不動産について知識がない一般消費者は、・・・
宅建業法を一言で表現すれば、「宅地建物取引業の適正な運営と消費者保護を目的とする法律」ということになります。
つまり宅建業法とは、不動産業者が不正な取引をしないよう定めることで宅地建物の流通の円滑化を図り、不動産購入者などの利益を保護するための法律です。
こうした宅建業法があるおかげで、不動産業界において家や土地の取引の公正が、なんとか確保されることになるのです。
一般のお客さんは不動産を購入するとき、不動産屋が所有の物件を買ったり、不動産屋が紹介した売主から買うのが通常ですが、ここが宅建業法の出番なのです。
もし仮に宅建業法がなく、宅建業者が自分たちの都合で自由に取引できるとしたら、一般消費者は不動産についての知識がほとんどないので、莫大な報酬を要求されたり、工事完了時期が大幅に遅れたり、住宅に欠陥があっても隠されたり、ウソの広告にだまされてしまうといったことが起こりかねません。
そこで宅建業法は、一般の消費者が不利な契約を押し付けられないようにするために、業者が守るべきルールを定めたのです。
ただ、実は消費者保護のみならず「不動産業者たち全体の利益を考えて」の法律としても、宅建業法は存在しているのです。
もしもこのような不利な契約が続くようなら、一般消費者は不動産取引を敬遠し、不動産業は不振に陥るでしょうから、宅建業法の規制が必要なのです。
不動産業界が更に発展するために宅地建物の円滑な流通を図ろうということで、宅建業者全体のことをも考えて、宅建業法は存在しているのです。
結局、宅建業法は直接には一般消費者の利益を図る法律だといえますが、宅建業者の利益も間接的に保護しているのです。
よって、宅建業法により宅建業者は締め付けられており、損しているだけというように見えますが、それは表面的な見方に過ぎません。
不動産業者も含めた日本国民全体の幸福という観点から宅建業法は制定されており、法律はみな、そういう性質を持っているものなのです。