データの処理・保存を、ネットワークを介して遠隔地のサーバーで行うシステム端末「シンクライアント」に脚光が当たっている。情報漏洩(ろうえい)のリスクが小さく、端末が壊れてもサーバー側のデータで業務を継続できる特徴が、東日本大震災を機に企業や公共機関などに評価されているためだ。昨年の国内パソコン出荷が前年割れとなる中、2011年のシンクライアントの国内出荷台数は2桁増となったもようで、メーカー各社も売り込みに躍起だ。 「商談が、特定部門での利用から全社端末の置き換えへと大型化している。あらゆるニーズに対応して事業を拡大したい」。富士通の斉藤邦彰パーソナルビジネス本部長は、好調なシンクライアント事業の成長にこう期待を込める。 同社は今月、シンクライアントの新グローバルブランド「FUTRO(フューロ)」を打ち出し、2015年度に世界販売台数を現在の約3倍の50万台に拡大する目標を掲げた。 新ブランドの第1弾機種「FUTROS900」は静脈認証のセキュリティー機能を搭載し、価格は1台4万9000円から。シンクライアントの普及が先行している欧州の子会社と共同開発した。シンクライアントは、端末単体は通常のパソコンに比べて割安だが、インターネット上でさまざまな業務処理機能やデータ管理などを提供するクラウドサービスと合わせた受注で、安定した収益が見込めると判断している。 また、日本ヒューレットパッカードは、1台2万8350円からという低価格新モデルを1月に投入し、世界シェア首位の価格競争力を顧客にアピール。NECも需要の高まりを受けて受注活動に力を注ぐ。 NECは、10年から東京海上日動火災保険に3万台を納入し、これが東日本大震災後の事業復旧にも活躍したという。昨年7月には立命館大に、国内大学で最大規模の4500台のシステムを構築するなど、大学への売り込みも強化している。 調査会社、IDCジャパンの渋谷寛・シニアマーケットアナリストは「震災で、事業継続の備えが重視されるようになった。企業の投資抑制の傾向も普及を後押しする」と指摘。シンクライアントの11年の国内出荷台数は前年比約13.4%増と伸び、さらに15年には11年予想比でほぼ倍増の44万9000台に拡大すると予測している。(山沢義徳)
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