マイホームは庭付きの一戸建てでないと、と思っていたのです

 マイホームを買うのに、マンションを選ぼうという気は、最初は全然ありませんでした。
耐震偽造の発覚が記憶に新しいので、何となくマンションは信用できないような気がしたのです。
それに、マイホームを持つならマンションではなく、やっぱり庭付きの一戸建てを持ちたいという気持ちが強かったのです。
庭を花でいっぱいにしたら、すごく綺麗だし、まだ家を持っていないのに、家族でバーベキューをする計画だって立てていたのです。

それゆえマンションのモデルルームには無関心。見学に行くのは住宅展示場ばかりでした。
けれども、家を建てるつもりで土地を探しても、自分たちで買えるのは町外れの安い土地だけ。本当は交通の便が良い市街地に建てたいのに、予算が足りなくて買うことができないのです。
マンションだったら田畑の真ん中に建っていることはないし、比較的低予算で買えるのに・・・
でもマンションを買うのは、やはり気が進まないし、同じように辺鄙な場所に家を建てる人はたくさんいるのだから、交通の便が悪いことくらい我慢しよう。車があれば電車やバスに乗ることはないのだからと考えていたのです。

けれども家から駅やバス停が遠いと高校生は通学するのが大変、親が面倒みないといけないこともあると聞いて、市街地にあるマンションも検討してみるべきだと思いました。
それまではマンションの広告には見向きもしなかったのですが、行ってみるくらいなら、という軽い気持ちでマンションのモデルルームを見学することにしました。実際にマンションの広さを体感すると、思ったより狭くないような気がするし、使い勝手も良さそうな間取りでした。
それにマンションのエントランスは高級ホテルを思わせるような豪華な造りになっていて、そこを通るとセレブになったような気分。セキュリティ面でもしっかりしているので、無理に一戸建てにこだわらなくてもマンションでもいいのでは、と思うようになりました。
それ以降、辺鄙な場所へ足を運ぶことはなく、マンションのモデルルームだけを訪れるようになり、最終的に購入したのもマンションでした。あれだけ嫌っていたマンション生活が今は大好きです。