業務委託とそれから。 | 38度線の北側でのできごと

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38度線の北側の国でのお話を書きます

 治体の仕事を企業にアウトソーシングするのはもう当たり前のことになった。

 

 公平性を維持するためにその契約は定期的に更新される。同じ企業が取り続けることが出来るわけではない。入札の結果、切り替わることは当たり前にある。

 

 これまで契約を取っていた企業が契約を失った時何が起こるか。

 

 失業とレイムダックである。

 

 入札で負けたからと言って、翌日からすぐに新しい会社に切り替わるわけではない。数か月から1年ほど、契約更新のない見込みのない企業が契約満了までその仕事を担い続けることになる。

 

 働く側のモチベーションは低い。契約終了後には確実に職を失うわけだから(新しい会社に継続雇用されるケースもないわけではない)、新しい職場探しをしなければならない。そして幸い今の日本は人手不足、売り手市場。転職活動を始めてみたらあっけなく仕事が決まるケースも少なくない。

 

 先がない職場になど愛着はないから躊躇なく辞める。そして優秀な人材から辞めていく。パートだけではない。プロパーも辞めることに躊躇しない。

 

 友人がまさにそんな職場で働いている。ある自治体から業務委託を受けている友人の職場は、来年3月末での業務委託契約終了が決まっている。その職場では委託開始1年数か月の間に既に統括責任者の交代が3回目を迎えたという。統括責任者がころころ変わる。しかも逃げ出すかのように転職し逃げ出した責任者もいるのだという。

 

 自治体からしたらたまったものではない。さらにそのサービスを享受する市民も。友人の職場はパートの奮闘で何とか回しているという。現場の疲弊は濃い。

 

 公平性の維持のために入札は必要だが、極端な自治体業務のアウトソーシング偏重は何を生むか。サービスの低下である。

 

 レイムダックが現在進行形なわけだ。

 

 市民オンブズマンは、こういうところを叩いてみると面白いと思う。業務委託で更新がなくなった企業のぬるい仕事ぶりと、自治体のアウトソーシング偏重をチェックするのは立派な役割だ。