◇バックアップに残った記録/データ修正、証拠隠滅? 奈良市の管理職2人=懲戒免職=が市税の延滞金を着服した問題は、表面化から2カ月を越えた。市は今月7日から不正が疑われる他のケースについて、対象の市民に実際の支払額を確認してもらう照会調査を始め、新たに不正が疑われる例も見つかった。関係者によると、着服額が数千万円に上る可能性があるという。【上野宏人】 ◆発覚 市によると、次長級と課長補佐だったいずれも59歳の男性職員は今年3月31日、内部規定に反して納税者宅で滞納金254万8400円を徴収。その後、延滞金を70万円減額した虚偽の納税通知書で金融機関から納付し差額を着服した。収納印も偽造の疑いがある。 この市民に国税の還付金を滞納市税に充てるという通知書が届き、延滞金が未納と記載されていたため発覚。市は8月18日に処分を発表し、仲川げん市長は謝罪した。 ◆内部調査 市は全容解明のため内部調査を開始。記録が残る08年度から発覚時までの滞納管理システムのバックアップデータを基に、約21万件から2人が2種類の通知書を作成した事例をリストアップ。捜査中を理由に件数などは明らかにしていないが、関係者は2人が弁償として市に持参した「400万円とはかけ離れた額」と、着服額が数千万円に上る可能性を示唆する。なかには高額滞納者から複数回、着服した疑いもある。 虚偽の通知書を作成した際、その履歴を消していた。システムのパソコン画面上は分からなくなるが、バックアップには記録が残っていた。さらに、システムの納付履歴のデータを修正しようとした例があり、証拠隠滅が疑われる。 ◆上司と部下 2人は05年4月、ともに納税課主査になり、市に滞納整理課ができた08年4月から10年3月まで上司と部下だった。高額・長期滞納者は2人が担当し、一緒によく外出したため、いぶかる職員もいた。ある職員は「2人が不正をチェックすべき立場の管理職だったので発覚が遅れたのでは」と話す。 課長補佐は10年4月に、次長級職員は今年4月に他部署に異動。しかし、直接通知書を作成できなくなった後も、担当部署の職員に指示し作らせた疑いも市議会で指摘された。 別の職員は「(次長級職員は)指輪など派手だった。仕事熱心に見えたが、今では着服に一生懸命だったのかと疑ってしまう。退職を控えていたのに割に合わない話」と話す。 市に対し、次長級職員は「生活の足しにした」、課長補佐は「ギャンブルに使った」などと答えたという。だが、あいまいな点もあり、市は改めて話を聞く予定という。 ◆税の公平性 奈良市では、滞納額のうち市税だけが納入され延滞金だけが残った場合、改めて納税者に一斉請求する仕組みになっていない。市税を扱い、催告書などを大量に印刷する機能を果たすホストコンピューターが、滞納市税がないので延滞金を0円と計算するためだ。 このため、滞納管理システムを基に個別対応しているが、件数が多く一部は請求できていない。市は「税の公平性の面で問題があり、再発防止とともに見直す」としている。10月18日朝刊
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