マッチをすれば おろしが吹いて
線香がやけに つきにくい
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの吐息のようで
盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰さ 嘆いているか
あなたに あなたに謝りたくて・・・
『ちあき哲也作詞 吾亦紅』
月命日、春彼岸、お盆、正月と欠かさず女房の墓に手を合わせていたが子の三年ほどは
ご無沙汰をしていた。
9月21日、10ヶ月ぶりに菩提寺に訪れ、女房が睡る墓跡に向かい『吾亦紅』の歌詞のように詫びていた。
墓石は陽に映え、若い頃の妻がそうであったように輝いていて長いご無沙汰など関係なく迎えてくれた。
もう10年になる、コロナのせいですっかり足腰が弱くなってしまった、以前は地下鉄根津駅から三浦坂の急な道を上るか、
日暮里駅か上野駅から1.5km強をブラブラ歩いていたのだが、今日はそんな気にはなれず、鶯谷駅からタクシーを
使ってしまった、谷中の急な坂は堪えるが、上野からのコースはほぼ平らな道で、博物館や美術館、芸大があり
歩いていても愉しい道である、これからの季節は散歩には良い道で有り、月に一度は来よう。
地球の夜更けは淋しいよ
そこから私が見えますか
この世にわたしを置いてった
あなたを怨んで呑んでます
『吉田旺作詞 冬隣』
『妻に先立たれた男は、年を経ず後を追う』というが、私の知り合いもそう言う人が多い、
私の場合は、妻を失ってから来年で10年になる、まだあの世へは行きたくない。
そこから私が見えますか
見えたら今すぐすぐにでも
わたしを迎えにきてほしい
『吉田旺作詞 冬隣』
冗談じゃない 俺はまだまだ娑婆に未練一杯だ
汚れきった魂を浄化するには時間がかかる、未だしばらく娑婆の世界を飛び回っているよ。