えておきたい。