DJになり損ねたぼくと、ORIGINAL LOVEの帰還 | 38度線の北側でのできごと

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 る地方の学校の放送部が、麻原彰晃の「尊師マーチ」をかけて問題となったらしい。死刑になって1年以上たつけれどこうして麻原彰晃は生き続け、たぶんこれからも時々陽炎のように揺らめき現れるのだろう。

 

 そういえばぼくも元放送部だったことを思い出した。といっても、1週間に一度昼休みに弁当食べながら埃っぽい放送室で音楽を適当にかけるのが部活の全てだった。顧問はともかく地味な男性で白衣を着ていたことしか覚えていない。

 

 極めれば放送部の全国大会もあったと知ったのは卒業してからで、県下有数の進学校を名乗るに恥じぬ部活動への力の入れなさぶりには驚嘆した。

 

 今なら何をかけよう。

 

 電気グルーヴ。チャゲアスもいいな。何かスキャンダルがある度に店頭から消える音楽たちを特集するのもいい。

 

 当時はCD全盛期で、1枚3千円の負担は大きかった。ネット全盛の今ならやれることはいっぱいだ。森達也の「放送禁止歌」を参考文献にガンガン攻めたい。

 

 ある日は「任侠一筋」を聞きながらアウトローについて考えてみる昼休み。

 

 宗教音楽特集もいいな。賛美歌からのコーラン、〆は「威風堂々の歌」。

 

 世界の国歌特集もやりたい。君が代かけてヒステリックになった教師が「この右翼め!」「扉を開けろ!」と叫ぶ中、次にかけるのはインターナショナル。右に左にダッチロール。


 こう考えてみると、DJ気分で何でもやれたのだ。いや、DJではなくアジテーターだな。青春をやり損ねた感がいっぱいだ。まことに残念でしょうがない。もし、今タイムマシンであの時代にスマホと共に戻れるのなら。

 

 校長室なり職員室で教師たちに怒鳴られながら、ぼくはひとこと呟きたい。

「表現の自由って、いったん何なんですかね」と。

 

  若さには経験と知識と視野が足りない。いつも通り過ぎてから「ああすればよかった」と気づくのだ。いつも通過してから気づくのだ。

 

 今、かけたい曲はこれ。北朝鮮の音楽ではない。もしかして帰ってきたのか?田島貴男とORIGINAL LOVE。それならおかえり。

 ゼロセット(ORIGINAL LOVE)。