■「関係、うっとうしく」 塩谷町の斜面で旅行用スーツケースの中から女性の遺体が見つかった事件で、殺人罪で起訴された埼玉県桶川市、元会社員、平垣巨幹被告(51)が犯行動機について「会社にも電話をかけられ、関係を続けるのが嫌になり清算したかった」と供述していることが17日、捜査関係者への取材で分かった。殺害現場の東京都内のホテルから直接、遺棄現場に向かったことも判明。強い殺意をもって犯行に及んだ平垣被告の行動が明らかになってきた。(野々山暢) ◆ホテルの一室で 起訴状によると、平垣被告は平成19年9月18日午後11時半ごろ、東京都江東区のホテルで、備え付けのタオルで大阪府守口市の無職、太田佐知子さん=当時(25)=の首を絞めるなどして窒息死させたとしている。 平垣被告は、凶器こそホテル内のものを使ったが、遺棄するためのスーツケースや粘着テープ、ひもなどをあらかじめ用意し、ホテルまで持参していた。 また、機械を使ってチェックインできるホテルを選び、殺害後は「仕事の関係で土地勘があり、事前に遺棄する場所の目星をつけていた」(捜査関係者)という遺棄現場に直行していることから、栃木県警・大阪府警合同捜査本部は計画性の高い犯行と断定した。 ◆交際のもつれ 平垣被告は13年から21年まで宇都宮市内の住宅販売会社に勤務。太田さんとはインターネットのチャットで知り合った。2人は東京都内や愛知県内で待ち合わせるなど、交際を重ねていたという。 しかし、平垣被告は結婚し3人の息子の父親。「太田さん以外にも複数の女性と交際していた」(捜査関係者)とされる。「うっとうしくなった」。逮捕後の調べに対して、こう供述している。 犯行後も宇都宮市内で生活を続け、21年3月に住宅販売会社を退職。埼玉県川口市内の住宅関連会社に再就職したが、逮捕後に辞職届を出している。 ◆難航した捜査 塩谷町の山林の斜面でスーツケースが発見されたのは、犯行から約9カ月後の20年6月。遺留品に乏しい上、白骨化した遺体は死因の特定も難しく、身元の特定は難航した。 頭蓋骨をもとに「復顔」を作成するなどして情報提供を呼びかけたが、有力な情報はつかめず、死体遺棄事件の公訴時効の3年が過ぎた。事件は「コールドケース(長期未解決事件)」になるかと思われた。 しかし、太田さんの家出人捜索願を受理していた大阪府警の連絡で、事件は急展開。 23年10月に遺体は太田さんであることが判明。その後、太田さんのパソコンの通信履歴などから平垣被告が浮上した。 「(遺体が発見された)3年半前は何の手がかりもなかったが、地道な捜査を続けていた。その資料がいま生かされている」 県警の捜査幹部は捜査を振り返る。スーツケースの販売元を洗い出した当時の資料などから、平垣被告が県内で購入したことを裏付けることができたという。 ◆裁判の行方は ただ、犯行に使った凶器などは見つかっていない。「時間がたって、裏付けが取れないことも多い」(捜査幹部)ため、平垣被告の供述に頼る部分が大きいことも事実だ。 裁判員裁判対象となるこの事件。平垣被告は法廷で何を語るのか。そして裁判員はどのような判断を示すのだろうか。
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