アドビシステムズのサービスとアプリを組み合わせた新たなソリューション「Adobe Carousel」が登場した。同じ写真ライブラリを、どのデバイスでも同じように見て、編集して、共有できる新しいサービスだ。 【アドビの容量無制限写真クラウド「Adobe Carousel」を試す】 ●無制限に画像を同期できるクラウドサービス Adobe Carouselは、今年9月に発表された画像サービスで、PC内に保存されている画像をアドビのサーバーにアップロードし、それをほかのPCやiPhoneなどのiOS搭載デバイスなどと同期し、ひとつの写真ライブラリを、ほかのデバイスでも共有する。現時点でMacOSとiOSに対応し、Windows/Android版のアプリを後日提供する予定となっている。 アップロードできる写真に点数や容量の制限はない。形式としてはJPEGのみだが、画像をアップロードすれば、そのライブラリをCarouselアプリをインストールした端末が自動的に同期できる。 画像:iPhoneでの起動画面、ほか (http://camera.itmedia.co.jp/dc/articles/1111/01/news037.html) 実際に利用するには、現時点ではMac App StoreからMac用Adobe Carouselを、App StoreからiOS用Adobe Carouselを、それぞれダウンロードしてインストールする必要がある。Mac用はMac OS X 10.7以降、iOS 4.2以降を搭載したiPhone 3GS/4/4S/iPod touch 第4世代/iPad/iPad 2が対応している。 Adobe Carouselを起動すると、MacでもiOSデバイスでも、まずログイン画面が表示される。Adobe IDを持っていれば、それでログインをし、持っていなければまず登録を行う。Adobe ID自体の登録は無料だ。ログインすると、続いて支払い画面になる。 Adobe Carouselは、月額500円または5200円の有料サービスであり、支払いをする場合はここでいずれかを選択し、クレジットカードで支払いを行う。まず試したい場合は、30日間の試用期間が用意されているので、これを選ぶといいだろう。 起動すると、シンプルなブラックの背景で、左上に「+」、右上に「歯車」のアイコンがそれぞれ表示される。MacOS版でもiOS版でもユーザーインタフェースは同じなのでどちらでも操作に違和感はない。 画像を追加したい場合は+アイコンから画像の保存されているフォルダか、取り込み画面から「MEDIA」→「Photos」と選択する。任意のフォルダを選択すると下層フォルダまで一気に画像の取り込みが行われ、Photosでは、iPhotoライブラリから画像を選択して取り込みが行える。あとはそのまま放置すれば、画像がすべてアドビのサーバーに転送されるようだ。 画面下部の「View Carousel」を選ぶと、日付ごとにまとめられた画像が表示される。下から上に向かって最新の日付になり、その日の画像は横方向にまとめられている。 「View Status」を選ぶと、現在アップロードされている画像が表示され、さらに下段にはアップロードが終了した画像が表示される。今回試したのは1枚数Mバイトのミラーレスカメラの高解像度画像だが、アップロード自体は高速に行われているように見える。 どうやら、まずは低解像度の画像をアップロードしているようで、Macでアップロードしてアップロード終了になった画像をiOS側で編集しようとしても、「アップロードが完了しないと編集できない」というエラーメッセージが表示される。この表示が解消されるまでは、しばらく待つ必要があるようだ。 iOS側でも同様に「+」アイコンをタッチすると、カメラを起動して写真を撮るか、カメラロールから写真を選択するかが選択できる。カメラロールを選択すると、まずAdobe Carouselアプリが「現在の位置情報を利用する」というメッセージが表示される。これは、位置情報をつけて撮影した写真をアプリに取り込む場合の警告画面のようだ。ここで「許可」を選ぶと、カメラロールから画像の取り込みが可能になる。 サムネイルをタッチして任意の画像を選択するか、「Select All」を選ぶとすべての画像が選択できるので、最後に「Done」をタッチすれば画像がAdobe Carouselに取り込まれる。これも自動的に同期が行われる。 アップロードが開始されると、その画像はすぐに同じアカウントでログインしている別のデバイス上にも同期される。例えばMac側で画像の取り込みを行い、すぐにiOS側で見てみれば、数秒後にはすぐにiOS側にサムネイルが表示されるのが分かるはずだ。 いったん同期されれば、すべてのデバイス上で同じ画像を閲覧できる。iOS側で容量を見てみると、数Gバイトの画像をアップロードしていても数十Mバイトしか利用されていないので、画像をそのままダウンロードしているのではなく、サムネイルだけを表示していて、オリジナルの画像は、実際に使用する際、ダウンロードされるようだ。 ●Lightroomをベースにした画像補正機能を搭載 Adobe Carouselは、単に無制限の画像アップロードと各デバイス間での同期だけでなく、画像を活用するための各種機能も搭載されているのが特徴だ。 