女子アナについて | 38度線の北側でのできごと

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 互いの仕事の領域に、お互い必要以上に踏み入らないのがぼくたち夫婦の不文律で、例えばぼくは妻の職場の飲み会に出たことはない。

 

 逆にぼくも妻を仕事の関係者に紹介することはほとんどない。飲み会の話の接ぎ穂のひとつとして妻の話はするけれど、会わせることはしない。

 

 例外的に、先日ある在日朝鮮人の方とぼくたち一家で食事をした。口を開か無ければ一応美人な妻を見て、その方は興奮気味に話す。「まるで女子アナみたいじゃないの」と。

 

 妻を見ると、にっこりと笑ってはいるがどこか表情がおかしい。心の底から喜んでいるようには到底見えない。もちろん、それはおくびにも出さないのが、妻のぼくよりはるかに社会性の高さがなせる技で、その方も特に妻の表情に気づくことはなかった。

 

 帰り道、妻にその点を問いただすと、やっぱり妻は額面通りそのことばを受け取っていなかった、否、額面通りに受け取ってはいたのだが、ぼくと同じことを想像していた。

 

 果たして女子アナと言われ時妻の頭に浮かんでいたのは彼女、朝鮮中央テレビの李春姫女史のお姿なのであった。朝鮮趣味者の妻も、なかなか大変だ。

 

朝鮮中央テレビの李春姫女史。女子アナ…、ですよね。