1969年10月まで、浜大津から近江今津の間を、2両連結の旧い気動車が2時間弱を掛けて『江若鉄道』という鉄道が走っていた。


湖畔に沿って単線の鉄路の上を走るピンクとクリームのツートンカラーの気動車は絵になっていた。
1969年11月1日、満員の乗客を乗せたラストラン列車は浜大津の駅を出て琵琶湖の水面と峰見ね峰々に別れを告げながら近江今津に向かって走っている。
宇治市に赴任してから4年弱、湖水浴、比良登山、スキーでこの鉄路は良く利用していた。


また、ヨットの練習中でも湖岸をのんびり走る姿を眺めていた。
今は『JR湖西線』が近江塩津で北陸本線に繋がり、高架の鉄路を特急『サンダーバード』が疾走する、味気ないものとなってしまっている。
街中、水田・畑地の中、鉄橋を渡り林を抜け、小さなトンネルをいくつか潜る、山を越え水辺に沿って小さな列車がゴトゴト走り、夜、最終近くとなると車掌が次の駅の名を言いながら社内を廻り、下りる人がいないと通過する、と言う長閑な江若鉄道が好きだった。


それでも、夏の湖水浴、冬は比良、マキノ、函館山のスキー客のため長編成の列車や臨時列車の増発で押し寄せた人波を捌いていた。

大津市歴史博物館出版の『江若鉄道の思い出』より

今は国道が拡幅されこの並木も無い


乗り鉄の私、乗ることが楽しいが故に当時の写真は少なく、しかも幾度かの引っ越しにより江若鉄道の写真は
殆ど残っていない、今想うと残念である、大津市歴史博物館出版の『江若鉄道の思い出』をめくりながら当時を思い出している。

 

                           つづく