サムネイルを選択すると画像の単独表示ができ、画面上部には「☆」アイコン、補正アイコン、「Action」アイコンが表示される。「☆」アイコンは、選択することで画像にFavoriteタグを設定できる。タグを付与すると、ほかのデバイス上にもその結果がすぐに反映され、画像の整理に役立つ。 画像編集機能も搭載している。「Looks」は、画像にさまざまな効果を適用するいわゆるフィルタ機能で、Silvered、Dream、Sepia、Superpunch、Koi、Winter、Spring、Summer、Autumn、B&W、Memory、Aquatic、Vivid、Misty、Noir、Dappledという16個のフィルタを搭載。ワンタッチで手軽に適用できる。 画像補正では、色温度、色かぶり補正(色相)、露出、ハイライト、シャドウ、コントラスト、明瞭度、自然な彩度の8項目で補正ができる。「Photoshop Lightroomの写真処理エンジンをベースにしている」とされており、高品質の編集結果を期待できる。 色温度や露出などではオートボタンも用意されており、Lightroomのエンジンによる自動補正が適用できる。切り抜きと角度補正機能も備えており、不要な部分を切り取ったり、水平が取れていない画像を補正したり、左右の反転や回転も可能だ。 適用した補正に関しては、1回分のアンドゥも可能で、画像を開いた時点と補正した画像を、タッチする度に切り替えて結果を確認できる機能も搭載している。なお、iPhone版とiPad版では多少インタフェースが異なるが、機能は同等だ。なお、Lightroomのエンジンをというだけに、この辺りのCarouselのユーザーインタフェースはLightroomに似ているように思える。 補正の終了した画像に関しては「Actions」メニューからカメラロールに保存したり、クリップボードに保存したりできる。 ●簡単な画像共有機能も搭載 画像の共有機能も搭載しており、Eメールで任意の人へ案内を送ったり、Facebook、Twitter、Tumblrに投稿することもできる。 共有はCarouselの設定から相手のメールアドレスを指定するだけ。そのユーザーにはiOSまたはMac用のCarouselアプリをインストールするように指定したメールが届く。その後に、Carouselアプリを開くと、共有された画像を閲覧できるようになる。自分の画像と同様に画像補正などの機能が利用できるほかiOSデバイスの場合はカメラロールに画像を保存したり、Mac版であれば画像をクリップボードにコピーして利用できる。 つまり、共有された場合、アプリをインストールする必要はあるものの、Adobe IDを持っていれば画像の補正や保存が可能が行えることになる。なお、自分で画像をアップロードしたい場合は、Carouselサービスへの申し込みが必要となる。 Carouselでは1つのアカウントにつき5つの「Carousel」を作成できる。イベントを個別に作成するなどして、アルバムのような分類が可能になる。さらに、それぞれのCarouselに対しては5人までのユーザーと共有することもできるので、最大25人と写真をシェアできることになる。 Carouselは自動で画像を対応デバイスすべてに対して同期してくれ、手軽に共有もできる点が特徴だ。ローカルのパソコンに数百Gバイトの画像がある場合、そのすべてをモバイル機に入れて持ち歩くことは非現実的だが、Carouselを利用すれば、すべての画像をアップロードし、それをモバイル端末で閲覧、補正までできる。 Lightroomをベースにしたという本格的な画像編集、SNSへの投稿機能といった機能も備えており、「すべての画像をいつでもどこでも活用できる」という利便性の高いサービスに仕上がっている。 ただ、クラウドから各端末へは自動的に同期が行われるとはいえ、アップロード自体は自動化されていない点や、iPhone/iPadなどで撮影した画像を自動アップロードしてくれないことには不満が残る。また、Carouselアプリ自体は日付別に分類されるだけで、画像の管理/検索機能は特に用意されていないため、大量の画像を登録したときの利便性にも不満を覚える。 Webブラウザからアクセスできず、アプリが必要な点も、こうしたサービスとしては珍しく、利用環境が制限されるという欠点もある。Webブラウザ経由での利用より、アプリを介する方がレスポンスに優れるだろうと予想はできるが、クラウドサービスなのだからWebブラウザ経由/アプリ経由のいずれの操作にも対応して欲しいところだ。 究極的にはLightroomの画像処理エンジンだけでなく、管理機能の充実も期待したい。Lightroomに取り込んだ画像をそのままCarouselで同期し、Carouselで補正した画像をLightroomで同期されれば、さらに便利になるだろう。有料サービスであるだけに、今後のさらなる成長を期待したい。 [小山安博,ITmedia]
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