振り返ればゴアゴア、いよいよすぐ後ろまでやってまいりました。すっかり振りゴアと呼ばれ、関係者からはあることないこと書くのはやめてくれと柔らかめのクレームをいただいております。
っていっても『ステイ・ヤングとか言われても』。まだ4か月前の公演なのです。4か月!?演劇人はみんなそうだと思うけど、もう1年半くらい前の公演の気がする。いやホントに。その節はお世話になりました。
ゴアゴア13回目の公演も前回と同じ下北沢シアター711。劇場主の亀山さんと話して空いてるからって言っていつもより1日多く借りた。公演回数は11回。たぶんゴアゴアでは一番多いのかな。
いやすでに懐かしいけども。今回も佐藤政住さんにチラシを頼んで。余談だけど、演劇の場合チラシという人が多いけど、たまにフライヤーという人もいて。年配の演劇人にフライヤーっていうと「チラシな」って訂正されるので気をつけてくださいね。正直どっちでもいいです。
この公演は自分の中ではやはり忘れてはいけない公演だ。まずなかなか物語の軸が定まらなかった。いやいやゴアゴアに物語もくそもないだろと思われるかもしれませんが、一応あるんです。自分の中では。そしてまあ諸事情としておくけど役者の降板があった。やっと自分の中でこれでいけると思った時の降板だった。まあ責任は自分にあるからどうにもできなかったけども。急遽代役で久保雄司に入ってもらった。借りができちゃったよホント。こんな最近なのにこのあたりの記憶はほとんどない。久保になんて伝えたか、その後どうやって書いたのか。たぶん必死だったんだろう。
劇作家あるあるとして、書けない作家が主人公というのがある。実際書けない時に使うまあ禁じ手みたいなもんなんだけど。自分なんかも芝居見に行ってこのパターンだともう見る気をなくす。手あかがつきすぎてて展開も知れてる。若手の劇団の2作目とか3作目とかにこの「書けない主人公」だとお前もうやめろよって思っちゃう。まあ遅かれ早かれやめるんだろうけど。これだけ言っておいて『ステイ・ヤングとか言われても』は書けない主人公パターンでやらさせていただきました。
正確には先生と呼ばれるほどの川柳家が年齢を感じて川柳が17文字にまとまらなくなるという話。そこで共同生活をしている弟子たちがそれをなんとかしようとするところに、かつての師匠のライバルでゲスい川柳を吐きすぎて共同生活を追い出された人間が戻ってくる、、、というあらすじ。構成はものすごいベタなはずなのになあ。
実際自分が昔から趣味で川柳を書いてたから丸々劇中でもその川柳を使ったんだけど、なんかすごいパクッテる感があって、いや俺のだよなこれという不思議な感じを味わった。そしてそのくだらない川柳を馬鹿みたいに声に出してる役者とそれを受け止めてふっとんでる役者をみてさらに不思議な気分になった。
ちなみに川柳はこちらでよめます。
https://twitter.com/daisukisenryu
これは稽古の初期の段階だったんだけど、先生役のJPはなぜか一人勝手に着物で稽古しててそれが目に焼き付きすぎてそのまま本番もそれでいった。当初着物の案は自分にはなかったし、着物の必要も別になかった。はずなのに。見に来てくださったお客さんには説明したけど、「川柳を詠む」というのは正確な言い方じゃないっていうのをこの時初めて知った。「俳句を詠む」はOKでも「川柳を詠む」はNG。川柳は「吐く」とか「ものす」とか。稽古終盤でそれが発覚して、みんな台本の「詠む」を全部「吐く」にかえて覚えなおしてホント大変だったんですよ。みんなとか言ってるけど自分は全然大変じゃなかったです。役者だけで。ごめんね。
2回目のシアター711で。代役で台本の進みや改訂もあってかなりタイトなスケジュールになった。以前も書いたけど「小屋入り」の日。この日に舞台を仕込んでみんなで準備するんだけど、それをまるまるスタッフさんにまかせて、役者と稽古場をとって稽古した。まあこの時「明日初日」という状況。とにかく自分が納得いくまでやらせてもらった。
みんなで劇場から電車にのって稽古場に行って。大雨にふられてさ。もうみんなボロボロだったと思うけどよくやってくれたよな。っていうかやらなきゃケガするのは舞台上の役者なんだもんな。そしてさらに劇場に戻って稽古。
自分が舞台に上がってやることってほとんど記憶にない。がっつり稽古してるんだけど、ものすごくくだらないシーンっていうのがまた。本当に粘った記憶しかない。ただ幸いなことに『ステイヤングとか言われても』のメンバー。一人を除いてみんな組んだことがあるメンバーだった。これはでかかった。一応脚本演出を信用してくれてるのが伝わったから存分にやらさせてもらった。そしてゲネプロからの初日。
ラストだけどうしても決まらず、最後の1ページがないままだった。最後の1ページ。JP先生のセリフは初日の朝、LINEで送った。こんなことありえないしあっちゃいけないんだけど、そこはゴアゴア最多出演のJPだった。それを必死に覚えて見事、初日、しくじった。いやこれはもう自分のせいだからもちろん攻めなかったけど、久保が「俺だったら絶対とちらなかった」とさりげなく言っていたのは聞き逃してない。
そういう頼もしいメンバーでやった『ステイ・ヤングとか言われても』だった。お客さんが楽しんでくださったらそれが一番だけど、川柳でダメージを受けるって今考えたらどうなの?まあいいか。そういう反省はしないでおこう。しかしこれだけ回数をやっても本当に積み重ならない。準備万全でのぞんだ公演は一度もなかった。もちろん毎回役者さんが違うからというのもあるし、見に来てくださるお客様も違う。なんでなの?まあ台本のせいなんだけどさ。もう100%そうなんだけど。今年はちゃんと「脚本がうまくなる本」を読んで勉強しよう。さあ次はどんなのやろうかな。ゴアゴアの14回目の公演。あがってきた。大事なのはいつだってテンションだよな。
【お客様のご感想一部です】
https://stage.corich.jp/stage/93218/done
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GORE GORE GIRLS vol.13
『ステイ・ヤングとか言われても』
作・演出 西山雅之
2018年9月11日~17日
@下北沢シアター711
【キャスト】
宇佐見未奈
岡山昌義
木立雄大
柴田順平
久保雄司
ニシハラフミコ
山岡よしき
【スタッフ】
舞台監督:浅見雄介
照明:小坂章人
音響:篠原葵
宣伝美術:佐藤政住
撮影:二宮ユーキ
制作:可徳梨沙
『ステイ・ヤングとか言われても』ダイジェスト
撮影・編集 二宮ユーキ
「俺たちが吐くのは共感じゃない。衝撃だ。衝動だ。」