“ブログを書く力士”として注目を集めた元小結普天王の稲川親方(31)=出羽海部屋。29日には自らの引退相撲(東京・両国国技館)をインターネットの動画サイトで生中継する角界初の試みに踏み切るなど、精力的に情報発信する姿勢は親方になっても変わらない。相撲協会全体が観客動員増を模索する今、角界屈指のネットの使い手に、これまでの取り組みと思いを聞いた。(聞き手 宝田将志) --ブログを書く力士の先駆け的存在だった 「平成17年2月1日に始めてますね。横綱貴乃花関(現親方)が引退して若貴ブームが去って、『満員御礼が途切れた』とかニュースになったり、相撲人気が下火になるつつあった。多くの人に認知してもらう取り組みをしたいという気持ちだった」 --心掛けたことは 「相撲界は閉鎖的と見られがち。露出を増やして少しでも認知してもらって、見てもらいたいと。本当のお相撲さんはどうなのか分からないと思ったので(一般の人に)近づけられたらと思っていた」 --日大時代から詳しかった? 「そういう訳ではなく、サイバーエージェントの人と知り合ったのがきっかけ。パソコンは持ってましたけど」 --師匠の出羽海親方(元関脇鷲羽山)にはブログを始める際、どう切り出したのか 「1回も言っていない。悪いことをしている訳じゃないですから。もちろん、責任感はあったので(書き込む)言葉遣いとか内容には気を使ってきた」 --周囲の反応は 「表だって悪く言われたことは一度もない。『良いことですね』と言ってもらえることが多かった。幕内上位から小結の頃が最盛期で、1日に84万ページビューあった。コメントも1000を超えていた。平均でも20万ページビューくらいあった。当時は特に考えなかったけど、今振り返ると観てもらえていたなと思う」 --力士たちの反応は 「特に言われたこともなく、でも、『ブログに載せてくれ』という声はあった。逆にこちらから誘って出てもらったこともあった。部屋によって(露出に対する)方針が違うので誘えない力士もいた。ライバルとして土俵で対戦しているので、『仲良くしている様子を書き込むのはどうかな』と考えたこともあった。自分は豊ノ島関と仲が良いんだけど、それだけに対戦の時は燃えるものなんです」 --続けてきて良かった点は 「『初めて相撲を観に行きました』『興味が湧いた』とコメントをもらって、やって良かったなという感覚はあった」 --難しさもあったのでは 「『ブログをやっているから成績が落ちた』とか、よく言われたりしたけど、自分としては趣味でやっているつもりはなかった。使命感で続けられた。答えは一つでないので、周りの反応が良い悪いはあるにしても、どうやりたいかが重要。自分はいろいろな声をもらって勉強させていただいた」 --現役時代のブログは平成22年夏場所後に更新が止まった 「あれ(野球賭博での謹慎)があったから。きつかった。その問題がなかったら(ブログを)やっていたと思う」 --同時に幕下に落ちたが 「応援してくれる人がいたから現役を続けられた。応援してくれる人に復活した姿を見せたいと思ってやっていた。幕下に落ちたからブログをやらないということではなかった。逆に『幕下だと、こういうことがある』と発信できたかもしれない」 --親方として情報発信するのは現役時代とどう違うか 「拘束が少ない。フランクにできていると思う。現役の場所中は気持ちが乗っていなくても『やってられないよ』とは書けなかったかな。『どこが痛い』とかも言えない」 --引退相撲が29日に迫ってきた 「1人でも多くの人に足を運んでもらって、興味を持ってもらって、その1%でも2%でも本場所に足を運んでもらって相撲は面白いと思ってもらいたい。引退相撲は自分ができる興行。被災して埼玉県に一時避難している方々、保育園児、アメフトのチームなどを招待する予定。埼玉県草加市の学校関係で相撲に携わっている方々には2階席を寄付した」 --動画サイト「ニコニコ動画」を使い、角界では初めてネット中継する 「何か言う人もいると思うけど、全く相撲を知らない層に対しての発信だと思っている。これをきっかけにして、(引退相撲に)来られない方が興味を持ってもらえればいいと思う」 --角界のネット利用についてどう考えるか 「方向性の問題だと思う。相撲協会が金銭的なものに繋げようとするのか、認知のために活用するのか、これは一概に何とも言えない。ただ、(他の団体と)コラボレーションできることはあると思う」 ■稲川親方 元小結普天王、本名・内田水(うちだ・いづみ)。昭和55年8月28日生まれ。熊本県出身。日大2年にアマチュア横綱となり、平成15年初場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵。15年春場所に新入幕を果たし、新小結に昇進した17年秋場所で横綱朝青龍を破った。幕内在位33場所で敢闘賞、技能賞を1度ずつ受賞した。現在はブログ「元普天王 稲川の日々」で親方としての日常を綴っている。


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