インターネット経由でデータ管理やソフトウエアの利用を行うクラウド技術を使った医療機関向けサービスを、IT各社が本格化させている。NECや富士通は患者の診療情報を別の病院などからも参照できるサービスを提供。東芝は電子カルテや診断関連の画像などを外部に保存するサービスを今月始める。医療機関の連携や患者情報のバックアップといった東日本大震災で浮上した課題を解消する手段として、普及が進みそうだ。 東芝が提供するサービスはデータ量が比較的小さい電子カルテから、CT(コンピューター断層撮影装置)画像などの大容量データまで対応できるのが特徴。米アマゾン・ドット・コムと組み、データはアマゾンの子会社が日本で運営するデータセンターを利用して保存する。15年に売上高25億円を目指す。 「医療クラウド」は、診療記録などの外部保存を厚生労働省が2010年2月に認めたことで可能になった。画像診断装置の高度化に伴ってデータ量は膨らむ一方、一定期間の保存が必要なため、サーバーの購入など関連費用の増加が病院の経営課題の一つになっている。クラウドシステムを使えば一定の初期費用や利用料などにコストをとどめられるメリットがあるという。 富士通は保有するデータセンターを通じ、地域の中核病院や診療所、介護施設などが持つ診療情報を、患者側の了解を前提に他の医療機関が参照できるサービスを提供。パソコンがあれば、新たなシステムを導入しなくてもインターネットを通じて数多くの医療機関を連携させることが可能で、転院や患者紹介の手続きを効率化できる。 11年に提供を始め、静岡県立病院などが既に採用。12年度末までに中核病院300カ所での導入を目指している。 NECは同様の地域連携サービスに加え、100床未満の小規模病院向けに電子カルテの外部保存サービスを展開。病院側は自前のサーバーを導入しなくても、低コストでカルテを電子化することが可能だ。 政府は患者情報を電子化して共有する「どこでもMy病院」構想を提唱し、かかりつけの病院以外でも過去の記録を基に患者が診療や投薬を受けられる仕組みの基盤作りを進めている。地方での医師不足が深刻化していることもあり、調査会社のシード・プランニングは医療クラウド関連市場は12年の約400億円から、20年には2000億円近くに成長すると予測している。


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