[大阪/東京 31日 ロイター] 電子部品・材料メーカー各社の中間決算発表では、2012年3月期通期の業績予想の下方修正が相次いだ。スマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末向けの部品需要は堅調に推移している一方、薄型テレビ向けなどに失速感が出ているためだ。 また、タイで発生した大規模洪水に伴うサプライチェーンの停滞長期化が、電子機器の生産にマイナスの影響を及ぼす恐れもあり、下期以降の不透明感が各社の業績予想に反映された形となった。 <TDKがグループ従業員1万人強削減へ> TDK<6762.T>は31日、2012年3月期の連結営業利益(米国会計基準)予想を前年比45.1%減の350億円に下方修正すると発表した。従来予想の670億円に比べ、47.7%の下方修正となる。連結売上高予想は前期比6.4%減の8200億円で、7.9%下方修正した。主要生産品目において、今後の需要が当初の想定よりも低調に推移する見込みとなったため。これに合わせ、1株あたり50円としていた期末配当予想を同40円に修正。年間配当予想も同90円から同80円(前期実績は同80円)に引き下げた。 また、同日、今後1─2年で国内外のグループ従業員のうち1万1000人を削減すると発表した。大半が海外従業員となる見通し。円高による事業環境の悪化と、電子機器向けの需要低迷などが主因。タイの大規模洪水でハードディスクドライブ(HDD)用部品の生産拠点が被害を受けたこともあり、今後、生産拠点の統廃合なども視野に入れる方針だ。 2011年4—9月の連結営業利益は前年同期比62.9%減の137億円になった。連結売上高は前年同期比5.7%減の4171億円。スマートフォンやタブレット端末向けの生産は前年同期の水準を上回った一方、薄型テレビやHDD向けの生産は、前年同期と同水準にとどまった。 <村田製・日東電も薄型テレビ向けで厳しい見方> 村田製作所<6981.OS>も31日、2012年3月期の連結営業利益予想を下方修正したと発表。前年比27.7%減の560億円に引き下げた。修正率は33.3%。通期の連結売上高予想は前年比2.9%減の6000億円とし、前回公表値比で7.7%の下方修正となった。また、税引き前当期純利益は前期比24.4%減の620億円、当期純利益は同21.5%減の420億円にそれぞれ下方修正した。 携帯電話や薄型テレビ用の電子部品の生産が、期初の想定を下回って推移する見通しのほか、部品単価の下落や円高の影響なども織り込んだ。大阪市内の会見で村田恒夫社長は下期以降の見通しについて、懸念材料として先進国の景気低迷や、タイの洪水被害による部品調達網の停滞懸念などを指摘した上で「厳しい見方が必要」と述べた。 12年3月期では、スマートフォンの需要拡大に伴い、納入先各社の携帯電話の生産台数の予測値において、前期比10%増としていた伸び率が鈍化する見通し。また、薄型テレビの生産予測台数は、期初の見通しから5%程度下方修正した。下期でのスマートフォンの顧客の生産見通しは、上期比で「台数ベースで2割強伸びる」(村田社長)との見方を示すものの、全体的に年末商戦に向けた受注状況は「ピークが見られないような感じかなと思っている。欧米の景気の関係が大きいと思う」(同)と述べ、本来、繁忙となるべき時期の受注動向が想定よりも弱含んでいるとの認識を示した。一方、通期の設備投資計画700億円については変更しない方針だ。 日東電工<6988.T>も31日、12年3月期の連結営業利益予想を前年比23.7%減の650億円に下方修正した。従来予想に比べ、修正率は18.7%となる。売上高予想は前期比0.2%増の6400億円と、前回公表値から100億円引き下げた。100億円のうち、半分程度は円高による影響額。そのほか、タイの洪水被害の影響や、顧客からの値引きなどの影響を織り込んだ。また、パソコンや液晶テレビなどの需要減速や在庫調整が懸念されるとし、液晶表示用材料や工業用テープなどで通期の販売予想を下方修正した。 <タイ洪水でフジクラは通期予想を未定に変更> フレキシブルプリント配線材(FPC)を手掛けるフジクラ<5803.T>は31日、通期連結業績予想において売上高、営業利益とも「未定」に変更した。従来は売上高で5700億円、営業利益で170億円としていた。同社のFPCの世界シェアは約10%とされているが、タイの洪水により、主要生産拠点が浸水被害を受け、現在も操業停止中。今後の影響額を見積もることができないため、今回の措置をとった。 タイの洪水については、TDKもHDD用部品の生産拠点が稼働停止中。一部拠点ではタイ以外での代替生産などを予定している。また、村田製作所は現在、タイ拠点などでは直接的な被害はないものの、部品調達網の停滞に加え、顧客の生産調整などが今後、生産に影響する可能性について指摘。「通期見通しには若干、織り込んでいる」(村田社長)とする一方で、「金額は今のところ、それほど大きくない」(同)と述べ、依然、状況を見極めたいとの考えを示した。(ロイターニュース 長田善行;編集 内田慎一)


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