おせち商戦が本格的にスタートした。東日本大震災後、家族の絆が見直され、家族全員がそろっておせちを食べる家庭も増えそうで、“おせち需要”は伸びるとみられる。インターネットの通販サイトでは早くも昨年の2倍という好調な売れ行き。百花繚乱(りょうらん)のおせちにも「安心安全」「被災地復興」など今年ならではのキーワードが浮かぶ。(榊聡美) ■ネット購入が人気 今年初め、見本と異なる「スカスカおせち」や遅配など、ネットで販売するおせちのトラブルが問題となった。しかし、8月末から予約受け付けを開始した、ぐるなび(東京都千代田区)の「ぐるなび食市場」では、既に前年同時期比で2倍の売れ行きだという。災い転じ、「おせち問題」によって、おせちがネットでも買えることが広く知れ渡った。 同社企画開発本部食市場グループの武田恵子さんによると、購入する時間帯は週末の夜が多いとか。パソコンの画面をのぞき込みながら、家族一緒に相談する様子がうかがえる。 一方で、今年はネットをくまなくチェックし、会社の信頼性も選ぶ基準にするなど、ユーザーが慎重になる傾向が見られる。 そんな中で人気を呼んでいるのが、「博多久松」の「おためしおせち」だ。だて巻き、黒豆蜜煮など主な10品が入って525円。“本物”を購入する前に気軽に味見ができ、好評だ。 安心感につながるとして、“顔が見える”おせちも今年の注目株。有名料亭の料理人や料理研究家など食のプロが監修したおせちから、素朴な味わいがウリのおばあちゃんの「田舎おせち」、さらに異業種からの参入も相次ぎ、バリエーションが豊富になっている。 ■韓流スターも参入 ユニークなのが、人気ドラマ「春のワルツ」で日本でもおなじみの韓国人俳優、ソ・ドヨン氏がプロデュースした「和韓おせち」(2万3800円)。日本の定番おせちの和の重と、韓国の伝統料理の韓の重がセットになっている。ソ氏は「日本の方にも親しみやすい味を選びました。特に、宮廷料理に用いられ、王様が食したトックカルビがおすすめ」とコメントしている。問い合わせは(電)03・3846・4368。 ■仮設住宅に贈る 東日本大震災の被災地を応援するおせちも登場した。高島屋は、東北の歴史ある名湯の旅館のおせち(2万8350~3万6750円)や、東北地方と茨城県のメーカーの食品を詰め合わせた「東日本応援おせち」(1万5750円)を発売した。 伊勢丹限定で人気の高い、宮城県亘理(わたり)町にある料亭「ゆきむら」のおせちも今回は“東北を、ニッポンを応援するおせち”としてお目見え。震災の影響で食材の調達が困難を極める中、海産資源が豊富な島根・隠岐(おき)ノ島(しま)とタッグを組み、商品化にこぎつけた。良質な和の素材をスペイン風に仕立てた斬新なおせちだ。 仮設住宅で新年を迎える被災者に、おせちを贈る取り組みもある。 「被災地支援年末おせちぐるめ便」と銘打ち、ぐるなび食市場のウェブサイトで、今月6日から募金活動がスタート。被害が大きかった陸前高田市、大船渡市などに隣接する岩手県住田町では、地場産材を使って地元の工務店が建設した木造仮設住宅で被災者が暮らしている。ここで暮らす約100世帯におせちを贈るため、200万~300万円を目標に募る。 おせちは健康長寿、五穀豊穣(ほうじょう)などを願って食べるもの。来年のお正月は、特別な思いでその味をかみ締める人が多いに違いない。
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