育った家を離れて30年、神戸で一人暮らしをして30年。流れ着いた先は東京の東端だった。


青雲をみるや多年、500年続く古い家系の14代目。


先代総領の古希のときの子。



異母兄姉すら鬼籍にはいり、夢破れ、我、非才にて僅かに家名を後の世に残すのみ。


世には触れよ、我、狂死せりと。


我より後の子らに託す。


平らかな暮らしを選べと。


懐かしい神戸に帰りたい。


たしかにあの時、あの場所で、私は輝いていた。