「いつ始めるのさ?」


中国から一時帰国した親父は、頭のふけを落としながらテレビをいつも見てる。

「いやぁー考えてるさ。でも中国は色々政府がやっかぃなんだよなぁー」


知らんけど、会社を辞める前に決めておきなよ。というか、辞める3年前から

何かやる、やるって言っていたのに、まだ決まらないのかぃ。


「そんな浅はかな考えで会社辞めたのかぃ?」

「息子よ、心配するな、もう決めてるよ。」


へ?


「日本のイイものを中国に出すビジネスを考えてる。」


おぉーさすが。

でもそれって3年前にも親父と俺で話してた内容だよね。。。

テレビでどんどん取材されているじゃないか。そこで新しくやる必要性ってあるのかな。。


「テレビなんて気にするな。ちょっと新しい事があれば映すだけなんだから。」



3年前・・・

中国で起業の話が出たとき、やればいいじゃないか。

「お、これはいいな。いっちょ設けるか。でも今、日本の新しいエネルギーを模索してるんだ。」

「そんな、会社のために働いて何がいいんだ。この流行に乗るべきじゃないのか!」

悠長さに怒ったときもあった。



「中国で一番難しいのって何だと思う?」

「人脈だろ?」

「正解。そんじゃそこらじゃ築けないパパは築き上げている。」


なるほどね。
親父が会社を60歳で退職した。

65歳まで働ける企業、それなりに名が通ったエネルギー会社。

よく酔っ払って帰国したとき「頭の悪い連中が本社にいたんじゃ、うちも終わりだな。」

そんな会社をやっと辞められたんだな、そう思った。

おめでとう。親父ももう余生少ないんだから、自由に生きればいい。

息子なりにそう思った。


「何やるんだぃ?」


「中国はすごい、日本の技術も凄い。この二国をつなげて行く仕事がしたいんだ。」


60歳になっても、希望があるなんて素敵だね。

得にまだ決めてないらしいが、これからも頑張ってもらいたい。

親父はサラリーマンで中国、台湾に10年以上いたんだ。何かしら頑張れば仕事を作れるんだろう。