ソニーは2日、2012年3月期連結決算の業績予想を下方修正し、最終損益が900億円の赤字になるとの見通しを発表した。赤字は4年連続。歴史的な円高や価格下落による液晶テレビなどの不振が響き、従来予想の600億円の黒字から大幅に引き下げた。同日出そろった電機大手8社の11年9月中間連結決算は、ソニーを含めた4社が最終赤字に、残る4社も減益となった。 円高の逆風に、タイの洪水や欧州金融危機の影響も加わり、6社が相次いで通期業績見通しを下方修正。止まらないリスクの連鎖に「日の丸電機」が未曽有の危機に直面している。 「欧州危機やタイの洪水など下期を見通すとかなり厳しい」(加藤優最高財務責任者)。液晶テレビ事業の1750億円という巨額の赤字(通期ベース)が業績の足を引っ張るソニーは、通期の連結売上高も従来予想の7兆2000億円から6兆5000億円、本業のもうけを示す営業利益も2000億円から200億円にそれぞれ下方修正した。営業利益ベースで為替の円高が約650億円の減益要因になるという。ソニーの窮状に代表されるように、デジタル機器の比重の高いメーカーは苦しい。過当競争による価格下落に加え、円高や原材料高もあって「作れば作るほど赤字が増える」(関係者)状況だ。 さらに、ソニーはタイの洪水が250億円の減益要因となる。当地ではデジタルカメラや半導体を生産し、デジカメ新製品の発売も延期となった。「広範な影響が出ることは間違いない」(加藤氏)という。 「ハードディスク駆動装置(HDD)工場など10拠点が被災し、長期間にわたって製造できない」(東芝の久保誠専務)。タイで世界生産の6割を生産するHDDはパソコンや録画再生機など幅広い製品に使われる。調達遅れが顕在化すれば、かき入れ時の年末に大きな商機を失いかねず、各社は「(HDDメーカーから)どれだけ配分されるのか」(富士通の加藤和彦専務)と気をもむ。 一方、ソニーが10月以降の想定為替レートを1ドル=75円(従来は80円)に見直したように、各社は円高の長期化を見込んで想定為替レートを1ドル=75~80円に変更。これも通期業績の下方修正の要因となる。 円高はライバルである韓国メーカーとの競争条件も一段と不利にする。東芝は4~9月期に韓国サムスン電子と首位を争う記憶用半導体の利益が円高で200億円も押し下げられた。円高は日本メーカーにとって「相当なハンデ」(パナソニックの大坪文雄社長)で、韓国などに比べて経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の整備が遅れたことも「制約になっている」(同)。 他にも電力供給への不安やレアアース(希土類)の高騰、他国より不利な税制など経営の圧迫要因は尽きない。かつてない危機的状況は、電機各社に新たな収益源の構築や業界再編の加速を促している。(田端素央)                   ◇ ■電機大手8社の2011年9月中間連結決算 社名      売上高         営業利益         最終損益        タイ事業への洪水の影響日立製作所  4兆5727  (1.6) 1706(▲21.8)   509(▲67.8) 5工場が操業停止パナソニック 4兆  51 (▲8.3)  475(▲71.8) ▲1361    (-) 3工場が停止ソニー    3兆 699 (▲9.6)  258(▲80.9) ▲ 424    (-) 2工場が停止東芝     2兆9124 (▲5.5)  802(▲23.4)   226(▲18.5) 10工場が停止富士通    2兆 923 (▲2.6)   70(▲85.0)    57(▲69.8) 2工場のうち、1工場停止三菱電機   1兆7435  (1.9) 1136  (0.6)   695 (▲2.4) 6工場に直接被害なし。部品調達に支障NEC    1兆4432 (▲1.8)   67 (6.2倍) ▲ 109    (-) 2工場が停止シャープ   1兆3145(▲12.6)  335(▲22.8) ▲ 398    (-) 2工場に直接被害なし。部品調達に支障 ※単位:億円。カッコ内は前年同期比増減率%。▲はマイナスまたは赤字、-は比較できず


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