あるピアノリサイタルのプログラムノートより
「好きになる」ということは、実に不思議なことだ。
ふとした人生の瞬間にそれは不意に訪れ、何の前触れもなしに憑依して離れない。
時にそれは、われわれを思いもよらないところに連れ去ってしまう。
その結果、われわれの人生は、その発端から恐ろしく遠い結末を迎えることとなる。
「好き」な感覚は人のDNAを沸騰させ、どんなにエデュケーションと高いインテリジェンスを誇る者をも完全無防備にし、見事なまでに幼児化させる。
そんなわけでこの魔法の感覚は、人にごく強いモチベーションを与える力を持つ。
「好き」なことのために人は情熱を注ぎ、またその持てる時間を惜しみなく捧げ尽くす。
この原始的感覚がどこから来るのか、明確な答えを知るものはまだいない。
・・・・・・・ (2008.9.8 coba)